オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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初期の国産フリッパー・ピンボール:ウルトラアタック(日本展望娯楽、1970年代?)

2020年10月11日 17時03分00秒 | ピンボール・メカ

今回の「初期の国産フリッパー・ピンボール」は、ワタシが小学生時代に東急百貨店東横店の屋上で遊んだ(関連記事:商業施設の屋上の記憶(1) 渋谷日本娯楽機日本展望娯楽の「ウルトラアタック」を取り上げます。


ウルトラアタックの筐体とプレイフィールド。「Internet Pinball Database」掲載の画像を縮小している。より大きく鮮明なオリジナル画像はコチラを参照されたし。

ワタシはこの機械の製造年を特定できていません。バックグラスとプレイフィールドに描かれている「ウルトラセブン」のTV放映期間が1967年~68年なので、ワタシは長いこと60年代に作られたものだと思い込んでいたのですが、バックグラスに描かれている「MAT」のロゴは1971年~72年に放映された「帰ってきたウルトラマン」に登場するものであることを後に知り、70年代の製造である可能性が俄然強まりました。


バックグラスの「MAT (Monster Attack Team)」のロゴ。「Internet Pinball Database」の画像より。「MAT」とは、1971~72年に放映された「帰ってきたウルトラマン」に登場する、怪獣と戦う組織の略称だった。

ゲームは時間制で、プレイフィールドの最上部にあるサッカーのゴールのようなところにボールを打ち込むと得点が加算され、ゲーム時間内に一定以上の点数を獲得すると再ゲームが出来ると言うものでした。ボールがゴールに入ると、エプロン左右に配置された大きな緑色のランプが点灯したのが滅法カッコ良く見えました。

プレイフィールド上には、ゴールの手前に一個と、プレイフィールド中段の左右に一個ずつの、合計3個の「スピニング・バンパー」がありました。これは、正三角形に配置した3個のピンにラバーバンドを巻き付けたものを高速で回転させるという仕組みです。


ウルトラアタックの3個のスピニングバンパー。ゲーム中は高速で回転し、当たったボールを弾き飛ばす。「Internet Pinball Database」の画像より。

米国製ピンボール機にもこれと類似する機構のバンパーが見られる例はありますが、多用はされていません。ウルトラアタックの、ポップバンパーよりも簡単な機構で、しかも1個のモーターで3個のスピニング・バンパーを回転させている点は、コストダウンに大きく寄与する秀逸な工夫だと思います。

しかし、フリッパーは滅法カッコ悪いものでした。これよりも先に作られたと思しき「クレイジー15ゲーム」(関連記事:初期の国産フリッパー・ピンボール:「クレイジー15ゲーム」)では、米国製品のフリッパーの形状を踏襲したプラスチック成形品をわざわざ作っていたのに対し、「ウルトラファイト」では、一定の長さに切断した合成樹脂製の円柱を、機械に取り付けた時に上面と下面となる両側面を平らになるよう切削加工しただけの、まるで壊れたフリッパーの代用品を手近な端材で作って応急処置として取り付けたかのように見えるものでした。


ウルトラアタックのフリッパー。「Internet Pinball Database」の画像より。

メーカーの「日本娯楽機」日本展望娯楽」は、戦前より外国製のコインマシンを参考としていくつものゲーム機を製造してきた日本最古の古参のAM機メーカー関連記事:商業施設の屋上の記憶(2) 目黒近辺)であり、娯楽機の理解は深かったはずですが、敗戦後、高度経済成長期に入った1960年前後にゼロからの再スタートを切った時には、戦後に登場したですが、「フリッパー」という新たな概念を適正に認識することができず、単純にコストダウンを優先したためにこのようなものになってしまったのではないかと言うのが、本件に関するワタシの考察(妄想でも可)です。

プレイフィールド左右のラバーバンドで区画された内側には「リーフスイッチ」が見えます。ラバーバンドにボールが当たり、このリーフスイッチが反応すると、米国製ピンボールと同様のチャイム音が鳴ると同時に、バックグラスの小さな白い丸のランプが進行するのですが、それにどんな意味があるのかは昔も今も不明です。ひょっとすると10回リーフスイッチに当たると1点になる、というようなルールがあったのかなあと想像していますが、確認はできていません。

youtubeに、稼働するウルトラアタックの動画が上がっていたので、これをご紹介して今回の終わりとさせていただこうと思います。

 

【記事訂正のお知らせ】「ウルトラアタック」のメーカーは「日本展望娯楽」である疑いが濃厚になってきたため、本記事において「日本娯楽機」としていた部分を修正し、それを前提として記述された部分を削除しました。(2022年7月3日)