オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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【小ネタ】セガ・マッドマネーとアルフレッド・E・ニューマン(Alfred E. Neuman)

2022年02月27日 17時46分11秒 | スロットマシン/メダルゲーム

セガのスロットマシンに、「MAD MONEY」というタイトルがあります。製造時期を特定できないのですが、筐体の形状からおそらく1960年前後から1960年代前半の間に作られたものと推察されます。

MAD MONEYのフライヤー。

MAD MONEYのトッパ―には、前歯が欠けた少年の顔と、「WHAT-ME WORRY? (何が心配なんだ?)」の文字が書かれています。これは、米国の「MAD」という雑誌のマスコットキャラクターとその決めセリフです。
MAD誌は1952年に創刊され、社会、文化、政治や芸能など日常のあらゆる出来事を風刺してギャグやジョークに転化する「ユーモア雑誌」(ウィキペディア英語版による定義)で、現在も刊行されています。漫画家の赤塚不二夫さんも大きな影響を受けていたそうで、MAD編集部を訪れた模様を描いた漫画を中学生の頃に読んだ覚えがあります。

前歯が欠けた少年の名は「アルフレッド・E・ニューマン(Alfred E. Neuman)」と言い、元々は19世紀に無痛を謳う歯医者の広告に使われていたキャラクターだったのだそうです。「WHAT, ME WORRY?」のコピーもまたその時に使われていたもので、MADのキャラクターとなった後も使い続けられました。歯が欠けているのもそんな出自に関係があるようです。

MADの表紙を毎回飾っているアルフレッド・E・ニューマン。

しかし、この時期にセガがMAD誌に然るべき権利料を支払って「アルフレッド・E・ニューマン」を使用していたとはどうしても思えません。おそらく、日本で製造し、ターゲットはアジア圏の米軍基地や英国なので、MAD誌の著作権など無視して無断で使用したものと思い続けていましたが、その裏付けとなるエピソードを見たことはありませんでした。

しかし先週の日曜日、ワタシはFacebookのあるグループで、この「MAD MONEY」の画像がアップされているところを発見し、そのスレッドには「MAD誌は、この機械が米国に持ち込まれた場合は訴訟を起こすと述べていた」とするコメントがありました。

(赤線部分の翻訳)マッド誌はもしこれらが米国内に持ち込まれたら訴訟を起こすと述べ、そのためセガはこれらの機械のほとんどをUKと大英帝国に輸出した。

このコメント自体も裏を取る必要はあるとは思いますが、少なくともMAD誌がセガのMAD MONEYの存在を把握しており、訴訟の意思があると明言していたとする情報は初めて見ました

MAD MONEYは、アルフレッド・E・ニューマンの顔がどこでも3カ所に出現すれば18枚のコインが支払われる「マッドマネー」と言うフィーチャーを特徴としています。よほど人気があったのか、スターシリーズ筐体の後に開発されたコンチネンタル筐体やウィンザー筐体(関連記事:セガ60周年記念・1960年以前のプレセガ期(4) セガのスロットマシンその2)でも発売されました。また、このフィーチャーは7号機に転用された「オリンピア」のスキーシンボルにも応用されています。

オリンピアのペイテーブル。スキーシンボルについて、「(ドノ位置デモ3ツ出レバ)」はマッドマネーフィーチャーの応用と思われる。

最後にまったくどうでも良いことですが、NHK朝の連ドラ「まんぷく」の登場人物「レオナルド」を初めて見た時、生きているアルフレッド・E・ニューマンだと思いました。

朝の連ドラ「まんぷく」に登場したレオナルド。演じるのはハリー杉山さん(画像はハリー杉山さんの公式ブログより)。