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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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憲法改正論ーその2。 theory of constitutional law revision

2012-12-24 19:28:57 | 日記
 (1)当面は26日発足の自公連立政権(合意)のお手並み拝見というところだが、自民党の安倍総裁から盛んに出てくる憲法改正(constitutional law revision)問題は別だ。
 「戦後レジーム(regime)からの脱却」を唱えて憲法改正、自主憲法制定を目指しているものだが、天皇を国家元首、自衛隊を国防軍、集団的自衛権行使の見直しと「戦後レジームからの脱却」とは「戦前への回帰」のような保守独裁色強化の様相だ。

 憲法改正を公約に今回の衆院選を大勝した自民党政策の影響で、今回当選の国会議員の70%以上(9条改正)、項目によっては91%(憲法改正)が憲法改正、9条改正に賛成、前向きな考えを示している(メディアアンケート)。

 (2)その発信元の安倍さんは、現行憲法で同改正発議に3分の2以上の賛成(96条)が必要なことに「『たった』3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民の皆さんは『指1本』触れることができない。議論すらできない。」(報道)と、まずは同改正発議権を2分の1に引き下げ改正することを主張している。

 しかし、そうではない。今回の衆院選は自民党は公約で憲法改正を主張したが、しかし最大の争点は民主党政権の失政評価であって、仮に憲法改正が大きな争点になれば、政権選択の選挙の「国民」の審判でこれに意思表示ができる。
 最近は事あるごとに世論調査も頻繁にあり、国民世論の動向も一定の影響力がある。衆院が自公連立で3分の2を超え、また改憲意思勢力だけで3分の2を超える(メディアアンケート)現状分析から、当面はねじれ国会の来年の参院選が国民意思表示の機会、転機となる。

 (3)憲法は、国の基本法として統治機能の基本理念を示すもので、具体的な権利義務関係は法律によって施行されるものだ。
 現行憲法は戦後日本の米国占領施策として制定されたものだが、9条(国際紛争を解決する手段としてー憲法前文)の戦力不保持(戦争の放棄)など平和憲法といわれて高い基本理念を持つものだ。

 9条の戦力不保持の解釈を巡っては個別的自衛権を認めるかどうか長く論争もあって、現在は個別的自衛権容認は一般的な国民理解となっている。
 主権国家として自主憲法制定には一定の理解はあるが、平和憲法として定着した現行憲法の「どこ」を見直し、改正するのか、表現のあいまいさを見直すだけなのか基本理念そのものまで変えるのかは、判断する国民にとっては見過ごすことのできない重要案件だ。

 (4)米国による占領支配下の制定憲法を見直して、自主憲法制定を目指す概念、理念、精神性が問われる。日本を取り巻く国際関係は、かって日本の軍事政権国家による侵略戦争の犠牲を強いられた経験を持つ中国、韓国をはじめとするアジア圏内での緊張外交にある。

 自公連立政権が戦後レジームからの脱却を唱えて戦前に回帰するような、近隣アジア諸国に連想させる憲法改正論議では、その緊張外交、関係をさらに複雑に悪化させるだけの国益不利益のものでしかない。
 憲法改正政権は、国民に対して広く深く「具体像」を示しての説明責任(accountability)が必要だ。

 (5)近年の日本外交戦略は、平和憲法の無理な拡大解釈による自衛隊の海外派遣、武器輸出政策の解禁と米国覇権主義、世界戦略に組み込まれての軍事追随国家観が鮮明になってきている。
 さらに集団的自衛権、戦闘行為の容認にまで踏み込んで、これを望む米国のための憲法改正論となれば、過半数が憲法改正に反対(世論調査)の国民の意思とはかけ離れたものだ。

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