基金というのは、家計でいえば貯金です。
基金には大きく分けると、健全な財政維持のためといわれる「財政調整基金」と特定の目的のために積み立てられる「特定目的基金」の二つの種類の基金があります。
大田区は、勝海舟記念館の資料収集のために新たに基金を創設すると言いますが、総額や収集方針などはきめていなくて、区民の寄付を募ると言います。
誰かが○○を買ってください、と寄付をして、それが足りなくて大田区が一般財源を加えると、寄付するお金持ちが税金の使い方を決めることになります。
平成28年に大田区は、勝海舟記念館 鳳凰閣の資料収集のために、郷土資料館基金から取り崩して使っています。
目的外使用にあたるのではないかと指摘しましたが、目的外ではないと大田区は答えています。
勝海舟記念館基金を創設すると、勝海舟記念館の資料は、【郷土博物館基金】からも【勝海舟記念館基金】どちらからも取り崩せることになってしまい、特定目的基金の「特定目的」があいまいになります。
フェアな民主主義 奈須りえがたった一人で「勝海舟基金」の創設に反対した理由について報告します。
2018定例会第52号議案 勝海舟 大田区積立基金条例の一部を改正する条例
フェアな民主主義 奈須りえです。
第52号議案「大田区積立基金条例の一部を改正する条例」について討論いたします。
・大田区は、平成28年第二回定例会で、勝海舟記念館 鳳凰閣の資料収集の財源について、「郷土博物館の資料収集を目的とする特定目的基金」から取り崩しました。
寄付があったら、郷土博物館資料収集のための基金に積み立て、そこから取り崩せばよいのです
にもかかわらず、新たに勝海舟基金を創設する理由を、前回の郷土資料館の基金取り崩しの答弁に従い質疑したところ、大田区は、勝海舟記念館の資料収集のための気運を高めるために新設すると答弁しています。
また、今回の基金創設は、前回の基金取り崩しが、条例第6条の、積立基金の目的外使用ではないとも答弁しています。
であれば、勝海舟記念館の資料収集に必要な財源を確保するために、郷土資料館基金、今回創設する勝海舟記念館の基金、どちらでも取り崩せることになりますが、そのあたりの答弁をあいまいにしていますし、その後の委員会審議でも、双方の基金の違いは明らかにされませんでした。
地方自治法、第二百四十一条1項に、
普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために 財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。
2 基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。
3 第一項の規定により特定の目的のために財産を取得し、又は資金を積み立てるための 基金を設けた場合においては、当該目的のためでなければこれを処分することができない。
とされているからです。
しかも、大田区は、前回の郷土資料館基金取り崩しにより残額が、20万円をきりましたが、郷土資料館の基金を廃止しない理由について質疑にこたえ、「将来の郷土博物館資料収集を目的としたご寄附があった場合、これに対応した受け皿が必要である」との考えで基金を残すと答弁しています。
郷土博物館基金が、郷土博物館資料収集を目的としたご寄附の受け入れ先であると明確に答弁しているのです。
今回の勝海舟記念館基金の創設と前回の答弁により、昨年の基金取り崩しが目的外だったことが明らかにされたということです。
しかも、基金はその1項にあるように、普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために 財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。
ここでいう財産、資金は区民からお預かりした税金であり、すでにいただいている寄付であって、新たに募集することは想定していません。
大田区は、勝海舟基金は、すでに寄付をいただいているわけではなく、一般財源からの繰り入れを想定しているわけでもなく、区民からの寄付を想定しています。
結果としての寄付の多寡はあったとしても、その事業を寄付を想定して執行すれば、多く寄付できる区民などと寄付できない区民との間に、不公平を生じさせることにはならないでしょうか。
しかも、今回の基金創設における、勝海舟記念館の資料取得方針や計画は明らかになっていません。
たとえば、何か特定のものを買うための資金の一部として寄付が寄せられた場合、その意思を尊重するために、一般財源が投入されるようなことはないでしょうか。そうなると寄付をたくさんできる人が、区の税金の使途を左右できることになってしまいます。
だからこそ、基金積立総額の目安や目的、方針は明確に示されるべきですが、目安や目的、方針は明らかにされていません。
特定目的基金は、財源が寄付であること、資料収集計画があいまいなこと、など、問題があり反対です。