■鳩山サセテイタダク内閣とダライ・ラマ14世との関係を見るために昨年10月末に来日した時の記事を確認しておきましょう。
来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は(11月)3日、松山市内で記者会見し、鳩山由紀夫首相が提唱する「東アジア共同体」構想について「一つ一つの国が別々にではなく、まとまって何かをなすという考え方に賛同する」と述べ、構想推進に賛意を示した。……「環境や経済などすべての国に共通の利益を図って、(共同体構想の)方針を推し進めていくべきだ」と強調した。記者会見後、ダライ・ラマは松山市の愛媛県武道館で「自分を幸せにする生き方」と題して講演。宗教関係者や市民ら約5500人を前に「60億人が住む地球では一人一人がかかわりを持つ。愛情と思いやりが必要だ」と訴えた。
2009年11月3日 共同通信
■就任してから5箇月経っても鳩山サセテイタダク首相が連呼する「友愛」政治の輪郭も骨格もさっぱり見えて来ないのは困ったことで、このまま古めかしい「政治とカネ」の問題で首相が交代したりすると、蜃気楼のように消えてしまうかも知れません。少なくとも東シナ海を「友愛の海」にしたい、発言した時には個人的な趣味で領海・領土をどんどん隣国に差し出してしまう「無償の愛」に耽溺しているような不気味なものを感じたのですが……。
■ダライ・ラマ14世が「東アジア共同体」の構想に賛意を示すのは、チャイナを取り囲む国々が結束して好き勝手な行動を慎むように牽制する仕組みが必要だと切実に考えているからだと思われます。「経済」の前に「環境」を置いているのも、チベット地域で恐ろしい勢いで進む環境破壊を心配してのことでしょうし、1ヵ月後にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)でチャイナが議論を紛糾させたり妨害したりすることを予見していたのかも知れません。その点でも就任直後に無茶な目標を国際社会に対して公言してしまった日本の首相とは違っているようです。
……ダライ・ラマ14世は(10月)31日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見し、中国の胡錦濤国家主席が掲げる「和諧(調和)社会」の実現について、「全面的に支持するが、真の調和とは武器や金では得られない」と述べ、チベットに対する中国の抑圧政策を痛烈に皮肉った。……「真の調和、真の友好を解放軍を使って実現しようとするのは誤りである。武装した兵士は恐怖感を(チベット住民に)与えるだけ。調和社会とは尊厳や平等性をもって得るべきものだ」と批判した。
■幹事長が参議院選挙を人民解放軍の「解放戦争」に擬(なぞら)えてしまう民主党ですが、少なくとも北京政府が言う「和諧社会」に鳩山流の「友愛」精神を混ぜ込むような提言ぐらいはしておいた方が良かったのではないでしょうか?施政方針演説の「命を守りたい!」という気恥ずかしくなるほど素朴で能天気なテーマを拡げれば、ダライ・ラマ法王の求める「真の調和」「真の友好」と重なる部分が多くなるはずなのですが……。
来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は(11月)3日、松山市内で記者会見し、鳩山由紀夫首相が提唱する「東アジア共同体」構想について「一つ一つの国が別々にではなく、まとまって何かをなすという考え方に賛同する」と述べ、構想推進に賛意を示した。……「環境や経済などすべての国に共通の利益を図って、(共同体構想の)方針を推し進めていくべきだ」と強調した。記者会見後、ダライ・ラマは松山市の愛媛県武道館で「自分を幸せにする生き方」と題して講演。宗教関係者や市民ら約5500人を前に「60億人が住む地球では一人一人がかかわりを持つ。愛情と思いやりが必要だ」と訴えた。
2009年11月3日 共同通信
■就任してから5箇月経っても鳩山サセテイタダク首相が連呼する「友愛」政治の輪郭も骨格もさっぱり見えて来ないのは困ったことで、このまま古めかしい「政治とカネ」の問題で首相が交代したりすると、蜃気楼のように消えてしまうかも知れません。少なくとも東シナ海を「友愛の海」にしたい、発言した時には個人的な趣味で領海・領土をどんどん隣国に差し出してしまう「無償の愛」に耽溺しているような不気味なものを感じたのですが……。
■ダライ・ラマ14世が「東アジア共同体」の構想に賛意を示すのは、チャイナを取り囲む国々が結束して好き勝手な行動を慎むように牽制する仕組みが必要だと切実に考えているからだと思われます。「経済」の前に「環境」を置いているのも、チベット地域で恐ろしい勢いで進む環境破壊を心配してのことでしょうし、1ヵ月後にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)でチャイナが議論を紛糾させたり妨害したりすることを予見していたのかも知れません。その点でも就任直後に無茶な目標を国際社会に対して公言してしまった日本の首相とは違っているようです。
……ダライ・ラマ14世は(10月)31日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見し、中国の胡錦濤国家主席が掲げる「和諧(調和)社会」の実現について、「全面的に支持するが、真の調和とは武器や金では得られない」と述べ、チベットに対する中国の抑圧政策を痛烈に皮肉った。……「真の調和、真の友好を解放軍を使って実現しようとするのは誤りである。武装した兵士は恐怖感を(チベット住民に)与えるだけ。調和社会とは尊厳や平等性をもって得るべきものだ」と批判した。
■幹事長が参議院選挙を人民解放軍の「解放戦争」に擬(なぞら)えてしまう民主党ですが、少なくとも北京政府が言う「和諧社会」に鳩山流の「友愛」精神を混ぜ込むような提言ぐらいはしておいた方が良かったのではないでしょうか?施政方針演説の「命を守りたい!」という気恥ずかしくなるほど素朴で能天気なテーマを拡げれば、ダライ・ラマ法王の求める「真の調和」「真の友好」と重なる部分が多くなるはずなのですが……。