
『「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか』(松本 俊彦編集)は、依存症、自傷・自殺等、多様な当事者の心理をどう理解し関わるか。浄土真宗の救い、「助けてと言えない凡夫をどうすくい取るか」とだぶるので、その辺りの興味から借りてきました。
自殺・自傷、薬物依存症、複雑性PTSD患者、いじめ、虐待・貧困、認知症、未受診の統合失調症当事者、被災、刑務所出所者、性被害者、ホームレス、ギャンブルによる借金を抱えた本人と家族、ゲイ・バイセクシュアル男性などなど、対象者の内容は多岐に亘っているので、一定のルールみたいなものはないようです。
総括して言えば、まえがきに次のようにあります。
もしもある人の援助希求能力が乏しいとするならば、そこにはそうなるだけの理由がある。その人は、内心、助けを求める気持ちがありつつも、それによって偏見と恥辱的な扱いに曝され、コミュニティから排除され孤立するのを恐れてはいないだろうか。あるいは、成育歴の逆境的体験のせいで、「世界は危険と悪意に満ちている」「自分には助けてもらうほどの価値はない」「楽になったり幸せになったりしてはいけない」と思い込んではいないだろうか。だとすれば、彼らは援助を求めない。こちらから手を差し伸べても、拒絶されるのは当然だ。それどころか、みずから助けを求めておきながら、突然、翻意して背を向けることさえあるだろう。
そもそも、誰かに助けを求めるという行為は無防備かつ危険であり、時に屈辱的だ。冒頭に述べた、死にたいくらいつらい現在を生き延びるために、自傷や過量服薬を行っている子どものことを考えてみるとよい。一見、彼らはカッターナイフや処方薬・市販薬に単に依存しているように思えるかもしれないが、実はそうではない。問題の本質は、カッターナイフや化学物質という「物」にのみ依存し、「人」に依存できないこと、より正確にいえば、安心して「人」に依存できないことにあるのだ。(以上)
少し具体的には、カウンセリングの手法と同様ですが「正したいという思いを抑える」「受容、共感に関わる」「相手の感情やおかれている状況を理解する」「その理解を相手に伝える」「わかってもらえたという思いを感じやすくする」そして次のようにあります。
クライエントに関心をもって誠実に理解しようとする援助者の姿勢が、信頼関係の構築につながる。相手の考えや感情、価値観を理解し尊重する(同意するということではない)姿勢がないと、良好なクライエント・援助者関係を築くことは難しい。また、すぐにクライエントが行動を変えることが困難な場合は、先を急がず、クライエントと歩調を合わせ、まずは相談を継続してもらえるような信頼関係の構築に焦点を当てて、援助を行うことも有用である。(以上)
阿弥陀仏も私に正しさを強制せず、どこまでも信頼関係を重要視して、私を理解して、私に歩調を合わせ、私をして称名念仏の者たらしめて、救いを告げます。凡夫を救うという阿弥陀仏の救いの構造や手法と、「助けて」が言えない SOSを出さない人の支援は、同じところが多くに興味深い。
自殺・自傷、薬物依存症、複雑性PTSD患者、いじめ、虐待・貧困、認知症、未受診の統合失調症当事者、被災、刑務所出所者、性被害者、ホームレス、ギャンブルによる借金を抱えた本人と家族、ゲイ・バイセクシュアル男性などなど、対象者の内容は多岐に亘っているので、一定のルールみたいなものはないようです。
総括して言えば、まえがきに次のようにあります。
もしもある人の援助希求能力が乏しいとするならば、そこにはそうなるだけの理由がある。その人は、内心、助けを求める気持ちがありつつも、それによって偏見と恥辱的な扱いに曝され、コミュニティから排除され孤立するのを恐れてはいないだろうか。あるいは、成育歴の逆境的体験のせいで、「世界は危険と悪意に満ちている」「自分には助けてもらうほどの価値はない」「楽になったり幸せになったりしてはいけない」と思い込んではいないだろうか。だとすれば、彼らは援助を求めない。こちらから手を差し伸べても、拒絶されるのは当然だ。それどころか、みずから助けを求めておきながら、突然、翻意して背を向けることさえあるだろう。
そもそも、誰かに助けを求めるという行為は無防備かつ危険であり、時に屈辱的だ。冒頭に述べた、死にたいくらいつらい現在を生き延びるために、自傷や過量服薬を行っている子どものことを考えてみるとよい。一見、彼らはカッターナイフや処方薬・市販薬に単に依存しているように思えるかもしれないが、実はそうではない。問題の本質は、カッターナイフや化学物質という「物」にのみ依存し、「人」に依存できないこと、より正確にいえば、安心して「人」に依存できないことにあるのだ。(以上)
少し具体的には、カウンセリングの手法と同様ですが「正したいという思いを抑える」「受容、共感に関わる」「相手の感情やおかれている状況を理解する」「その理解を相手に伝える」「わかってもらえたという思いを感じやすくする」そして次のようにあります。
クライエントに関心をもって誠実に理解しようとする援助者の姿勢が、信頼関係の構築につながる。相手の考えや感情、価値観を理解し尊重する(同意するということではない)姿勢がないと、良好なクライエント・援助者関係を築くことは難しい。また、すぐにクライエントが行動を変えることが困難な場合は、先を急がず、クライエントと歩調を合わせ、まずは相談を継続してもらえるような信頼関係の構築に焦点を当てて、援助を行うことも有用である。(以上)
阿弥陀仏も私に正しさを強制せず、どこまでも信頼関係を重要視して、私を理解して、私に歩調を合わせ、私をして称名念仏の者たらしめて、救いを告げます。凡夫を救うという阿弥陀仏の救いの構造や手法と、「助けて」が言えない SOSを出さない人の支援は、同じところが多くに興味深い。
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