仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

インドのヨガ聖人が戦争に利用されている

2010年07月16日 | 現代の病理
産経新聞(22.7.13)に「70年間飲まず食わず」 のインド・ヨガ聖人の話が当人の写真入りで出ていた。

色々な報道に登場する有名人で70年以上、飲食や排泄(はいせつ)をせずに生きているとして、インド国防省の研究機関が身体のメカニズム解明のために調査しているという。その目的が、実に現実的です。報道では(以下転載)
 ジャニ氏は今年4月22日から15日間、アーメダバードの病院に入院し、国防省の研究機関の医師団による検査を受けた。目的は、ジャニ氏の身体メカニズムを解明し、厳しい環境下で兵士が生き延びる方策に応用すること。貧困者の餓死対策になるとの期待もある。(以上)

「厳しい環境下で兵士が生き延びる方策に応用」というのが、人間の生臭さを感じさせ現実的です。戦争によって、科学が発展してきたというが、その通りなのだと思う。

自分たちが長く生き延びるために、あらゆる手立てをつくす。これって非常に重要なことだと思う。どうも戦争が悪なので、その中にある“長く生き延びるため”という核心的な重要なことまで否定されがちなところがある。

ある講演録(平田オリザー第1回龍谷学会講演会)を読んできたら、下記のような内容があった。(抜粋)

学力低下―読解力の部分が、日本は二〇〇〇年から二〇〇三年に八位から十四位に落ちた。参加国籍が増えているので、統計的には意味はうすい。読解力とは、専門用語では異文化コミュニケーション能力、グローバル=ミュニケーションスキルと呼ばれる、異なる文化、異なる価値観をもった人の意見をきちんと理解し、自分の意見をきちんと人に伝える能力。
一位がフィンランド、フィンランドに代表されるようなヨーロッパの小国はですね、この二〇~三〇年の間、そういう教育を徹底的に行ってきた。フィンランドのような人口数百万という小さか国が、自分の文化を守り、自分の言語を守り、独自性を発揮して行くためには、他の民族、他の文化に対して、きちんと自分だけどういう能力をもってます。化はどういう特徴がありますと、きちんと示して行かなきやいけない。

フィンランドのエリート層はですね、当然半分以上は海外の企業に勤める。小さか国だから労働力は外国からの移民に頼らなければいけない。要するに多民族でやって行かなければ、国家とかその自国の文化自体がなくなってしまう、その瀬戸際にヨーロッパの小国はみんな立だされ、その中でグローバルコミュニケーションスキルというものを、徹底的に教育してきたわけです。(以上)

引用が長くなったが、自分が生き延びるための教育、それが教育の根本ではないかと思う。最近の幼児期や小中学校の教育をみると、この“長く生き延びるため”という視点が欠損しているのではないかと思う。

まず価値観の多様化した社会の中で、自分が生きるのには、何が必要なのか。それさえ教えていないような思う。またさまざまな現代の病理、その中でどう生きていくのか。それも新しい教養だろう。
コメント
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