郭公や使ふことなきパスポート 横田みち子 2021-07-14 03:17:25 | 日記 初夏、南方から日本に渡って来る郭公と、パスポートを取ったが頓挫した海外旅行の取り合わせかと思う。世界に蔓延するコロナウイルスのせいだろうか。明るいような寂しいような声で鳴く郭公が心境を語っているような句だ。傍題の「閑古鳥」を思えば、コロナ禍の長期化でダメージを受けている観光業界に心を砕く作者も見えてくるような句でもある。ワクチン接種がすすみ、季語本来の長閑な空気感が戻ってくるのはいつ頃になるのだろうか。(博子)