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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

公務員の政治活動。 political activities of public servant

2012-12-08 19:12:43 | 日記
 (1)日本維新の会(代表代行)の橋下市長が前職の府知事選立候補で、勤務時間中に反対候補を応援する政治活動をしたとして当該府職員を懲戒処分するとして、その後大阪市長に転身して市職員の政治活動を一律規制する条例を成立させた。

 憲法での公務員は全体の奉仕者(public servant)として政治的中立を求めており、国家公務員法(the national public service law)は人事院規則で定める政治的行為(政党などの機関紙や刊行物を発行、編集、配布する行為など)を禁止し違反者には罰則を適用しており、その趣旨による市職員の政治活動規制条例だ。
 当初、同違反者には罰則規定を盛り込んだが、地方公務員法には罰則規定はなく政府が違憲との見解を示したためにこれは削除した。

 従来の行政機関と職域労働組合との相互互助慣れ合い実態(勤務時間中の政治支援組合活動)に英断を示したとして府民、市民の支持、人気は高い。

 (2)国家公務員が休日に政党機関紙を戸別配布したことが、国家公務員法に違反し職責(地位)判断により有罪、無罪となった二人について、最高裁はともに上告を棄却(判決確定)した。
 74年にはいかなる国家公務員も政治活動(この時は選挙ポスター掲示、配布)は禁止することを合憲と判決(判例)していた。今回はこの判決を一部変更し、あたらしい判断(判例)を示したものだ。
 ①管理職地位の有無、②裁量の有無、③勤務時間の内外、④地位利用の有無などを裁判条件にあげた。

 (3)外国の判例では、米国ではすでに93年に勤務時間外の政治活動(political activities of public servant)を原則自由化し、その他規制違反に対する罰則はないのが先進国通例となっている。

 今回の最高裁判決は、国家公務員といえども原則勤務時間外の自由(思想、信条の自由)は守られるべきであり保障されるべきものとして、あたらしい判断(判例)を示したものだ。
 職務上の責任(public servant)と勤務時間外の個人、社会人としての自由活動との個別的適応能力、責任性を明確に区分、区別した、憲法本来の「人格権(right of individuality)」保障に沿ったあるべき判断だった。

 (4)当時課長補佐職の被告は「課内の総合調整を行う立場にあり、他の多数の職務遂行に影響を及ぼす地位にあり」(判決)有罪となったが、管理職にあるものが地位を利用して政治的背景、影響力を及ぼすという理念、判断条件も排除して、一律勤務時間外は思想信条の自由は保障すべきであった。

 現実的に地位により強制もしくは従順せざるを得ない状況が起きれば、それは自由を拘束して不当労働強制行為であり、職責を逸脱した行為となるのはあきらかだ。

 (5)行政機関と職域労働組合との政治的確執(それにともなう相互互助慣れ合い体制)、対立の時代は過去のものとなって、個人、私人の権利主義の時代のなかで組合構成力、活動も衰退しており、国家公務員法の趣旨、精神性も憲法が守る本来の個人の権利、自由、人格権保障の精神性に「時代変化」して当然だ。

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