(1)日本の昨年のGDPは593兆円と安倍元首相がアベノミクスで目指した600兆円目前で、今年中には達成する見込みといわれる。さらに岸田首相は2040年ごろにGDP1000兆円を「大きな目標」と言っている。
(2)日本は団塊世代の高度経済成長時代から米国に次いでGDP2位が続いたが、その後景気はデフレが長く続いて経済成長の著しい中国に抜かれて3位となり、昨年独にも抜かれて4位に後退して来年にはインドに抜かれて5位(IMF予測)になるとみられている。
(3)GDPは新たに生み出された製品、サービスの価値全体を表すもので、国民消費比率が60%を占める。一般的には人口割合に比例するもので少子化の日本はGDP比率は余程の高い経済成長率でもなければ減少傾向になり、GDP1000兆円目標は余程の経済成長率が続き少子化対策が効力を見せなければ実現はむずかしい目標だ。
(4)GDPが高いからといって国民生活が楽で豊かだったかといえば、日本も長いデフレ経済で賃金が伸びずに苦しい国民生活が続いた。最近は情報化、グローバル化、IT、AI時代でGDPも国の経済力を示す指標にならないとして、経済だけでなく環境、福祉、教育、健康、格差などの社会的つながりを重視する「幸福度」(happiness)を基準にする方法論がある。
(5)国連が中心になって毎年発表している「幸福度」ランキングでは「経済規模は小さくても福祉に手厚い」(報道)北欧諸国が上位を占めて、日本は51位だ。
経済と行政の満足、幸福度は別物で、情報化、グローバル化、IT、AI時代の新経済理論の定義が必要だ。
(6)ブータンでは国の豊かさを「国民総幸福量」で測るが、若者の失業率が上がり国外流出が続き、経済格差で政権が交代した。
米国の巨大IT企業は世界に顧客、情報、デバイスを独占して巨大利益を生んでおり、仮想通貨の発行も視野に入れた国家的機能を目指して、既得権益を巡り欧米日などは法制化により巨大IT企業規制に乗り出して対立が続く。
(7)経済、産業構造が先端的に変わり、新経済理論による経済力の評価基準が必要となっている。岸田首相は就任早々「新しい資本主義」として厚い中間層をつくる「成長と分配の好循環」を掲げたが、政府会議では取り組んでいるようだが3年たっても成果、具体的な政策はみえずに、円安物価高で今年の5%超の高い賃上げでも物価高が上回って実質マイナス成長が続いている。
(8)円安株高は格差社会を助長しており、GDPと国民生活のギャップは大きい。