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国土交通大臣がJR東海にリニアを認可してはいけない法的理由【大深度地下法:公共の利益の視点から】

2018年06月30日 | リニア

リニア中央新幹線は、大深度地下利用の認可を受けなければ、実現しない「夢の新幹線」です。

JR東海が3月、国交大臣に大深度地下利用を認めるよう申請し、それを受けて公聴会(国交省が意見を聞く)が開催されました。

奈須りえは、法の要件にかなっていないため、認めるべきではないと意見しました。


 

大深度地下法は、公共の利益のための事業であることを求めていますが、JR東海は営利企業で、株主利益という私益を追及する株式会社だからです。

公共の利益というのは、誰もが希望すれば受けられるといった簡単なものではなく、
・排除しない
・優遇しない
といった、公共性が求められます。

公聴会で私は、赤字でもやるのか聞きましたが、赤字でもやると答えませんでした。

私は、私益を追及する企業に、個人の財産(個人宅の地下)を公権力が使わせることを許してはならないと考えますが、仮に認めたとしても、儲けには限度があると思います。

政府は、リニアのために平成28年度1.5兆円、29年度1.5兆円、合わせて3兆円の財政投融資をしていますが、いま、本当にリニアの事業のために使われているのでしょうか。

 

 

JR東海の設備投資残高は、現在でも5000億円に届きませんし、もちろん平成28年から3兆円も増えていないのです。

 

現時点で何につかっているのか聞きましたが、JR東海は、財政投融資を受ける前の2010年の当時の経常利益や投資状況の推移を説明して、名古屋間の工事が終わった後、経営状況が悪化した時に使う計画だと言います。

ということは、3兆円は現時点でリニアの建設工事に使っていないのに、すでに3兆円の超低利の融資を国から受けているということになります。(利率は全期間固定の1・0%で、返済期限は2056年1月12日。)

リニア中央新幹線建設とは関係の無い、利殖に使われている疑惑も出てきます。そうなると、3兆円得たことで、株主に多大な利益を与えていることでしょう。

公共の利益のための事業と言いながら、株主の利益のために行う事業になっていないでしょうか。

 以下、リニア中央新幹線の大深度地下利用を認めるべきではない理由についての意見公述です。


 

「中央新幹線品川―名古屋間建設工事」に関わる「大深度地下の使用」について認可を認めるべきではないという立場から公述させていただきます。

私は、大田区の区議会議員をしておりますので、大田区民の声を代表して意見を申し述べさせていただくとともに洗足池の近くに住む住民として発言させていただきます。


【住民に気づかせず、企業に地下利用させる大深度地下法】

リニア中央新幹線は、山梨県や長野県など中央アルプスの問題で、大都市の地下をリニアが走ることをご存じない方は、大勢います。

なぜリニアの問題が伝わらないのかという理由の一つが、この大深度地下法という法律なのだと思います。

地下の深いところは私権がおよばないようにして、事業者に使わせることができる法律だからです。


【見えてきた大深度地下利用の意図】

 

2000年7月の政府の広報「時の動き」に掲載されている「大深度地下法成立に伴う大深度地下利用」についての特集を読んで、あらためて、大深度地下法の問題点が理解できたと同時に、その意図が見えてきました。

 

【手間とお金と時間のかかる用地確保を簡略化した大深度地下法】


・高い土地も大深度地下法の地下利用なら無料

政府広報の大深度地下の特集では、当時の国土庁大都市圏整備局長板倉英則(いたくらひでのり)氏が、大深度地下法成立の背景や趣旨や意図について詳しく説明していますのでそこから引用します。

 

大深度地下法は、バブルのころに地価が異常に高騰して、地上部でのライフラインの用地確保が困難になったので、地下利用に注目したことから始まります。

 

 

・手間のかかる合意形成も、大深度地下利用で省略

 

ところが、通常のインフラ整備における用地取得は、地権者との合意を前提として行われますが、それだと、一人一人の地権者を探し当て、特定して、個別に同意を得るのが前提で、土地一筆ごとの土地調書作成も義務付けられるので、非常に手間暇がかかるのだそうです。

 

・時間のかかる土地収用手続きも、大深度地下利用で省略

 

しかも、任意買収に応じてもらえなければ、土地収用の手続きをとらなければいけませんが、これも非常に時間がかかります。

そこで、「国民の権利保護に注意して」、円滑に利用するため=つまりは手っ取り早く地下利用できるためのルールを確立する必要があるということで、検討してできたのがこの大深度地下法なのだそうです。

 

 

大深度地下法は、インフラ整備の土地取引をスムーズに行わせるために、

憲法 第二十九条の

①      財産権は、これを侵してはならない。

②      財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律でこれを定める。

③      私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

という原則のもと定められている、

民法第207条

・土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ

土地の上下に及ぶ権利のうち、土地の下を私権がおよばないようにしています。

 

加えて、「土地収用法の事前補償の原則」を「事後に請求して初めて補償される」と変えてしまいました。

 

計画経路の真上に住んでいる方が、家の下をリニアが通ることをご存じないのも、法律が意図していたことだと知って、非常に驚きました。

 

・大深度地下法で、軽視される国民の権利保護

 

当時の国土庁の板倉氏は、「国民の権利保護に注意して」と言及していますが、「事前補償を請求されたら事後に」「私権が大深度に及ばない土地所有権」など非常に重大な憲法上の権利を法律で変えてしまっています。

今回のリニアの大深度地下利用について、国やJR東海、東京都および大田区はじめとした地元自治体は、どこまで「国民の権利保護」に注意したのでしょうか。

国民の権利保護は政府の公報の宣伝文句にすぎず、当初から守るつもりはなかったのでしょうか。

 

口約束にすぎなかった国民の権利保護

 

これについて、当時の国土庁の板倉局長は、

・土地収用法にもない説明会を前広に開催する、

・収用法や都市計画法にもあるが、一般公衆に対する公告・縦覧・利害関係者の意見書の提出、

・さらに必要に応じて公聴会(これが今日ですね。)

を開催ですから、これをみると、それなりの説明をしているように見えますし、説明会を前広に開催すれば、大深度地下使用の合意形成になるかのような印象です。

しかし、全幹法(全国新幹線鉄道整備法)の認可以降、JR東海は、計画経路上の住民に対して、説明をしてきませんでした。

きめの細かい周知を考えているというのも政府の公報宣伝だったということになります。

 

今日、こうしてここに集まって意見を述べるのは、計画経路周辺住民のうちのいったい何%、何人でしょうか。

 

知らされていない、大深度地下法で財産権が補償されなくなること

 

しかもリニアの通る真上や近隣に住んでいることを、国からもJRからも知らされていないだけでなく、リニアが通るとどうなるのか、土地収用されるとはどういうことなのか、ご存じないかたも多いと思います。

たとえ、何度、JR東海が説明会や意見書を提出する機会を作ったり、公聴会が行われたとしても、当事者一人一人が、この大深度地下法で何が起きるのか知らされなければ、国民の権利は守られません。

そうした意味では、住民の要望に対し国土交通省が説明会を開催しないのも問題です。

 

 

今回、仮に、この大深度地下利用を国土交通大臣がJR東海に認めて、工事が始まったり、その後リニアが走り始めたりしたとき、仮に振動や騒音がひどくなったとします。

その場合、自分の家の下にも関わらずJRに嫌です、どいてください、補償してください、と言っても主張が認められず、我慢させられるかもしれません。

 

 

知らない間に、憲法の保障する財産権が無くなったり、著しく侵害される可能性のある、憲法違反が疑われる法律です。

 手続きの簡略化で、さっさと進むリニア中央新幹線事業

このリニアについて環境アセスメントの意見を言ったのが、4年前です。仮に、これで大深度地下利用が認可され、リニア中央新幹線のトンネル着工になれば、環境アセスメントから、たった4年で用地確保まで進んだことになります。非常にスピーディーだと思います。

 

この大深度地下法は、通常行っている憲法の保障する財産権の侵害にあたる重大な法手続きを省略して、工事を早めるために、土地の上下に及ぶ財産権のうちの地下の権利をなくしたり、土地収用法の補償を事前でなく事後にするなどの「当別措置」を国土交通大臣がJR東海に講じるための法律であることがわかります。

 

最初から、密集した大都市でスムーズにインフラ整備することを目的に作られた法律なので、対象地域は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏です。

目的は都市部のインフラ整備ということになりますから、この3大都市圏はさらに一極集中します。

 

知らされていなかった地域住民

 

大田区下丸子や、世田谷区奥沢小学校の大深度地下法の説明会会場で、多くの住民のみなさんが、知らされていなかったことについて訴えていたのも、この事業についてのJR東海や行政の説明不足をよくあらわしています。

意見募集締め切り2日前に、JR東海が意見募集のチラシ


大深度地下法説明会終了後に、JR東海が、計画経路上のすべての住民に意見募集の締め切り直前に意見を言えることのお知らせをポスティングしたのも、住民の声に動かされたからだと思います。やり直しすべき手続きの瑕疵を明らかにしたかたちですが、少なくともJR東海も説明不足を感じたということでしょう。いずれにしても、ポスティングは、意見締め切りの2日前。

 

徹底して使われない「リニア」の文字

 

しかも、この間、JR東海が地域にお知らせするチラシには、耳慣れない中央新幹線という正式名称が使われ、一貫して「リニア」の文字がありませんでした。JR東海は、リニアとホームページでさかんに使用していますが、住民にはリニアが通ることをよほど知らせたくないと見えます。

そうやってコッソリ手続きを済ませて、さっさと工事に取り掛かかろうとする事業者の事業は、公共の利益があるんでしょうか。無いからこっそりやるのではないかと疑いたくなってしまいます。

今も家の地下をリニア中央新幹線が通る計画があることを知らずにいる住民のかたも少なくないと思います。

 

大深度地下使用は認可されて初めて認められるものです。国、自治体及びJR東海は、地下の土地の使用権を収容するという重大な処分で私権を国家権力が制限するわけですから、国が、政府公報で示したように計画経路周辺の住民への丁寧な周知手続を講じ、説明をやり直すべきです。あるいは、改善できないということであれば、この程度の法の運用だということで、公共の利益とは到底言えませんから、大深度地下の使用は認めるべきではありません。

 

それでは、周知すればそれで認めていいかといえば、そうではありません。

「地下深くは影響が無いから公法上の使用権を設定する」としても無条件に認可できるものではありません。

 

大深度地下利用の認可は、土地の地下という私有財産に、社会資本整備だからと事業者の使用権を設定しながら、その対価や補償は事前には行わず、工事を始め、事業が始まってから、事後的に損失が出たら、請求を待って補償するというしくみです。私も調べて知りましたが、財産権を侵害する恐ろしいしくみです。

法の趣旨や制度の内容も知らせず、この広聴会が正常に機能するでしょうか。

 

 事前補償が事後補償!何かあっても保障されない?大深度地下法

 

 仮に、振動で家屋にひびが入るなどの影響が出た場合、これを補償させるには、被害を受けたものが、JR東海に請求しなければなりません。因果関係の立証責任を個々人に負わせるなら、あまりにもその負担も大きく、そもそも、家屋調査など事前に行っていなければ、立証もできず、補償されない可能性が高く問題です。JR東海は、地域住民に対し、事後補償について伝え、地権者の家屋調査はじめとした調査の希望を聞くなど、事前に行うべきことをすべきです。

 

不動産取引の重要事項になっていないリニアの大深度地下利用

 

同じ大深度地下利用でも、外環道における大深度地下利用は、不動産取引の重要事項説明の対象だそうですが、今回のリニアの大深度地下利用は不動産取引における重要事項説明に入らないそうです。

 事前補償されませんので、土地を売ろうとしたら売れない、売れたと思ったら、リニアを理由に契約破棄された、周辺より安くしか売れなかった、などの影響が出た場合、請求して補償されるでしょうか。

 説明会でJR東海は、地価は影響が無いので「下がらない」、と下がらないという説明をしています。

地価に対する考え方が事業者と住民とで大きく違うため、土地取引における不動産価値の下落も、立証しづらいのではないかと心配です。

 

 

・国も一番心配といっている地下水の問題で、心配な洗足池の水

 

また、2000年の政府広報が、大深度地下利用で、最も注意しなければならないと指摘しているのが、地下水の問題です。水脈を絶ったりする心配もあるからです。

 特に、大田区東雪谷の非常口の近くには、地域一帯に降った雨を大地で受け水をたたえている洗足池があります。非常口工事の掘削によっては、帯水層を突き抜け穴をあけることになって、水が抜けてしまうのではないかと心配しています。

JR東海は、湧水が北から流れ込んでいるため南にある非常口は、洗足池の水に影響しないと説明していましたが、非常口掘削によって帯水層から水が抜ける心配についての説明は行われませんでした。

2000年の政府の広報は、トンネル掘削工事に使う密閉式シールドマシンは、地下水に影響を与えずに掘り進むことができると説明しています。しかし、地下深い地下鉄のトンネルなどに湧水が流れ込み、ポンプアップしていることは、周知の事実で、JR東海も地元には、リニアトンネル内に流れ込んだ地下水を下水に流す計画であると説明しています。密閉式シールドマシンでもトンネル外壁は密閉できないということです。

仮に、リニア工事後に洗足池の水が減ったとしても、それをJR東海に補償させるには請求し、因果関係を立証しなければなりません。

因果関係が立証されたところで、洗足池の水はもとに戻らず、水道水を入れたり、池の底をコンクリートで固めたりしなければならないかもしれないのです。

洗足池には、つみを頂点にしたカワセミ・キビタキ・オオルリ・など豊かな動植物の生態系が密接にかかわりあって成立しています。大深度に連なる非常口とトンネル工事でこの自然をこわすならどこに、公共の利益があるのでしょうか。

 すでに始まっている外環道のトンネル掘削工事では、上を流れる野川に圧縮空気で掘り進む空気の気泡がブクブクとあがってきています。大深度地下の掘削に使う密閉式シールドマシンは、密閉されるので地下水に影響を与えずに掘り進むことができるという説明は、野川で誤りであることを証明した形です。

洗足池の水が抜けてしまう心配も解消されません。水が抜けてから事後にJR東海に請求しても、因果関係が立証できなければ、JR東海は責任をとらず、責任逃れを許すことになるかもしれません。大深度地下利用は認めるべきではありませんが、かりに、工事をするなら大田区とJR東海とで、洗足池の自然環境を守るための協定を結ぶべきです。

 

大深度地下法は、今回の鉄道はじめ、道路、河川、電気通信、電機、ガス、上下水道等の公共の利益となる事業を対象に、法第16条に書かれている7つの要件すべてに該当するとき、使用の認可をすることができると規定されています。「できる」規定ですから、認可しなくても良いということです。

 

知らされずに、財産権が侵害され地下の私権がおよばなくなりますが事前の補償もなく、被害を被っても自分で立証しなければならない可能性。環境への影響についての事前の協定の必要性など、私含め公述で明らかになってきた大深度地下の問題を十分踏まえ、ご判断いただきたいと思います

 

 

私益(株主利益)最優先の株式会社に、公共の利益は担えるか

 

国鉄の民営化により、現在、JR東海は東海旅客鉄道株式会社というその名の通り、株主利益を最優先する営利目的の事業者です。

 

JR北海道が不採算路線を廃止している事例をとりあげるまでもなく、営利企業は、利益がでなければ廃線し撤退します。

公益より、株主利益という私益を優先するのが株式会社ということなのです。一般に、公益といった場合には、不特定多数の利益を言いますが、それが公共の利益となると、さらに厳しく、私利目的が無いことや、特定のものへの優遇の禁止や排他性の無いことなどが求められます。

 

大深度地下法の認可は、国土交通大臣が認可した鉄道事業者が行う鉄道事業なら、何でも認めてよいでしょうか。

鉄道事業といっても、鉄道事業すべてに公共の利益が認められるわけではないはずです。

そもそもの必要性や自然環境への影響、安全性や公金投入の可能性や要件などを検証・立証すべきではないでしょうか。

 

 

・リニア建設の過剰な設備投資で、増える事業者利益、増える国民負担

 

 

JR東海は、リニア中央新幹線を作ることで、東海道新幹線による大動脈の二重系化もたらし、東海地震など東海道新幹線の走行地域に存在する災害、リスクの備えとなる。といった必要性を説明しています。

しかし、東京―大阪間は、東海道線、東海道新幹線、航空路、東名・中央自動車高速道路、加えて空路などすでに、何重にもリスクの備えとなる交通網を備えており、リニア中央新幹線建設の必要性が、公共目的にかなうかどうかの、費用対効果の検証も不十分です。

まったくの民間の事業であれば、建設しても、整備しても、自己責任で売り上げを確保して、コストを回収し利益をだしますし、私たちは「使わない」ことも可能です。

ところが日常生活に密接にかかわり、使わなければ生活できない鉄道事業が、過剰に投資されると、私たちは、かかった費用に利益を載せる総括原価方式で、強制的にそれらの費用を切符代、場合によっては税金で支払わされることになります。

 

東京ー名古屋間の移動は、生活においてもビジネスにおいても、国民の日常的な交通網になっています。しかもJR東海は、リニアを建設したら、のぞみを廃止し、こだま、ひかりを重視した輸送形態へと変革することを示唆していますから、私たちは乗りたくなくてもリニアに乗ることを余儀なくなされるかもしれません。

鉄道の老朽化に伴うリニア建設と言いながら、東海道新幹線も使うといっており、結果として、東京ー名古屋間の新幹線インフラは二重になり、私たちは、強制的に二つの鉄道網の建設・維持・管理費用を将来にわたり負担することになります。

JR 東海は、鉄道網を備えると3大都市圏が相互に一時間で結ばれ、国際競争力を向上させる好機をもたらすとしていますが、人口減少に加え、年齢構成の変化に伴い、労働人口が大幅に減少していくことが明らかなこの時期に、新たな鉄道網の建設が必要なほどの需要があるでしょうか。

羽田空港の飛行ルート変更では、空の便の需要も増えると言っているのに、です。

災害や鉄道整備の予備のラインなら、日本海周りの上越新幹線のルートを名古屋までつなげることを目指したほうが効率的です。

リニア中央新幹線建設は、私たちの経済的負担や自然環境への負荷を大きくするばかりです。

 

 

総括原価方式による鉄道網整備・社会資本整備は、かかった経費を私たちの消費や税金で負担するため、過剰になるとその分投資利益が増大します。結果として利益が増大し、営利性が高くなる私益の事業で、公共の利益ではありません。

 

談合体質企業に問われる公共の利益を遂行する能力

 

さて、

これまで、リニア中央新幹線事業は民間の事業であるといわれてきました。しかし、談合が指摘されるなど、いまJR東海に対し厳しく公共性が求められているのは。3兆円の財政投融資という公金が投入されたからです。

今回の大深度地下使用の認可に際しての要件、法第16条4項 は、事業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有するものであること、を求めていますが、これは単に、資金を集め、トンネル工事ができるか否かだけではなく、公金を扱う事業者としての公共性の有無も問うているとみるべきです。

談合が行われたことが明らかになったJR東海は、公共の利益を遂行する「能力」は持ち合わせていなかったことになります。談合企業体質の改善無くして、公共の利益のための事業と名乗ることはできません。

 

・どこが違うの?「私的目的の開発事業」と「営利企業JR東海の事業」

2000年の政府の公報「時の動き」には、そもそも、大深度地下利用は、民間が私的目的のために行う開発事業は対象外にしていないと書かれています。国には、公共とそれ以外との区分けができているということです。

私は、営利企業に公共の利益は担えないと考えますが、国が作った法律ですから、私益を追求する営利企業JR東海も含め、公共の利益のための事業を担える要件を国は明らかにすべきです。資本に対する利益率、役員報酬、内部留保、いくらまで、何%まで認めるかなど目安を作るべきでしょう。

 

 

ここを国が不問にすれば、公共の利益と私益との違いがなくなり、大深度地下法の前提が大きくくずれます。少なくとも、大深度地下利用における私益との関係を明確にすべきです。

 

 ・建設コスト1割減、土地代不要、手間暇無しは、誰のメリット?株主でしょ?

 

大深度地下利用は、都市部の社会資本整備における用地取得の問題をクリアにするとともに、建設コストを抑えるメリットがあると言っています。

建設コストは1割程度抑制で来て、土地代も不要、しかも時間がかからないというのです。

これは、いったい、誰のメリットでしょうか。少なくとも、そこに住み暮らす住民のメリットではなく、事業を進めることで経済利益をえる企業、それも株主のメリットではないでしょうか。

 

改めて確認したい、リニアは本当に公共の利益のための事業なのか

  JR 東海は営利企業で、リニアはペイしないという発言も過去にありました。そこで最後に3点伺います。

 【質問1】リニアで赤字になった場合、他の事業の利益をまわすなど、自己責任でどこまでこの事業を遂行するか明らかにされていなません。JR 東海は、事業採算が取れない場合、どこまで自己責任で事業運営する意思があるのか確認させてください。

・回答無し

 

【質問2】大阪までの開通を早めるためというが、大深度地下の認可を受ける前にすでに財政投融資3兆円受けて1年以上がすぎています。アベノミクスで資本に対する配当が10%以上の上場企業が3社に一社になっていると言われています。この間にJR東海は、政府の3兆円を何に使いましたか。

 ・回答無し

 

【質問3】 JR 東海は、全幹法の認可しか受けていないにもかかわらず、計画経路の住民に対し、丁寧な説明をしてこなかったのはなぜですか。国から求められていなかったのですか。自ら不要だと判断したのですか。

にもかかわらず、意見募集の2日前にポスティングしたのはなぜですか。

・不十分だと思ったわけではない

 

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