大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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定額減税で増税をカモフラージュした「手口」、そこまでして通した増税【子ども子育て支援制度】の怖すぎる実態

2024年06月21日 | 増税

増税と言っていた国が定額減税を実施する前の今月6月5日に増税を決めました。

本気の減税では無かったのです。

しかも、今回の増税は、幾重にも賃金を抑制するしくみの「仕込まれた」非常に問題の大きなしくみです。昨日質問した原稿を掲載します。

政策的な文書で、わかりにくいかもしれません。


後日、わかりやすく解説して掲載します。

 

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フェアな民主主義奈須りえです。

物価高対策のための定額減税が、今月6月から始まっています。人口74万人の大田区では、特別区民税の納税義務者役42万人がその対象です。

中でも、納税義務者の84%を占める約35万人の給料から税金を源泉徴収される人の住民税の減税のしかたは、とても複雑で、不思議なしくみです。

減税は、所得税1人3万円、住民税一人1万円ですが、6月の住民税の天引きを0にするのです。一人1万円の減税が、6月免除ですから、多くの方たちが、減税しすぎになって、6月の手取りが一時的に増えます。振り込まれた手取りだけを見て、減税やベースアップの効果が大きいと思ってしまうかもしれません。ところが、減税しすぎた分は、7月以降の住民税に11分の1ずつ上乗せして徴収されるので、7月から来年5月まで本来より手取りが減ってしまいます。

国は、この複雑なしくみを作ることで、7月以降の住民税の一時的な増税状態を作っているのです。給与明細は、企業のサーバーなどを見に行って確認しなければなりませんし、みても増税状態に気づかないかもしれません。

なぜ、あえて給与所得者に増税状態を作っているのかと調べたら、国では、減税をいう前、去年の今頃から、少子化対策費を医療保険料に上乗せして徴収する、議論を始めていました。

そういえば、2022年の年末から昨年の春ごろまで、防衛費1兆円のために所得税等を増税すると言っていました。私は、国は1兆円足りなくて増税というが、日本全国の地方自治体の基金を合わせると22兆円もあるのに減税と言わないのはおかしい、と思っていました。そもそも、地方自治体に基金が22兆円もたまるのは、小泉構造改革の地方分権の三位一体改革で、国から地方へ3兆円の税源移譲を行い、地方に財源が厚くなる構造を作ったからなのです。三位一体改革の効果の検証はどうなっているかと、財務省に電話したら、住民税は総務省だというので、総務省に電話したら、三位一体改革は内閣府がしたと言われ、内閣府に電話したら、地方分権の三位一体改革でねん出された税をどう使うかは内閣府の仕事だが、その構造の是非についての検証はしていないと言われました。そこで、もう一度総務省に電話したら、検証はしていないし、住民税の減税は、各自治体が条例改正して行うことだと言われました。私は、このことがあって、大田区に基金が1267億円もたまっていたので、住民税を減税を言い始めたのです。ところが、今回、国が法律を変えて減税です。やろうと思えば減税できるということです。

防衛費1兆円のための所得税等の増税と言っていたのが、医療保険料への上乗せ徴収に変わり、岸田さんが増税メガネと呼ばれるようになって、そのあと最後に出てきたのが、この定額減税です。

増税が、減税に変わっているのですから、裏があるとみるべきです。

実際、国が、「子ども子育て支援制度」という医療保険料負担の増を決めたのは、今月6月5日。源泉徴収者も普通徴収者も6月に減税されますが、減税される前に増税を決めたのですから本気の減税で無いことがわかります。

減税で人気をとるなら、全額所得税で減税できるのに、住民税一人1万円を加えて減税したのは、減税対象者を広げるためより、納税者の大半を占める日本全体だと納税者の8割、大田区で納税者の84%の多くに増税状態を作って、医療保険料負担の増を見えにくくしなければならないから、と見るべきです。それくらい、今回つくった「こども子育て支援制度」は、私たちに深刻な影響を及ぼす、問題のある制度改正で、定額減税は単なる減税ではないと思います。

国債を発行し、増税をいう国が、減税というのは、理屈に合わないのです。
 国は、今回の「子ども子育て支援制度」で少子化対策として、児童手当の所得制限をなくすなど拡充し、妊娠出産の際の10万円相当の経済的支援やこども誰でも通園制度などを加えましたので、大田区は、国の子ども子育て支援制度の動きもふまえていて、特別区民条例改正案を提出したと思います。だったら、なぜ、議会や区民にその全容を示していただけなかったのかと思います。それとも、大田区も知らなかったのでしょうか。

何より問題なのは、私を含めたほとんどの区民が、定額減税に気を取られ、こども子育て支援制度という新たな負担増の本質を知らないうちに、しくみが成立してしまったということです。マスコミも国も大田区も国会でも、誰も、わかりやすく説明してくれませんでした。

ところが、今年4月5日の国会の審議の中で、経済産業副大臣は「一・一兆円が公費節減の効果だし、【あけます】社会保険負担軽減の効果というので一・〇兆円ということで。【あけます】ステークホルダーの合意が得られたので、その流れで六年分、一・一兆円という考え方を取らせていただいて、私どもは、現在の経済財政状況を踏まえれば、これがベストの国民の理解を得られる考え方ではないかというふうに思っているということであります。」と、答弁し、この子ども子育て支援制度の公費節減と社会保険負担軽減に言及しています。我が国最大のステークホルダーである主権者が、合意どころか、十分な説明さえ受けていないのに、経済産業副大臣は誰と公費1.1兆円節減と社会保険負担軽減1.0兆円を合意したのでしょう。

誰かとこっそり合意しているのを知ると、なおさらに、今回の定額減税が、医療保険料増という増税のカモフラージュだという思いが強くなります。定額減税の大田区特別区条例改正以降、この問題について、様々な資料を読み、考えて、ようやく私なりに見えてきたことがありますので、今日は、そこを取り上げたいと思います。誤解もあると思いますが、そこはご容赦いただきご指摘ください。

「こども子育て支援制度」のあらたな財源となる「子ども子育て支援金」は、標準報酬という医療保険料算定などに使う被保険者の所得に「支援金率」という国が定めた割合をかけて算定し、これを、保険者が医療保険料に上乗せして徴収します。事業主と被用者の労使折半です。

ところが、支援金の試算は公表され法律は改正されましたが、こども家庭庁は肝心の支援金率は、これから決めると言っています。

制度は今年10月からですが、医療保険料上乗せ分は、2024年度と25年度は全額国債で補助されるうえ、2026~28年度の保険者が負担する支援金も、6000億、8000億、1兆円と段階的で、国債で補助され、医療保険料があがらないようにしていて本格実施は令和11年2029年と5年も先です。

奇しくも少子化対策の「子ども子育て支援制度」が国会で可決したその日に、厚生労働省は、国1.2、東京都0.99の過去最低となった昨年の合計特殊出生率を公表しました。このまま少子化が進めば、給付は減りますので支援金率は想定より下がります。

外国人労働者受け入れは、それに伴う社会保障費負担の増など国民感情を刺激し、欧米でデモなどが起きるほどですが、今年からさらに緩和された外国人労働者の子どもは試算に入れていません。支援金の試算は、扶養家族の数まで含めて割って保険料負担が少なくなるように見積もって、さらに、国債で2年据え置いた後、段階的に負担を引き上げるので、幾重にも、そして、2029年までの長期にわたって、医療保険料の負担増を被保険者に気づかれないようにしているのです。

そこまでして、負担の増をみえにくくしているのですから、5年も先の本格実施でよほど負担は重くなる、重くするのでしょう。

2025年度が1年空いてしまいますから、今年に続き、2025年度も定額減税のようなことをするかもしれません。

本当に国の制度を作る人たちは頭が良いと感心しますが、その良い頭を、国民の不満や矛先を反らすのではなく、国民からの信頼を勝ち得るために使ってほしいと心から思います。

しかも、問題は、なぜ、そこまでして「子ども子育て支援制度」の負担増をカモフラージュしなければならないかです。

当初、国は防衛費1兆円のため所得税など国税を増税すると言っていました。国税が必要だったのに、できたのは、医療保険料に上乗せにして徴収する子ども子育て支援制度です。増税はどこへ行ったかと思ったら、子育て支援制度は、税と事業主で負担してきた子育て支援の財源として、労使折半の医療保険料を上乗せで徴収し、税の負担割合を小さくするので、子育てに使っていた税の負担が減っています。経済産業副大臣が言っていた公費1.1兆円節減の意味はこれではないでしょうか。

納税者から見れば、税金で負担していたのに、医療保険料もとられ、税と社会保険料の二重取りですが、国にとっては、1.1兆円税を節減し、財源をねん出したことになるのでしょうか。

それでは、社会保険負担軽減で1.0兆円と経済産業副大臣が言っているのは何を意味するのでしょう。

区民は、税金負担も減らないし、新たに医療保険料負担は増えます。

それでは事業主にとっては、どうでしょう。

事業主負担は3.6パーミルですが、2028年の支援金への1兆円の補助で計算すると4.6パーミルという数字が出てきました。現在の事業主拠出金率3.6パーミルは、全額事業主負担ですが、支援納付金は労使折半なので、被保険者負担は、2.2パーミルの純増ですが、事業主負担が3.6パーミルから2.4パーミルに1.2パーミル減ります。

被保険者は保険料負担増と賃金抑制というリスクを抱えたのに、国は、国債で2028年まで社会保険料の事業主負担を軽減してあげた。それが、社会保険負担軽減1.0兆円という見方もできると思います。発行した国債を償還するのも私たちです。

そこでうかがいます。

1事業主負担を減らし被保険者負担を大きくする今回の制度改正は、手取りの減だけでなく、賃金抑制の方向に働く可能性が高く、物価の高騰に伴いあげるべき被用者(雇われ働く人の)賃金がさらに抑制されるのではありませんか。

一部の大企業などが過去最高益を上げている一方で、中小企業等の倒産や廃業が後を絶ちません。赤字になる健康保険組合も急増し、被保険者2700万人を抱える健保組合の5割を超す組合が存続の危機だという指摘もあります。この制度により、負担が増えれば、重い保険料負担に悩む健保組合の企業が賃金(標準報酬額)を下げることで、負担感を下げようとする可能性も否定できません。だからと言って、事業主負担まで国債を発行して軽減すれば、過去最高益をあげる一部の企業まで優遇することになります。

医療保険料に上乗せして子育て支援費を負担させる仕組みが、いかに問題が大きいかということです。

更に問題なのが、国と地方の税で負担していた割合が減りますが、その分、減税されるわけではないことです。

経済産業副大臣は、6年で一・一兆円が公費節減の効果だと言っています。
 子ども子育て支援制度を作ったことで、国は、増税と同じ効果を得られたということです。

そこでうかがいます。

今回のこども子育て支援制度ができることで、国と地方の税で負担していた割合が減るが、減税されるわけではありません。その分、国と地方の財源が削減され、新たな財源確保の状態、つまりは、社会保障費の増に伴う増税状態になるのではありませんか。

防衛費1兆円の増税を言い、増税メガネというあだ名をつけられた岸田総理ですが、減税と子ども子育て支援制度の合わせ技で、1年たったら増税を国民に気づかれず、こっそりと達成できたということです。

節減された1.1兆円の公費には当然国に加え地方分もあります。

令和10年、2028年までの区の縮減される負担はいくらと見込めますか。

今回の制度改正で増える拡充分1人当たりで146万円は、今年と来年は全額。2026年から2028年は段階的に補助されます。

減る地方負担分は、増える被保険者の医療保険料負担軽減のために使うべきではありませんか。

国と大田区は、税で担っていた児童手当という社会保障を、さらなる医療保険料の負担増というかたちで、被保険者である区民に負担させ、ねん出できた財源は、社会保障とは言えないところに使うなら問題です。大田区には、そうならないよう、拡大する格差の是正に使ってほしいと思います。

国も区も、子ども子育て支援制度を作ったことで公費を節減し、財源を確保できますが、その財源は、被保険者が、賃金抑制のリスクまで負って支援金で負担します。

しかも、子ども子育て支援制度の給付の対象が広がれば、連動して支援金の負担は重くなります。

国は、出産も医療保険の対象とするなど、給付の対象を広げると言っていますし、外国人労働者の受け入が拡大する可能性が高いのです。

住民基本台帳には外国人の方も載るよう法改正されたので、2013年から大田区の人口に外国人も含まれています。ところが、国は、今回の子ども子育て支援制度で増える可能性が高い外国人のこどもの影響は含めずに試算しています。昨年公表された国立社会保障人口問題研究所が出した日本の将来推計人口に、日本人女性だけの出生率とそれに外国人女性の生んだ日本人を父とする児の数を加えた合計特殊出生率が掲載されていますが、これをみると、2025年から2070年まで、外国人女性の生んだ日本国籍児の数を加えると、0.03ポイントから0.07ポイントくらい上回ります。国際的交流が進展した人口状況を正確に再現するためには、外国人女性の出生数の把握は必須のしくみだと書かれているのに、今回の保険料負担の試算には反映されていないのです。

外国人労働者は、国からご家族を呼び寄せることも可能になりましたし、日本でこどもを持つことも考えられますから、さらに外国人の子どもも増えるでしょう。大田区の基本構想策定のデータブックから、今後区内の外国人人口も割合も増えますし、転入する外国人は20~34歳がほとんどだということがわかります。

私は、この制度は、確かに少子化対策ですが、少子化で減る労働力を外国人労働者に求め、円安と物価高で、日本で働くメリットが少なくなっている外国人労働者が日本に来られるようにすること、来ることで日本人の賃金も抑制されること、結果、投資家を支援する側面も大きいと思っています。
身の丈にあった社会を作るのも政治の責任です。
 そこでうかがいます。

3外国人労働者増に伴うこどもの増で、区民の社会保険料負担は、国の試算よりさらに増えるのではありませんか。今後の外国人労働者の増に伴うこどもの数の増についてどう見込んでいますか。

介護保険を医療費に上乗せして負担が始まった時も、初年度2000年は、3.6兆円。それが2023年度には3.8倍の、13.8兆円です。それまで税で担ってきた福祉を医療保険制度という給付と負担を連動させる仕組みに組み入れると、負担がどれだけ増えるかは、介護保険で体験済みです。

大田区に基金がたまっています。それも、約20年前の295億円に比べると1300億円ですから1000億円も増えました。

これまでの財政規律に従えば公債を発行していたのが、個人住宅の何十倍もの規模のインフラをキャッシュで次々購入して、それでも余って貯まっているのですから、どれだけ、私たちの税負担が大きくなっているかがわかります。

2022年度末の自治体の基金は27兆円。2年前より5兆円も増えたのに、誰も地方税の減税を言いません。私たちは、地方自治体に税金を払いすぎているのです。

国を財源不足状態にすれば、国は法律を作り、増税し、私たちは手取りを減らします。そのうえ、地方自治体に税金を払いすぎることでも手取りを減らします。

1989年に消費税が始まりましたが、当初地方交付分はありませんでした。1997年に地方消費税が1%で導入されますが、その時には、社会保障財源という位置づけではありませんでした。

それが、2014年の4月に消費税が8%に引き上げられてから、地方交付分も一部社会保障に位置づけられるようになりました。3党合意で消費税が社会保障財源となったからかもしれません。

OTAシティマネジメントレポート66ページをみると、2015年~2022年度まで大田区に交付された消費税の総額が1555億円で、そのうち大田区が社会保障に使ったのは764億円でした。791億円は社会保障には使われていなかったのです。

使った、764億円も大田区が社会保障関係費と書いているように、厳密に私たちが思い描く社会保障費だけではないのです。

基金を貯めて、公共施設等に使っても、多くの人たちは、税と物価の高騰で相対的に金融資産を減らし、徐々に相対的に貧しくなるばかりです。特に、物価の高騰で、加速しています。今回、こども手当は所得制限をなくしましたから、所得再分配機能をもつ社会保障費とは言い難い使い方に変わっています。

こういう財源まで子ども子育て支援金に含めれば、給付分、医療保険料から徴収しなければなりませんから、保険料が上がるだけでなく賃金が抑制され、中高所得層の山が小さくなります。

そのうえ、所得制限のない給付が増えれば結果として、被用者の賃金を減らし、児童手当などの現金給付は、ベーシックインカム的な色合いを強めていくと思います。

資産の無い暮らしは余裕のない暮らしです。

資産が無ければ、それを元手に商売をはじめ、個人事業主や社長という資本家になることもできません。

そこでうかがいます。

そうなる前に

4政治が、国の税収を不足状態にし、地方に税金を余らせているのですから、少なくとも、大田区が余らせ貯めている基金1300億円は、今こそ、減税含め区民に還元すべきと思いますが、いかがでしょうか。


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