日本の政治システムは、昭和の頃とはすでに違っているのに、多くの政策や政治への論評が、昭和を前提に語られているのが、不思議です。何か、お約束事でもあるかのように、肝心の部分は素通りされていきます。2000年に地方分権一括法というたった1本の法律で、475の法律を変えました。2001年の省庁再編のために、1999年に省庁改革法で17本、施行関連法で61本の法律が、一括審議で可決されています。
この時に、おおもとの統治システムは変えられてしまったのです。そのシステムを動かすための関係法令が「規制緩和」で改正され、システムを動かす「プレイヤーを入れ替え」てきたのが、「民営化」であり、地方分権だと思います。最後の仕上げは、民主主義のシステムの無力化。議会の形骸化でしょう。だから、私は、主権者や議会を乗り越え、意思決定に深く関与する公民連携や包括連携協定は問題だと思っています。単なる、事業者のノウハウを活用するのではありません。合意形成や意思決定に深く関与していることで、主権者と主権者に付託された議会の力を無力化し、全体の奉仕者を事業者と一体化させることにつながるからです。
良くするには、悪くした仕組みを戻せばいいのです。少しずつ。
かつて、日本の既得権が、小さな既得権の塊だという表現をしていた規制緩和推進派の方がいました。
小さな既得権を壊されたなら、その小さな既得権をまた、積み上げて行こうではありませんか。
少なくとも、私たちは、小さな既得権を壊されつつあり、大きな秩序と安定した暮らしを失ったということに気付くべきだと思います。 . . . 本文を読む