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抜き書き帳『出発は遂におとずれず』(2)

2016年07月11日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
【74ページ】
もう僕は腰を上げて辞去しようかと思った。この辺でぷつりと切断されてしまうきまぐれな人間関係を橋の上から投げ棄てられておちて行く莨の吸いがらを見送るような気持ちでいた。すぎなのつなぎめのような。
【128〜129ページ】
「こちらにいらして」
僕は幾多の不義者たちがしたであろうような滑稽な格好で彼女の傍に移って行った。----。
そして僕は又外へ出た。僕は再び料理場に行って、榾火(ほたび)をもらって莨を一本吸いつけた。いつもは大してうまくない莨がひどく今朝は恰好の小道具に見える。くわえ莨をして僕は例の木環の上に腰をかけていたのだ。

[ken] 文体としては「句点が少ない」ですね。たばこのポイ捨てはいけませんが、「橋の上から投げ棄てられておて行く莨の吸いがらを見送るような」という気持ちは、とてもよく分かります。「すぎなのつなぎめ」のイメージもドンピシャリですね。それから、たばこは体調や心の状態をみる測定ツールでもありますね。(つづく)
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山百合の一句

2016年07月11日 | O60→70(オーバー70歳)
▼職場の喫煙所にあるカレンダーには、その月にふさわしい俳句が書き添えてあります。今月は、飯田龍太の山百合の一句です。

・偽りの なき香をはなち 山の百合

▼花屋さんで売られている香高く、高価な百合の仲間ではなく、本当は山の百合が一番なんだ、という作者の想いが伝わってくる俳句ですね。

※ 画像は、那須塩原在住の菅原祐介さんが撮影したものを、お借りしました。
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