超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

「あねどきっ」2巻 全話レビュー

2010-02-04 22:13:13 | 漫画(新作)




祝!「あねどきっ」2巻発売っ!
ってことで簡易ですが全話レビューしたいと思います。
どの話も飛びぬけて面白いから。すっごく。
完成度高すぎ。
世界観良すぎ。
という訳で以下↓




■第8話 秘密のサマータイム

「初恋~」以降河下漫画では単純なサービス回が激減していて
だからこそああ、なんかこういうの新鮮というか懐かしいなと思える回。
なつきの表情がいちいち色っぽすぎ。
 ただ、前と違うのはこういうサービス回だったとしても後半のやりとりで切なさを演出していて
且つ気になる引きも用意するという構成の上手さが目立つ。
リアルタイムで読んでた時は気になったものだった。
 それとハチに刺された後の応急処置のシーンが色々と凄い。
たった2ページの間に様々な情報が込められているように感じた。



■第9話 夏の次には秋が来る!

ちあきが実質的に初登場の回(引きでは一応前回ちょこっと出てますが)。
姉のなつきが「気にしない系」だとすればこの妹のちあきは「気にする系」。というか最も常識人。
ある意味狂っている落合家の特徴をズバズバ指摘してくれます(笑)。
 かと思えば、考え的にはしっかりしてるんだけど行動的にはおっちょこちょいな部分もあったりして、
そこはかとない人間味も感じさせてくれる良キャラとしての登場でした。
と、いっても後々にもっと良くなるんですけどね。
この話は本誌よりも単行本で読むほうが面白いかもなあ。

洸太とちあきの後半のやり取りはこの時期ならではの無邪気さが出てて微笑ましい。
そしてそのまま家に住みつくとか、どんだけ萩原家放任主義なんだよ(笑)。
 何気になつきがお嬢様なのか?と思わせる発言も。きっと複線として使うつもりだったんだろうなぁ。

「そんなに悪いだけのヤツじゃないと思う・・・」と洸太が発言するシーンは不覚にもグッと来た。



■第10話 ハウスワークが終わらない!?

扉絵がなんかいいなあ。雰囲気出てる。

ちあきが家事に奮闘する話。所謂ドジっ子っぷりが存分に描かれていて普通に面白い。
表情の変化も多彩で単純に見てて飽きない。
風呂場での一連のシーンが個人的にめっちゃ好き。ラブコメ特有のバカバカしさがよく出てる(笑)。

それとちあきが洸太に勉強を教える場面! よくここまで細かく感情描写できるなあ、と感心してしまった。
ちあきって基本いい子だよなあ。



■第11話 はじまりスターマイン

ちあきの発言により洸太がなつきを意識する話。
奏と洸太の夏祭りデートが描かれる話。

を、一緒に描くことによって醸し出される思春性のこそばゆさといったら。
女性作家なのによくここまで男子の気持ち上手くかけるもんだなあ。

浴衣姿の奏は可愛すぎです。



■第12話 その2文字を繋ぐもの

屈指の傑作回。読んでてちょっと泣きそうになった。

もうねえ、キャラクターの表情の描き方が凄くて。
こういう表情描いてる時どんな顔してるんだろ?って思う。
冒頭からやられてしまった。

この話でなつきも浴衣を着てるのだが、こっちはこっちで艶やかで良いですね。
高校生というよりも大人の女性だ。性格は子供っぽいけど(笑)。
でも結構頼りになる部分も描かれていて良い感じです。

ハイライトは、間違いなくなつきが奏を見つけた後の一連のシーン。
特にこのセリフ。


「なんかもう どっか行っちゃいたいって思って・・・・・・!」


漫画なのによくここまでリアルな表情描けるなと思う。
それもあくまで漫画的に。
別れ際の無理して笑っている表情も絶妙。
河下さんの凄さを垣間見たような、個人的にとても心に残った話です。



■第13話 恋の季節が色付いて

洸太がなつきを意識し始める話。「恋」にフォーカスが当てられた一話。
何気になつきの髪型が変わっているのもポイント高し。本当キレイな人ですね。

ただ、メインとなるのは妹のちあき。ちあきの表情もいちいち魅力的なんだよなあ。
奏と合わせて選り取りみどりですな。
 何気に事故でほっぺにキスするシーンも。その前のやりとりとかもそうですけど
普段が生真面目なしっかり者だけに恥ずかしがるシーンとの落差がとても凄い。そしてそれが見てて面白いですね。
 洸太に声を掛けた時の不敵な表情もツボ!



■第14話 くまと映画とペンダント

スーパーのくじで当たったチケットにより、ちあきと洸太がデートする話。なつきは用事があって行けなかったとか。

この話も良いのよ・・・。
ちあきの肉付けっぷりが凄いというか、この1話で好感度一気に上昇というか。
それまではなつきや奏と比べると少々魅力的に落ちるかな?という感じだったんですが
この話で一気に引き込まれてしまった。

なんといってもちあきの純粋さが見所。
映画に対してグチグチ言いつつも感動して泣いてしまうところとか、
実はくまのぬいぐるみが好きなところとか、
誰かに貰ったペンダントを大切にしているところとか。デート用の服も良かったですね。
なんかすっごい人間らしい子だなあ、って思う。
最後の顛末、オチの付け方も見事です。第12話に次いでこの巻で特に気に入ってる話。



■第15話 眠れないトゥナイト

洸太がなつきから意識的に離れようとする話。このところ意識しすぎていた為に。
こういうのが思春期の男子っぽくて好きです。
間違いなく反抗期ではないですね(笑)。
 そして久々に洸太の妄想も炸裂しています。

大人の視点から視ると、洸太って本当いい主人公だなと思う。逆に低年齢層にとってはあまりピンと来なかったのかな。
それもなんとなく分かる。
でも、大人になってからもう一度読み返して欲しい、とも。



■第16話 キス?スキ?キライ?

奏が洸太にキスしようとしているところをクラスの男子に目撃される話。
まあ、中学校ならこういう「茶化し」は必然といえば必然だよね(笑)。
自分の頃にもあったなあ、と。他人でしたが。

この話でも兎角洸太の反応が面白い!そしてつなぎの回なので単行本で読む方が面白いね。



■第17話 SILENT WEEK

キスの噂を消すために、一週間口をきかない約束をする、という話。
その分公園で一週間分話そうよ、というなんとも微笑ましい提案も見所。

この話を読んでいて思ったのが、遊具の使い方がなかなか上手いという事。
まあお山の中の空洞は定番っちゃあ定番だけど
ブランコを純粋さの象徴として使ってるのは個人的には不意打ちでやられた!って感じ。
またブランコ漕いでるシーンが本当に楽しそうなんだよ。
こっちも楽しくなるくらいに。

最後、「どっちがよかった?」ってセリフは、反則レベルです。




1巻も個人的に絶賛したいくらい面白いと思って、好きだったんですけど
2巻はそれ以上のカタルシスや感動がありました。
なんか読み終えた後、ジーンとしてしまった。
初恋~以降の彼女の「表情の描き方」は、完全に唯一無二の表現として定着してる感があります。
・・・主に自分の中で(笑)。


うーん、でも本当にもったいないな。まだまだ続きが読みたかったよ。本当に。

彼女はいつも最終巻に長いあとがきを付けるので、4月発売の3巻にも期待大!です。