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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

「加速思考」症候群 ②

2025年04月25日 | 現代の病理
『「加速思考」症候群 心をバグらせる現代病』(2022/4/21・アウグリストクリ著),鈴木由紀子翻訳)からの転載です。


加速思考症候群

これまでのびでは、思号の構築プロセスにおけるメカニズムをいくつか述べてきたが、ここからは世紀の病である加速思考症候群について詳しく説明していこう。
 研究を進めるなかでまず、家庭内暴力やいじめ、仕事上の対立、、自殺、戦争、その他さまざまな暴力の根底には記憶閉回路症候群があるということをつきとめた。さらにそこから、現代社会に深く浸透している加速思考症候群を明らかにすることができた。
 しかし同時に、程度の差はあれ、すべての年齢層に加速思考症候群が蔓延していることもわかった。天才児と言われる子どもや、多動症として扱われる子どもも例外ではない。知らず知らずのうちに子どもの健やかな幼年則をも破壊してしまっている。
 考えることはすばらしい行為だ。批判的な意識をもって考えるのはなおのことよい。だが、考えすぎることは、生活の質や感情のバランス、創造的な知性を壊す爆仰にもなりかねない。

加速する思考
 生活の質を損なうのは悲観的な思考だけでない。あまり知られてないが、過剰な思考スピードもまた影響する。思考を暴走させたり、そのスピードをコントロールできないのは、心を管理する自己が明らかに不具合を起こしている徴収だ。ものすごい速さで場面展開する映画は、誰も長時問は見続けることはできない。だが、自身の加速思考がつくり出すドラマには何年も耐えている、これでは心身が疲弊してしまう。
 幼稚園から大学院までのすべての教育機関で、加速思考症候群の原因や症状、結果、さらにはその対処法を学ぶカリキュラムを導入すべきだ。しかし、実際には、内面を探求するために割く時間がない、現代の詰め込み教育は、教師にも生徒にもストレスを与え、創造性や健全な感情をも奪ってしまう。
 どんな機械でも、休みなく高速で稼働し続ければ、オーバーヒートし、部品が傷んでしまう危険がある。それは機械に詳しくなくてもわかることだ。ところが私たちは、思考を休ませなければ心が疲弊してしまうということを、これっぽっちもわかっていない。
 子どもたちは精神的に疲れている。親や教師も原因がわからないまま、疲れ叨っている。どんな職業に就いている人も、起床時からすでに疲れていて、体に鞭打って働いている。
 アメリカのオーランドで30か国以上から集まった修士課程の学生たちに、加速思考症候群について講義をしたことがあった。学生たちはみな動揺し、すぐにでも思考を管理する自己を訓練し、生活スタイルを変え、心の健康を保つ必要があると気づいた。
 人類は間違った道を進んでしまったようだ。コンピュータやインターネットの時代の到来とともに、私たちは財界規模で強烈なストレスにさらされるようになった。みな精神的ダメージを受けているのに、そういった世紀紀の病に気づいてもいない。
 思考の内容がどんなにポジティブで文化的かつ興味深いものだとしても、加速する思考が脳を激しく疲弊させ、さまざまな症状と深刻な不安を生み出す、不安な人人をつくるのは幼少時の病気のせいなどではない、脳内で思考が加速すれば不安が高じ、やがて病を引き起こす。
 不安には、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、燃え尽き症候群、パニック症候などさまざまな価類がある。加速思考症候群から生じる不安はより範囲が広く、慢性的で、周囲に伝染しやすい。(つづく)
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