よく考える-松下幸之助-

2006年02月10日 04時57分39秒 | Weblog
週間新潮2/9号 139頁より

昭和7年、ナショナルブランドの成功で、業界の一角を占め始めてた頃のことです。
取引先が熱心な天理教教徒で誘いに抗しきれず、天理の本部を見学に行った。
当時、天理では本堂を新築していたのですが、それを見て松下は驚き、
考える。何に驚いたかというと、本堂建設のため、全国から集まって、奉仕している
信徒の人達が、喜びに溢れ、嬉々として働いている。
自分の工場では、給与を払っているのに、誰もこんな表情を見せない。
ただで働くのが嬉しくて、なぜ、給与をもらっている者が沈んでいるのか、と。

普通だったら、信仰心があるからだ、とすましてしまうのですが、
松下は徹底的に考える。どうすれば、自分の工場でも、同じように
喜びをもって働いてもらえるだろうか、と。

そこで、松下幸之助は、企業にも使命が必要だと思いいたるわけです。
ただ、儲けるだけではない、むしろ、その使命のために働く、
そのことが大事なのだと。

水道の水のように、ただに近い値段で、大量の電化製品を供給することで、
世界を貧困から救うという水道哲学はここから生まれた。

飽食の時代である現在から見れば、松下の理根は古く見えるかもしれない。
けれども、働くのは金のためではなく、使命に尽くすためだということを
能書きとしてでなく、自力でつかみだしたことにはすごみがある。