
先日若手で凄いと思っているYaron Hermanが初来日するということで、すみだトリフォニーホールにソロコンサートを聴きに行きました。
直前にでた日本デビューのソロ・アルバムはとてもキースを感じたわけですが、実際みてみると、どちらかというとブラッド・メルドータイプの音展開で実にタッチを繊細にしていることです。
鍵盤に触れるか触れないかで音を出すので、聴こえない音があったように思います。真摯に音に対峙しているのでしょう。
作るメロディーと和音に対して、とてもまじめな青年という印象を受けました。
その会場でゲットしたのがこの新作です。
そしてこのアルバムを聴いているのですが、若干戸惑うのです。
1曲目、表題作の“Muse”はソロの雰囲気を受け継いで繊細、若いのにこの出だしと思います。弦楽が入ってしまって繊細さが薄れるのが残念です。
2曲目はDizzy Gillespieの曲ですが、抑えた雰囲気です。
3曲目、ここで早いパッセージ、圧倒的なテクニックを披露して、その魅力を感じさせます。
ちょっと内に秘めるような曲だと思っていると、4曲目のAlexander Aargovという人の曲も、クラシックでしょうかとても内面的にせまる曲です。
5曲目はヤロンの曲で、6曲目演奏雰囲気を変えますが内省的には変りません。
自分の感じる事を、鍵盤上で素直に表現しているのでしょう。
この年になると、話の80%がバカな話の私には、ちょっとまじめすぎる演奏です。ガハハと笑いたいのです、おじさんは。
7曲目ベーシストの曲もわをかけて暗い、8曲目で繊細なタッチのピアノを聞かせますが、この人の魅力、リズミックに初音からヒットする曲がないのが残念です。
9曲目、ヤロンのオリジナルもハーモニーがこの人の特徴になるのでしょうか、くすんで暗い。
ブラッド・メルドーのアルバムに暗いのが(題からして)がありますがその雰囲気に似ていると感じます。
10曲目はこれまでの難しい解釈の感じの曲に対し、明るいわけではありませんが、鎮魂歌のように素直な美しい響きです。
最後長い曲ですがどうもこちらでまとめられないような広がりのある曲で、困ってしまいました。
Yaronの才能と演奏が素晴らしいのは、これまでに充分感じているので、そこに異論を挟むつもりは毛頭ありません。
とても真剣な音楽だと思うし、それを感じる人にはとても驚くところがあるアルバムだとおもいます。
Museという表題で少しかまえすぎたのか、ちょっと年寄りにはまじめな雰囲気でまとまりすぎるアルバムです。
逆に若い人はどんどん議論してもいいと思う存在感があるアルバムです。
80%を楽しみに期待している年寄りはもう少し明るく、若さを刺激する演奏を、期待しているのです。
Muse / Yaron Herman
Yaron Herman(p)
Matt Brewer(b)
Gerald Cleaver(ds)
guest:
Le Quatuor Ebene
1,Muse
2.Con Alma
3.Vertigo
4.Lamidbar
5.Perpetua
6.Isobel
7.Joya
8.Lu Yehi
9.Twins
10.And The Rain
11.Rina Balle