「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

転生の蝶のたゆたふ瓦礫中 酒井恍山 「滝」8月号<渓流集>

2011-08-08 22:08:42 | 日記
 「転生」という言葉から、今回の震災の破壊的な自然現象
に、人間は地球という星の誕生によって発生した生き物の一
つでしかなく、この星のたどる予想も付かない歴史を説明し
得ない人間が「神」の存在を作り出したと言えるのではない
かと思った。この蝶は死者の生まれ変わりとして、瓦礫の中
を飛んでいる。「たゆたふ」には、受け入れられない死を何
とか納得しようとする心が重ねられているのかもしれない。
私は、信心する神さまを持たないが、命が転生を繰り返して
繋がっていくと考えることは、少なからず人間に立ち直る力
を齎すのだという想いを強くした。(H)