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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

タイガー現象③

2011年01月25日 | 現代の病理
タイガー現象に対して否定的な思いを書いてきたましたが、その真意はタイガー現象を支えるマスコミ報道のあり方や論調への違和感を書いたものです。今日の新聞(23.1.25読売朝刊)に読者投稿コーナーに興味ある投稿がありました。まずは転載です。

「タイガーマスク運動」私も参加

              主婦匿名希望65 (埼玉県越谷市)

 「タイガーマスク」の主人公伊達直人を名乗る人物などから児童養護施設へのプレゼントに、深く心を揺さぶられました。
 子供たちへの虐待が報道されるたびに、私にも何か出来ないかと思っていたので、思い切ってタイガーマスク運動に参加しました。
 贈ったのは、ノートや鉛筆などの文具と8万円分の商品券です。ピンクの包装紙で包み、夫と一緒に県内の行政機関の玄関にそっと置いてきました。
 タイガーマスクを読んだことがなかったので、贈り物には「乙姫さまからの玉手箱」と書き添えました。
 あの日以来、すがすがしい気持ちに満たされています。施設で暮らす子供たちが、逆境に負けず、強く生きていくよう、心から願っています。(以上)

タイガー現象も運動となると話しは別です。興味あるのはマスコミのもっている力でとこれからの報道のあり方です。

だいぶ前に引用しましたが、マス・メディアの影響(http://www.oak.dti.ne.jp/~xkana/psycho/social/social_17/index.html)について、下記のように記されています。

議題設定効果―
マス・メディアによる争点やトピックの扱われ方、強調のされ方が、我々の現実社会の認識に及ぼす効果をさす。新聞やテレビが毎日特定の問題をトップニュースとして重点的に報道すると、我々もその問題が今の重要トピックで、それ以外のトピックは重要度が低いかのように認知するようになる。

培養効果(教化効果)―
マス・メディア、とくにテレビドラマなどのフィクションに長期的・反復的に接することで、その人の現実認識がそのテレビに描かれる現実像に近いものになってしまうこと。

沈黙の螺旋(らせん)―
一般に自分の支持する意見が多数派だと感じている者は公的場面で自分の意見を発表して周囲の支持を得たがるのに対して、少数派だと感じている者は公の場で沈黙しがちである。
その結果、「知覚された多数派」の意見が増大し、意見の事実上の分布についての印象もますます多数派の意見または増幅中の意見支持者を多く見積もる方向へ歪められることになる。
これは、まず一方の意見の開陳が他の沈黙を生み、次にその沈黙がますます一方の意見の発表を生むという螺旋状の増幅過程なので、「沈黙の螺旋」と呼ばれる。
(以上)


上記の説で、この度のタイガー現象を分析すると、まず一人の人が行動した。その行動へのマスコミの反復報道によって、模倣行為が起こった。その模倣行為とて数千という単位いではないが、これまたマスコミ各局の反復報道によって、実際の数よりも数百倍の「議題設定効果」と「培養効果」を生み出していった。
タイガー現象に対して違和感を持っていた人も沈黙を余儀なくされ、その結果、タイガー現象が社会の運動になる兆しを見せている。

興味があるのは、これからのマスコミ報道です。マスコミの第一義の報道価値は希少性です。タイガー現象も運動になってみんながやるようになると報道価値がなくなるからです。

この度のタイガー現象の報道が「良いこと」への反応だったので、今のところ被害者はないようですが、過去には報道の中身が個人的な問題や人権に関わることに及んでいたこともあります。この度のタイガー現象では、教科書的なマスコミ報道の功罪を垣間見た気がします。

結論は、“みんな一緒”という一色の報道の在り方が、すごく気になります。それとマスコミ報道のあり方がワイドショー化している点も、これは違和感というよりも危険だと思っています。

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