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今回(=第二回定例会)の議案に「大田区立はぎなか園」と「知的障害者デイサービスセンターはぎなか」の指定管理者指定の議案が提出されるとともに、図書館を指定管理者に行わせることができるための条例改正の議案が提出されました。
2004年の第三回定例会以来、指定管理者制度導入は、単なるコスト削減のみで選択するべきものではなく、民間の創意工夫を活かし区の施設をどのような形態で管理・運営するのがいいのか、大田区としてのビジョンや基本方針を示さなければならない。
また、個別の施設についての指定管理者制度導入や指定管理者の選定にあたっては、図書館を例にあげ、あるべき図書館の姿や指定管理者制度導入により何をどのように改革していくのかといったビジョンを明らかにするべきであること。そして、それは、区民サービスの向上のためなのであるから区民と共に作り上げていくべきであると言うことを申し上げてきました。
しかし、残念ながら、指定管理者制度導入ありきで、大田区としてこの制度を活用し区内施設をどのように運営していくのかは未だに不明確です。
特に、今回条例改正案の出ている図書館については、当初から指定管理者導入できた施設ではなく、その後文科省が導入できるとした施設であり、指定管理者制度導入に当たっては、明確な方針を示した上で、それにふさわしい事業者をどのように選定していくのかが重要であると考えます。
昨年の図書館の指定管理者導入にあたっり質問した際に、「住民ニーズ・サービスの向上・コストパフォーマンス」という言葉もでてきましたが、「条例の中に書いてあることをそのとおりに実施してもらう。その主体が指定管理者である」という答弁が、まさに、大田区の指定管理者制度導入の姿勢を示しているように感じます。
図書館に指定管理者制度を導入し現在の「業務委託」以上に大きく改善されるもの、区民がサービス向上として実感できるものはなんなのでしょうか。
前回、大田区の図書館全館に指定管理者制度を導入する方針を発表した際、同様の質問をしましたが、それに対し、教育委員会は、具体的な部分についてプロジェクトチームをたちあげていると答弁しました。今回、導入のための条例改正提案にまで至っていますので、その部分もふくめ質問しました。
しかし、今回の指定管理者制度導入による改善として答弁したのは、経費削減以外には、
①利用者ニーズにあったタイムリーな企画の講演会・講座の開催
②地域の図書館として区民との協働によるイベント企画の開催
③貸し出し・返却などのカウンター業務などと区が行っている管理業務の一体的運営による効率化
をあげましたが、経費削減に比重がおかれ、他の改善点が乏しいと言わざるを得ません。
区は、制度導入による更なる施設活用改善に取り組むべきです。
また、これまでの施設の指定管理者の選定を終えて感じることは、何を基準にどのように選定したのか手順、方法が各部局ごとにバラバラで恣意的であるということです。
指定の終わった指定管理者の募集要領や決定理由をみてみますと、例えば公募実施をするかしないかの判断基準が曖昧です。
施設の性格上、利用者や地域と職員との関係や専門性などから公募をしないことが望まれる施設もありますが、公募実施の判断基準と何年後には導入する経過的期間も定める基準が必要です。
また選定委員会を設置するかしないか。応募資格とそれを証明する書類。事業以外の選定基準などが、施設ごとに統一されておらず、なぜそうした方法がとられているのかも不明瞭です。
札幌市では、指定管理者制度導入にあたり、指定に関する事務処理要綱を策定し、募集から申し込み、選定委員会の設置基準や委員構成、選定基準など総則的な規定を定めています。
また、個別の施設にはそれぞれの設置目的がありますので、その特徴を活かすため、区民のニーズにあった今後の活用方針や目標・基準を個別具体的にたてたうえで、それらを選定の基準に加えています。こうした施設の活用の目標や基準の設定は、事業運営の事後評価につながるものです。こうした方針や目標・基準をより達成しうる事業者を選定し評価することが、指定管理者導入の目的であり効果ではないでしょうか。
千葉市では、選定理由や応募団体名、選定されなかった事業者は匿名ではありますが審査結果や事業者からの質問とそれに対する行政からの回答などもホームページ上で公表しています。
指定管理者の指定に当たっては、施設活用の目標や基準を持った上で、客観的な選定基準と透明性の確保が必要であると考えますが、今後どのように取り組むのか質問しました。
これに対し、「質問の主旨は一般的な基準を定めるべきと言うことだと思う」主旨を理解していながら、各施設の性格の違いがあるので一律な基準は無理と質問をそらした答弁になってしまったのは大変残念です。
最近では、行政の皆さんも様々な場面でSRという言葉を使ってくださるようになり、ました。様々な事業が次々と民に解放されています。民間委託や本日の指定管理者制度のみならず、官が民と競争する市場化テストといった制度も国のレベルでは導入されつつあります。
一部の許認可や政策的な判断を除いては何でも民が担うことができるのだという考え方もあります。
それでは、これまで行政が担ってきたことをそのまま民へ渡すのがいいのでしょうか。
官と民の違いは、守秘義務を除いては、賃金だけなのでしょうか。
私は、そのようには考えません。
官が提供するサービスが無条件に最高であるとは思いませんが、官が担えば高コストだから低コストで高いサービスを提供できる民へという単純な問題でもありません。
やはり公共サービスの基盤には、財務基盤や職員体制などの安定性があります。また、公正な労働基準や環境方針、障害者雇用、男女平等参画なども守られてきました。
経済性からのみ計られる運営の効率性ではなく、今後、大田区の公に係っていく民は、企業であれ、NPOであれ、こうした基準を率先して守っていくことが大切であると考えます。
これまで、大田区が作り上げてきた大田区のCSR=社会的責任を、たとえその分野を民が担ったとしても、今後も引き続き大田区としてまもっていくことが重要です。
選定の基準のなかにこうした視点を盛り込むことが重要であるがどうかという質問に対して、守秘義務法令順守のみに視点を置いてきたわけでなく経済性公平性などを保ちながら適切な委託・指定を行っているとしながら、選定基準ということばが答弁には盛り込まれませんでした。
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