超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

オシエシラバス 1巻/高尾じんぐ

2011-05-29 15:25:20 | 漫画(新作)





高尾じんぐ「オシエシラバス」1巻読了。




個人的に猛プッシュしていた「んぐるわ会報」から約1年・・・高尾じんぐが帰って来ました。
しかも今度は生徒会ではなく、家庭教師コメディって事でまたも学業もの。
でも基本的には家が舞台なんですけどね。
今のところはね。
こうやってジャンルだけ書くと幾分地味にも思えるんですがファンタジー設定もいくつかあったりして
その点では決して地味だけに留まらない作品だと思います。
それは前作とも通じる部分ですけど。
だから前作好きならきっと今作も気に入るでしょう。場合によってはそれ以上かも。


で、これが中々に面白いんですよね。
まずは設定としてはいきなり美少女が飛び出してきて~ってやつなんですが
それなのに主人公が女っていうね。
全然嬉しくねぇ(笑)。
それがまずひねくれてるのと同時に、後半になって百合っぽい世界観に男が入ってきたりもして
その構成が面白いというか
いい具合に裏切ってくれるなあ、っていうか。
おまけに今作ではマスコットキャラの可愛さも習得し、ますます隙の無い漫画になってます。
どこ切ってもおいしい、みたいな。

高尾じんぐの漫画って、前作でもそうでしたが設定自体は特に目新しいものじゃないんですけど
とにかく描写が丁寧でちゃんとしてるんですよね。
今回のも家庭教師コメディって触れ込みですが
その実勉強のシーン、成果はきちんと出ていて、それは前作にも通じる部分で。
要は主軸となる設定自体もきちんとこなしている、と。
でもそれがめっちゃ結果が出てたり
爆発することなんてのはない
その点ではリアルとも云えますが、それでいて漫画っぽいシーンも入ってくるので
そのバランス感覚も非常に上手くて。キャラも漫画好き向けとは思いますが、嫌味は全くないですね。
むしろ誰にでも受け入れられそうな感じ。
だからこそもっと読まれてもいいなぁ、とは思ってますけど。いつかブレイクする日を期待しつつ
でもこの辺のポジションに留まって地に足のついた良作をずっと描いていて欲しい気持ちもありつつ。
そこら辺は難しいんですが
とにかく出来の良い作品である事は間違いないと思います。この素朴な世界観がとても好きで。

こっからは単なるキャラ好きの話になりますけど
メインヒロインである教恵の存在が、すごく良いです。めっちゃ可愛いです。
観てるだけで和むキャラっていますよね。
正にその感じ。
完璧超人と思いきや、実は意外と人間クサかったりそのギャップもまたイイですね。
最後には男性との絡みも出てきて、百合コメ的にもラブコメ的にも期待できそうでワクワクですよ。
その他にもすうちゃんやくにちゃんなど愉快なキャラもいっぱいで
そんなキャラ同士の絡みを見てるだけである程度楽しいですね。
後はテーマの描かれ方にも注目です。
勉強で身に付けること、豊かになる心。そして育まれる友情。愛に変わるかは未知数だけど(笑)。





ってな訳で、1年ぶりの新刊は正にバッチシ!な出来でした。この人の漫画ホントに好みです。
初めての方も是非この素敵素朴世界に浸かってみて下さい。
後半になればなるほど面白いです。
今回も高尾じんぐの作品という事でコンスタントにプッシュしていきます!

ちなみに、今回も千葉の八千代市が舞台ですよね・・・?(笑)。
最後に出てきた最寄り駅、
めっちゃ京成電鉄の大和田駅にそっくりなんスけど!その八千代愛、地元愛もまたステキな部分だよねぇ。



デッドマン・ワンダーランド 第7話「原罪」 感想

2011-05-29 01:50:41 | アニメ





「お兄ちゃん」。





ふむ・・・今回は前回ある意味で衝撃だった水名月ちゃんの違った一面
っていうか元々あった一面を垣間見る事が出来ました。
人間不信でああいう風になってしまったけど
言ってみればマトリョーシカみたいなもので、
単なる鎧、自己防衛に過ぎなかった。周りが信じられないから、憎しむことで感情を消そうとした。
期待することを止めようとした。
けど、それもやっぱり一つの強がりに過ぎなくて
心の底では誰かに助けて欲しい気持ちはあって。それも当然の話なんですけど。

そこを何度も叩いてくれた、
心の扉を叩いてくれた兄の存在、そして先週の丸太の存在、強い訴えかけ
結局はそれを信じてしまった、と。以前はそれによって強烈な裏切りを体験した彼女でしたけど
今回は、信じて救われた。期待して助かった。これは彼女にとっては大きいですね。
それが丸太のお陰って知れれば更に良いんですけど
そんな心が解れていくのにも期待です。
やっぱ可愛いしね(笑)。
サービスシーンもあって嬉しいなあ。ってのは単純か。


そんな残酷な世界にも援け舟が来ていて
この不条理に対抗する通称「スカーチェイス」という団体が丸太の元にやってきまして。
水名月さんを実質助けたのは彼らなんですが(お願いしたのは丸太)
やられてばっか
搾取されてばっかの丸太たちにも遂に希望がやってきた、と。
個人的にはズッパシさんにも仲間になって欲しいけど、それもまたありそうな展開ですよね。
この世界は信じられないほど汚くて、醜くて、そんな自分は無力で。
それでも生き続けていれば何かが起こる、変わるかもしれない。
そんなテーマがあるような気も個人的にはしました。
それはきっと辛い事だろうけどね。
辿り着くまでがね。

ただ、キツネメガネ側の用心棒的な存在なのかな?坊主と名乗る男が彼らの監視をずっとしていて
早くも反体制側が追いやられそうな勢いなんですが。
羊くん既にボコられてるし。
ただ、個人的にはこういうレジスタンス的なストーリー展開は割と好みなので
自分の中では幾分盛り上がってきた気はすごいしてます。
ってな訳で来週以降もとても楽しみですね。
キャラも何気に個性的だよね。




キツネメガネの能力者の増殖計画?とかシロは結局「赤い男」の正体だったのか?
だとしたら目的は?だとか気になる要素も増えてきましたけど
ドラマとしては結構観やすい感じになっていると思います。
髪って言うのは正直予想の範疇だったけど
それでもあれで正しいんだと思う。
そう思いたいですね。



どこまでも行けるさ/tobaccojuice

2011-05-28 21:43:50 | 音楽(旧譜レビュー)






相当遅れましたが、去年の3月に出たtobaccojuiceの「どこまでも行けるさ」の感想でも。




このアルバムは、明るいです。
多分タバコジュースのアルバムの中でも最も陽性のアルバムになっていて
それ故にブルースならではの湿った感じが好きだった私にとっては驚きの作品だったんですが
1年以上経った今だと
これもアリかな、っていうか
普通に元気が出るアルバムだよな、とか。そういう風にも思うのです。


「ヒーローは命を懸けて戦っていて
 言い訳する卑怯者の悲しみを救っちゃくれないから」 (僕のヒーロー)

でもこれもある種のブルースなのは間違いなくて、ちゃんと弱者の視点からなのが素晴らしいなあ、とか
そういう事も感じるんですが
明るいパンクというか
明るい反骨精神というか。湿った方向性で嘆くのではなく
笑いながら泣いて、泣きながら笑って。今までよりも生活感に根差した方向性になっているとも云えるんですけど。

それに加えてメロディも素直で跳ねてて、スッと入ってくるのが殆ど。
難しさも頭抱えた感じも捨て去って
お日様の下で口ずさみたくなるくらい開かれたメロディのオンパレードで
そこもまた新境地だなって思うのと同時に
単純に勇気付けられるフレーズも多く。
 日常生活で心が折れても、何もかも嫌になっても、音楽を聴く時だけは
聴いている時だけは救われて欲しい、心が豊かになってて欲しい。そういう一つの原始的な表現欲求。
むしろそれだけで作られてるんじゃないか?ってくらい
圧倒的に聴き手を掴みに掛かって来るこのアルバムは
最初こそ驚きつつも、聴き込んでみるといつのまにか言葉とメロディが自分の中に入り込んでいるような
そんなパワーのあるアルバムだと思います。
今ではとても好きな作品。

「天使のスピード」「エルドラード」等、神秘的でみずみずしい曲も入ってたりと
陽性一辺倒じゃないのもまたバランス的に良いですね。
その辺も抜かりなし。全9曲っていうのもまた聴きやすい部分です。




ファンの視点から書きましたけど、ある意味初心者的には入り込みやすいかもしれない。
純粋な音楽への愛、純粋な表現欲求。
素直で素敵なメロディ。
それがいっぱい詰まっているワンダフルなアルバムです。毛色は違うけど、これもこれで彼ららしい。
若返った、とも云えるか。最初が渋すぎたのかも。


過去作のレビュー

喜びがやってくる
http://blog.goo.ne.jp/nijigen-complex/e/249e0fa25e97d50c29f9835c3f230178

少しずつ歳を取って
タバコジュースの音楽もより体に、心に沁み込むようになって来た。
これからも彼らの作品はコンスタントに取り上げていく予定です。
もっと知られてもいいはず、って気持ちもありつつ。



ロスト アンド ファウンド全曲レビューその7 「その名前を」

2011-05-28 01:21:17 | LOST IN TIME 全曲レビュー





LOST IN TIME「ロスト アンド ファウンド」全曲レビューその7、「その名前を」です。

取り残された者たちに向けての、賛歌です。






7.その名前を



誰もが強く逞しく生きれる訳じゃない。
スタート地点こそ同じで、そこから既にある種の競争が始まってて
障害物レースみたいなもので。
そこから逃げられれば
逃げられるだけの力があればいいけれど
それに対してなす術のない人間もいて、最初から力は決まっていて。
無限大なんて言葉を信じ切れるのはそれこそ幼少の時くらいで
ある程度生き抜くと
その力がどれだけのものか
誰と誰かとどこまで差がついてるのか肌で分かってしまう。
そしてそれを埋めることが出来ない。
別のもので埋めようと必死でもがいても
それすらダメだったり
完全に逃げ道が塞がれてしまう。じゃあどうするの?ってなった時に出来るのは
無視を
無反応を決め込むだけ。
そうやって空しいまんま終わっていくだけの人生。

「身体を全部捨てたって 心まで亡くなりはしない」

いっそ無感になれれば
余計な事を考える力すらなくなればいいのに、と思いつつも
いくらこの身体を捨てようとしても
心が拒否するから
止めることも出来ないし
続けることを選ばざるをえない。そう考えると心ってものは厄介なシステムですね。
いくら辛かろうと、何も捨てることが出来ず、その癖何かに期待してしまう。

「両手をいくら振ったって 船は見つけてはくれない」

何かを頑張った?
でも頑張ったから許されるものではない。
それ以外のプラスアルファが必要なのだが
それを持てない人間は
いくら何かを頑張ったとしても、誰かに振り向かれる力はなく
もちろん引きよせる力もなく
結局は他の優秀な誰かに取られるしか術はないのだが
それに対して悲しいと思う気持ちもなく
あるのはただ
「仕方ない」って感情だけ。


「流れ星の数が足りなくなった」

この曲が一番云いたいのはここだと思います。
一番のポイント。
誰もが何かを願って欲しがるけれど
誰もが、って事は
結局そこからはみ出す人間も居るわけで
不幸にもそこに当たってしまう人間としての生
誰もが幸せになれる訳じゃない
裕福な人生を送れる訳じゃない。
流れ星をきちんと掴める人間、掴めない人間、その二つに分かれて
そのどっちかに入れるかの争いの繰り返し。

「穏やかで残酷な朝を迎えた」

「争う事を避け続けてきた その代償にまだ気がつかないのかい」

端的に歌われる痛みを伴うフレーズ。
個人的にはジンジン来ますけど
その分心に残る歌になっているのは間違いなく。正直聴いてて気持ちいいか、って問われればNOだけど
でも耳障りのいい歌だけが総てじゃない、とも思う。
聴き手にとって都合の悪い部分ばかりが歌われてる曲ですが
その分突き刺さる部分も大きく、
傷として残る。
そんな曲に仕上がってると思います。メロディも跳ねてて、その意味でも好きな曲ですね。

に加えて、語呂の良さも大きいです。
メロときっちりハマってる気が凄くするんですよね。
日本語の使い方上手だなっていうか。
そこもまたお気に入りで。
ちょっとひんやりしたリフもまた聴き所です。ナイーヴさ満点の曲です。






「最初からそこに名前があった」

誰一人にすら認められなかったとしても、そこに名前があったのは、確かなことでもあります。
それだけは、絶対に。



そふてにっ 第8話「てっぺんっ」 感想

2011-05-27 03:50:07 | アニメ





正直めっちゃ笑ってしまった。ここ一番の出来じゃないか?




この手の作品では振り切れさせることが重要になってくる訳ですが
その意味だと今週はめっちゃ振り切れていた。
原作の時点から面白かったあの意味不明なウォーミングアップだったり
後半のギャグパートでは何故か常に笑いっぱなしで、いつも以上に流れが上手くハマっている感覚があった。

そもそもストレート負けした赤玉中が既にストレート負けしてるって時点で
ちょっと面白いですよね。
少年漫画のインフレを皮肉ったような、ってのは考えすぎかな。
いきなり階段飛ばしまくってるしね。
全国チャンプって。

その岬さんも、これまたシリアスなんだかキュートなんだか・・・
確実にお子様やん!とは思いつつ
そのギャップもまたラスボスっぽいですよね。そうでもない?でもこれ結構重要なのは間違いない。
下手すると下手なシリアスに転んでしまう可能性もあるから、このキャラ付けは正解。
いきなりティクビ掴まれるとか
下着脱がされるとか
むしろ洗礼受けてるのはこの人なんじゃ?って気もしてきた。それもまたシュールな話ですが(笑)。


その黒玉中の親分でありか弱い乙女でもある岬さんの洗礼の方は
まあどれもバカバカしい方法でクリアしまくりですよ。
大福で釣るとか
妄想でクリアとか
来栖ちゃんの天然でクリアとか(笑)
どれもギャグ的な理由ばっかりだったんですが、それが面白くもあったんですが
最後は根性論でクリアっていうのがいかにも少年漫画的理由でちょっと安心もしてたり。
まあ実質リーダー核の琴音が根性者なんでみんなも付いて来るでしょう。
流石に彼女の妄想の中とは違ってくたばりやしないけど(笑)。

でもなんだかんだで頑張って、ご褒美の宿泊。
岬との勝負は翌日に持ちこし。


その宿泊の様子が・・・なんだ、その、スケベネタばっかで(笑)。
あそこまで連発されると笑わざるをえない。
レオくんの思わせぶりな腰振りから
千歳さんのバナナとか
そもそも何故都合よくバナナ?とか
いくら女同士とはいえオープン過ぎだろ、とか
女豹モードの明日菜になると思わず笑ってしまう、とか無理ありすぎ、だとか。
みんなビックリするくらい無防備なんだよな・・・
先週に引き続き官能小説ネタも(笑)。

今までもこういうバカエロ描写は出てきてたけど、今週はそれに輪を掛けて出来が良かったですね。
「すでに旅に来てるのにまた旅・・・!?」っていうオチも良かった。
個人的には今までで一番面白かったです。
ミッシーと琴音とエリザベスの三角関係も興味深かったし、一応前準備の回でしたが
過程として非常に秀逸な回ではありました。




同時に、青春っぽさも少しは出てきたかな。
最後にどうまとめるかも楽しみになってきてたり。
今のところ良いアニメ化だって思いますね。