いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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韓国での南北首脳会談。 summit between south & north korea in south korea

2018-04-28 19:55:41 | 日記
 (1)米朝首脳会談を控えての政治的、歴史的意味のある南北首脳会談だった。南北首脳会談は今回で3回目だが、これまでの2回は北朝鮮側で開催されており、韓国側で開催された最初の南北首脳会談(summit conference)だ。

 それだけ北朝鮮金正恩委員長にとっては切実な問題だったことが伺える。会談冒頭、韓国文大統領が北朝鮮側から白頭山に行きたいと述べたのに対して、金委員長は文大統領が北朝鮮側に来られたら正直、交通の不備が心配だ(報道)と正直にインフラの遅れを嘆いたといわれる。

 (2)国連安保理の経済制裁強化が北朝鮮に影響を与えていることを示すもので、やむにやまれぬ北朝鮮側の韓国側に出向いての南北首脳会談だったことが伺える発言だ。
 金委員長は会談後の共同発表で「一つの民族、一つの言語、一つの歴史、一つの文化を持つ北と南が本来のように一つになり繁栄を享受することができる」(報道)と述べて、自主的な南北統一、平和に言及している。

 かっての米ソ冷戦時代の代理戦争として朝鮮半島を二分して同じ民族が軍事対峙する韓国と北朝鮮であり、南北統一は悲願でもある。ソ連邦が崩壊した後も現在北朝鮮の後ろ盾の中国と韓国と軍事同盟関係にある米国のそれぞれが影響下にあって対立が続いている。

 (3)同じように当時の米国とソ連の影響下にあって同じ民族同士が二分されたベルリン、ドイツはソ連邦の崩壊によってベルリンの壁が取り壊されて東西ドイツの統一が実現したが、朝鮮半島の韓国と北朝鮮は自由主義、資本主義体制と共産主義、独裁国家体制とに二分されており、民族統一は簡単ではない。

 どちらかの主義、思想、体制が崩壊しない限りは統一というのは困難だ。金委員長の狙いも前述のように会談冒頭内容からも自由主義、資本主義経済で成長、繁栄をとげた韓国との経済協力が目的であり、今後今回の南北首脳会談を契機にして経済、資本、人的交流を進めて国内経済の安定をはかり政権基盤を確固たるものにするのが自主統一、平和の持つ意味のプロセスだ。

 (4)6月までに開催される予定の米朝首脳会談での成果がどう出るのかにかかっているが、米朝首脳会談でいきなり北朝鮮の非核化の完全道筋の合意とはいかないだろうし、韓国が主導して朝鮮半島融和実現という訳にはいかない。

 金委員長の思惑による南北対話路線の継続でどこまで経済制裁の軟化、経済協力が進むのか、米国、日本の経済制裁の圧力強化が続けば同じ陣営の韓国の立場も苦しい判断に迫られることになり、事次第によっては南北関係が後戻りすることも考えられる。

 (5)ソ連邦の崩壊による東西ドイツの統一といったインパクトは期待できないだけに、米国と中国の強い影響力の中で朝鮮半島の自主南北統一というのは考えられない。
 今回の南北首脳会談では北朝鮮の非核化については「共通の目標」として確認されて前進はみられなかった。

 米朝首脳会談ではトランプ大統領から具体的な北朝鮮の核廃棄のプロセスの表明に迫られることが考えられるが、今後の協議継続で北朝鮮の時間稼ぎに使われることも考えられて非核化プロセスの長期化は避けられない可能性もある。

 (6)拉致問題は今回の南北首脳会談では事前の観測とは違って公式には話し合われたという結果は見られなかった。米朝首脳会談ではトランプ大統領が拉致問題を議題にすると言明しており、何らかの進展に期待したい。

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