ここ1週間ほどブルガリア全体で大きなニュースになっていることがあります。それは「ツァル・キロ」という人のこと。文字通りの意味は「キロ王」(!) でも、本当に王様じゃなくて、通称です。プロヴディフ方面の村、「カトゥニッツァ」というところで御殿のような豪邸に住む大金持ちで、トルコ系ロマの背景の人だそうです。まっ、ロマ系でもブルガリア人でも何でも、このビンボー国ブルガリアでお金持ちということはまっとーな商売の人ではないんでしょうけどね。(詳しい背景やツァル・キロの写真ははいつもこのブログにコメントを下さる「室長」さんのブログでご確認ください。このブログではニュースに意見しません。友人たちから聞いた話をまとめてみます。) そーんな地方のお金持ちがなぜお騒がせなのかというと・・・
きっかけはこのキロの孫のやはりキロが、車で人を轢いたこと。まとめるとど~もこれ、事故というより事件(つまりわざと)だったようで、そのことにブルガリア中の極右政党が「喰いついた」のがキッカケ。元々仲の悪かったあるブルガリア人の家族とあるロマの家族の話がなぜか全国区で大騒ぎになった・・・ それが「ロマ」だから・・・
このところEU内の不景気のせいもあって苦しんでいる普通の人たちの、「ロマのクセに金持ち、しかもやりたい放題」という、嫉妬心と正義感(?)の混ざった感情に火をつけてしまいました。ウッセキしたストレスは爆発!! 地方の小さな村の話なのにブルガリア全国のロマの人たちの居住区に極右政党の街宣活動が飛び火!! さらにはそれに乗じてフェイスブックなどを媒体に集まった「フェン」(サッカーチームのサポーター)などのブルガリア人の若者の中から、国旗をマントのように身にまとい、パーカーのフードをかぶって顔を隠して何も関係のないロマの人たちに暴行を働くヤカラがでてくるという始末・・・ ロマの人たちの集落では、「コワくて眠れない!仕事に行く途中で暴力を振るわれるかもしれないし、妻や子供達を守らないといけない・・・」と男達は自警団を作って棒などで武装しているとも聞きます。このキロ「王様」がたまたまロマの人だっただけで、ブルガリア人だって「そっち系」の人はたくさんアヤシイ商売してるのに!! 分からんの~。
実は、ウッセキしたストレスはいろんなところに波及しています。まず、こういう報道に携わるメディア!! ブルガリアのある大手TV局は600人の人員削減を打ち出しました。何とすでに今いる従業員にも給料未払いだとか。TVでこういうニュースを感情的にじゃんじゃん流したくなる条件がそろってしまいました。また9月から新学期が始まった学校ですが、入学式の日にロマの子達が先生から、「お前達はこのクラスに入れない!!」と宣言され、泣きながら家に帰ったなんて話も聞きます。でも、そんな先生たちも低賃金で大変!! たくさんの先生が外国に行ってしまっていたり、また先生たちの給料が払えない分、「秋休み」を作ってもっと就労時間を削減してしまおうか、なんて話もあったりして・・・
このすべては11月に迫った選挙のため!! 現政権もヘタに手出ししてどちらかの味方をするとタイヘンなことになってしまいます。逆に極右政党は、この機会にいっぱいメディアに露出して選挙のための宣伝をしようとあの手この手・・・ その「王様」の一族の引き起こしたことがこんなに大きくなっちゃって・・・
この「王様」、実は600万レバ(1レバ大体60円)も脱税していたことが発覚!! でも、彼がロマで、この件がこんな大騒ぎになったから、じゃなくてブルガリア中のすべての「そっち系」の人たちの「身体検査」をして欲しいものです。日本でも10月1日から新しい法律が施行されたそうですし・・・