しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

明治の人はなぜ、桃を食べ始めたのだろう?

2023年05月28日 | 食べもの

万葉集の時代から”桃”が出るけど、それは”桃の花”。
日本人はいつから桃を食べだしたのろう。

その理由は、
明治の中頃、
大きくて、甘い、新しい品種の桃が発見されたから。

茂平の桃農家に生まれた管理人には、
先人の努力に感謝の思いがあふれる。

 

(茂平の桃畑)

 

・・・・

「桃」 有岡利幸 法政大学出版2012年発行によれば、

 

桃は

中国から入り、「中国以前はモモと呼ばれているのはヤマモモ」。

 

中国文化も入り、

陶淵明「桃花源記」桃源郷、

三月三日・桃の節供、など日本文化になり愛された。

 

なお「安土桃山時代」、伏見の桃山に、桃はなかったそうだ。(江戸時代にほんとの桃山になった)安土伏見時代が正しい?

 

 

・・・・

「桃」 有岡利幸 法政大学出版2012年発行

 

縄文時代に桃が渡来して以降ずっとその果実を、
食用や薬用として利用してきた。
桃の果実は小さくピンポン玉程度の大きさであった。
現在私たちが見るような巨大な果実は、
明治以降改良が行われたもので、近世以前のものとはくらべられない。
別種と考えてもよいほどの違いがある。


梅も桃も、
春の咲く花は美しさを愛でるというよりも、
薬の材料がたくさんできたなあというようにみられ、
そして実を結んだのちには、その実が薬とされた。

 

桃太郎
流れてきた桃は、川上からではあるが、
上流に桃畑があったような気配は伺えない。
そして桃の木を探しにも行ってない。
流れてきた桃は神の授けてくれた桃で、木に生っている桃の実でない。

 

 

明治以降の桃
大きな果実をつける桃

 

明治時代になると、政府は勧業奨励のため、各種の事業に干渉してきたが、
農業も同じ熱心さで保護奨励につとめた。
明治初年に北海道を開拓するため、いわゆる開拓使を置き、
主としてアメリカより各種の果樹を買い入れた。
けれども当時の北海道は山林原野のすがたをとどめた土地であった。

今の新宿御苑に、もっぱらヨーロッパ種の果樹・野菜の種苗を輸入し、栽培して繁殖させ、各地に配布していた。

桃も明治6年、ヨーロッパから7品種、中国から華北系と華中系品種が
導入された。
これらは在来品種に比べて果実が大きく、内質や風味が優れ、とくに中国から導入された上海水密桃と天津水蜜桃が注目された。

桃は明治初期には東京で苗木を養成し、有志の者に配布していた。
明治11年に清国から導入した水蜜桃がはじめて結実した。
明治28年以後に至って、
岡山県では土用水蜜桃、六々園水蜜桃、離核水蜜桃、白桃が発見され、
これらは有望種として各地で栽培されていった。

明治32~33年ごろ、
東京神田の果物店に天津水蜜桃が陳列され、
珍しくて立派な桃として一個十五銭でとぶように売れたという。

岡山県はむかしから桃樹栽培が発達したところで、
明治6年小田郡の渡邊淳一郎がはじめて桃樹の栽培に着手した。
御津郡の山内善男は、果実に袋掛けをしたところ、害虫の被害を免れた。
これにより岡山県下では栽培する者が増加し、年を追うごとに産額が増加したのである。
赤磐郡の大久保重五郎は「白桃」を発見、
白桃の育成は、わが国の桃栽培の歴史における品種革命といっても差支えないであろう。
大久保は離核化のため大正末期に「大久保」を育種交配した。

 

・・・


桃の分類
果実の形状、色、肉質、離核等。
極早生、早生、中生(なかて)、晩生(おくて)。
生食用と加工用。

・・・

桃の利用法
生食、缶詰、ジュース、ネクター、乾燥品など。
総生産量の80%以上が生食に利用されている。

・・・

 

「物語・食の文化」 北岡正三郎 中公新書  2011年発行

果物

わが国で縄文時代に食用された果物はヤマモモ(山桃)、ヤマブドウ(山葡萄)、
キイチゴ(木苺)などだけで、
弥生時代になって、
モモ、スモモ、ウメ、ナシ、カキ、ブミ、ビワなどが大陸から伝来した。
縄文時代、クリ、クルミを含む堅果が多量に食用されたが、これらは主食であった。

中世以降主食、副食以外の嗜好食品または間食用の食品として、
菓子と同様の位置にあり、江戸時代には水菓子と呼ばれた。

現代ではデザートとしての食事の一部分を占め、菓子とは違った役割をもっている。
古代ローマでは果物は嗜好品ではなく、食膳の重要な食品で、肉、魚、野菜などと同列の扱いであった。

20世紀には果汁の利用がアメリカで盛んになり、缶詰、瓶詰、紙パック詰が大量生産されている。
香水、石鹸、化粧品、芳香剤にアロマが利用される。

 

・・・・

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする