(1)経団連も夏恒例の軽井沢夏季フォーラムが開催され岸田首相も招かれたが自民党が裏金問題で派閥解消、規正法改正に揺れて野党からは団体献金禁止の方針も打ち出されて向かい風の中で、サステナブルな未来社会のデザイン、グローバルリーダー育成は打ち出されたが注目されるような建設的な提言は聞かれなかった。
(2)政治は通常国会が会期通り終わってその後は音無しの行き詰まった停滞状態で、9月の自民党総裁選に向けての表立った動きもみられない。そんな中で政界では与野党を巻き込んだ先人政治家、元首相を再評価、回帰する懐古調(レトロ)の動きだ。
立憲民主党では「田中角栄研究会」が設置されて与野党横断的な動きになっており、自民党では超党派の議員連盟「石橋湛山研究会」が昨年6月に設置されて、今夏山梨県で研究会を行う予定だ。
(3)立憲民主党が自民党金権体質、利権政治の象徴ともいえるロッキード疑惑で東京地検に逮捕された田中角栄研究会を立ち上げたのも、現在の政治状況をみれば意図がさらに読みにくいものだ。
石橋湛山研究会は高度経済成長時代後の安定経済、国民生活向上社会の政治状況に通じるものだが、行き詰まった現代政治打開のダイナミズム(dynamism)とはならずに懐古調、レトロ主義でしかない。
(4)政治、政治家が後ろ向きになって自信(どういう自信なのかが問題だが)をなくしているあらわれであり、しかし何かを変えたい思いは伝わってくる。冒頭経団連の夏季フォーラムでは、経済界も含めて政界に対して未来志向の世代交代論(alternation of generations)を進言する姿勢があってよかった。
(5)少子化に向けて企業も賃上げによる人材確保に意欲的に取り組んでおり、若者層の労働力を活かすためにも経営者の世代交代は必要で、政治の世界でも人材不足はあきらかで世代交代での重い停滞した政治の打開が必要だ。