アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

春のおすし

2011-04-05 10:45:55 | 手作りのたべもの
  先日ふと、「もう土筆が出てもいいころだ」と思い立ち、うちの敷地内で一番標高の低い場所で、毎年土筆がよく出るあたりに行ってみました。そしたら、先に目に付いたのは、ノカンゾウ。こんなに大きくなっていました。今年は冬が長くて、しかもやっとあたたかくなるはずの季節に東日本大震災が起き、天候も気分も沈みがちでした。そのせいか、季節の変化に心を留める余裕がなくなっていたようです。

  すぐ近くに土筆も。もう先端がほほけているのもあります。ただ、地表に顔を出してから寒さにやられたらしく、元気のない色をしています。

  見つけた日の夕食には、どちらもゆでてユズみそで和えました。今年初めての春の香りです。といっても気持ちだけ。どちらも香りはありません。

  次の日、こうなごちりめんのゆでただけのものを手に入れたので、ちらし寿司を作りました。愛知県産のこの凍結していないソフトちりめんは、旬のもの。いましか手に入らないようです。

  私が作るおすしは、たいてい5分つき米を使います。あわせ酢は、純米米酢に塩を入れるだけ。砂糖もみりんもいれません。その代わり、具にはみりんを少し利かせて甘みを出します。この日の具は、高野豆腐と干ししいたけにニンジン。ちりめんは酢につけて酢と一緒にすし飯に混ぜます。おすしの上に、ゆでた土筆とノカンゾウを飾りました。春のおすしのできあがりです。

  土筆はもっとたくさんほしいのだけれど、取れたのはこれだけ。他の場所はまだ寒いので顔を出していないのか、昨年から今年にかけて出没しているイノシシに踏み荒らされて、スギナが寸断されているから見つからないのかわかりません。毎年野ブキが群生している場所に行って、ふきのとうを探したのですが、辺り一帯イノシシが崩した後があって、草のほとんどは掘り起こされていました。

  ところで、この辺りの人は土筆を食べないと聞きます。以前仕事でよく訪れていた滋賀県の農村でも、「あんなもの、食べないよ」といわれたことがあります。ワラビやゼンマイ、野ブキは競って摘みに行くようですが、土筆は毛嫌いしているみたい。「スギナは百姓の敵だ。取っても取っても生えてくる。そんなスギナから出ている土筆なんか、食う気になれない」という話も聞いたことがあります。「スギナの根は地獄まで伸びている」とも。だとしたら、うちのスギナ、イノシシが踏み歩いたくらいでなくなることはなさそうです。もう少しあたたかくなったら、また探してみることにします。
コメント
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