読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「夜離れ」

2006年11月06日 | 作家ナ行
乃南アサ『夜離れ』(実業之日本社、1998年)

以前にも短編は面白くないと書いたが、やはり面白くない。この短編集は短編集だと気がつかないで図書館から借りてきたのだが、せっかく借りてきたのだから読んでみようと読み始めて、やっぱり面白くないやというのが感想だ。

何が面白くないか。むりやりオチをつけようとしているところだ。

二年前から同居を始めた祖父が強欲さや支配欲の強い人でずいぶん嫌な思いをさせられてきた。だからあと余命二日と分かったとき、孫の晶世も弟もママもみんな旅行や合宿の予定を入れていて、あんな爺のためにキャンセルしたくないと困ってしまう。そこで晶世がもと彼の信彦にたのんで保冷室でしばらく遺体を預かってもらうことにするという「4℃の恋」。

いつまでも少女のようなふらふらしたところが抜けない摩美は恋人の敦行に、昔からの同級生だけど自分のお姉さんように自分を支えてきてくれた朋子を紹介する。ところが彼女は二人に出会った日から精神に変調をきたし、言葉が喋れなくなってしまう。摩美と敦行は暮に仲人の上司の別荘を借りて友人たちと朋子を誘って遊びに出かける。最後の夜、一人で寝室で休んでいた敦行のベッドに朋子がやってきて、摩美を捨てて自分を選べと迫る。そして摩美と敦行の結婚披露宴でスピーチを頼まれた朋子は、摩美のこれまでの男性遍歴を暴いてしまうという「祝辞」。

いずれもむりやりオチをつけようとして、無理な形に話をもって行かざるを得ない。そんなことまでしてオチをつけなければならないものなのだろうか。だから短編はおもしろくないのだよな。

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