「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

鈴の音梢にとどく春祭 菅原鬨也 「滝」3月号<飛沫抄>

2011-03-04 23:10:37 | 日記
 ほの白い春の空に目を遊ばせていたのだろうか。お祭りとわかる音が何処からか聞こえてくる。そして、虚空に細く伸びた梢のわずかな揺れに鈴の音を見たのだ。「見た」という言い方はおかしいかもしれないがそう思った。農耕のはじめにあたって作神を迎え五穀の豊穰を祈り、疫病などを祓うための春祭の季語が「さあ農作業も始まるよ。春ですよ」と、まだ固い蕾に春を知らせる呼鈴のようだ。春祭りの賑わいを確かな春の前提として、「とどく」までの大きな空間には懐かしさも含まれているようで、梢の尖った形状までも優しく感じられるから不思議だ。(H)

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