週間新潮2/9号 139頁より
昭和7年、ナショナルブランドの成功で、業界の一角を占め始めてた頃のことです。
取引先が熱心な天理教教徒で誘いに抗しきれず、天理の本部を見学に行った。
当時、天理では本堂を新築していたのですが、それを見て松下は驚き、
考える。何に驚いたかというと、本堂建設のため、全国から集まって、奉仕している
信徒の人達が、喜びに溢れ、嬉々として働いている。
自分の工場では、給与を払っているのに、誰もこんな表情を見せない。
ただで働くのが嬉しくて、なぜ、給与をもらっている者が沈んでいるのか、と。
普通だったら、信仰心があるからだ、とすましてしまうのですが、
松下は徹底的に考える。どうすれば、自分の工場でも、同じように
喜びをもって働いてもらえるだろうか、と。
そこで、松下幸之助は、企業にも使命が必要だと思いいたるわけです。
ただ、儲けるだけではない、むしろ、その使命のために働く、
そのことが大事なのだと。
水道の水のように、ただに近い値段で、大量の電化製品を供給することで、
世界を貧困から救うという水道哲学はここから生まれた。
飽食の時代である現在から見れば、松下の理根は古く見えるかもしれない。
けれども、働くのは金のためではなく、使命に尽くすためだということを
能書きとしてでなく、自力でつかみだしたことにはすごみがある。
昭和7年、ナショナルブランドの成功で、業界の一角を占め始めてた頃のことです。
取引先が熱心な天理教教徒で誘いに抗しきれず、天理の本部を見学に行った。
当時、天理では本堂を新築していたのですが、それを見て松下は驚き、
考える。何に驚いたかというと、本堂建設のため、全国から集まって、奉仕している
信徒の人達が、喜びに溢れ、嬉々として働いている。
自分の工場では、給与を払っているのに、誰もこんな表情を見せない。
ただで働くのが嬉しくて、なぜ、給与をもらっている者が沈んでいるのか、と。
普通だったら、信仰心があるからだ、とすましてしまうのですが、
松下は徹底的に考える。どうすれば、自分の工場でも、同じように
喜びをもって働いてもらえるだろうか、と。
そこで、松下幸之助は、企業にも使命が必要だと思いいたるわけです。
ただ、儲けるだけではない、むしろ、その使命のために働く、
そのことが大事なのだと。
水道の水のように、ただに近い値段で、大量の電化製品を供給することで、
世界を貧困から救うという水道哲学はここから生まれた。
飽食の時代である現在から見れば、松下の理根は古く見えるかもしれない。
けれども、働くのは金のためではなく、使命に尽くすためだということを
能書きとしてでなく、自力でつかみだしたことにはすごみがある。