「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

托鉢の声遠ざかる寒の明 阿部花代 「滝」2月号<滝集>

2011-03-02 04:56:48 | 日記
 三、四年前から、我が家にも瑞巌寺から若い僧が托鉢に来
る。六月頃だったと思うが定かではない。揚句は「寒明」で
ある。寒が明けたと言っても寒いだろうなと、私は心配にな
った。たぶん作者も遠ざかっていく声に耳を澄ましながら、
「雪が降らなければいいな」、「そろそろ暗くなるのにまだ声
がしている」と、気にしている。それが修行だと分かってい
ても、「こんなに寒い日でなくても・・・」などと僧から心が
離せないでいたのだろう。暖かい部屋で、修行の厳しさを思
う作者のあり方は、私にもあてはまる。「声」ではなく「遠ざ
かる姿」だったら、季語は「くしゃみ」になったかもしれま
せんね。(H)

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