今年は塩野七生さんのルネサンス著作集が文庫化されていくという。表題の本はその最初らしいが、面白いことに本文が全て会話形式で書かれている。
ルネサンスは文芸復興と訳され、中世のキリスト教下での暗闇の時代から価値観が大きく変遷し、古代のギリシャ・ローマ時代の人間性を見直すことによって、新たな歴史が展開した時代だ。
塩野さんは、ルネサンスは素朴な「なぜ?」を問うことによって発展したという。それまでのキリスト教の時代は信じることが求められ、必ずしも「なぜ?」と問うことはできなかったからだ。「なぜ?」と問うことは哲学の原点でもあるし、科学の発展の原点でもある。塩野さんはルネサンスの遺産の一つとして、自分の眼で見、自分の頭で考えることがあるという。
また人間をどうとらえるかという観点からは、一神教が善と悪との二元論であるのに対し、多神教は神一人一人でさえも善と悪を同時に持つ一元論だという点も、ルネサンスの遺産として重要だと塩野さんはいう。一人の人間が善と悪の両方を併せ持つからこそ、いかに善を多く行って生きるようにするかという、ソクラテスの教えが妥当してくると。
塩野さんはイタリアに在住して、壮大な歴史を等身大に表現していく点が大変凄いと賞賛されているが、上に紹介した内容は、まさに池田さんのよく書いていることに通ずると思う。池田晶子ファンにはお薦めの本である。
ルネサンスは文芸復興と訳され、中世のキリスト教下での暗闇の時代から価値観が大きく変遷し、古代のギリシャ・ローマ時代の人間性を見直すことによって、新たな歴史が展開した時代だ。
塩野さんは、ルネサンスは素朴な「なぜ?」を問うことによって発展したという。それまでのキリスト教の時代は信じることが求められ、必ずしも「なぜ?」と問うことはできなかったからだ。「なぜ?」と問うことは哲学の原点でもあるし、科学の発展の原点でもある。塩野さんはルネサンスの遺産の一つとして、自分の眼で見、自分の頭で考えることがあるという。
また人間をどうとらえるかという観点からは、一神教が善と悪との二元論であるのに対し、多神教は神一人一人でさえも善と悪を同時に持つ一元論だという点も、ルネサンスの遺産として重要だと塩野さんはいう。一人の人間が善と悪の両方を併せ持つからこそ、いかに善を多く行って生きるようにするかという、ソクラテスの教えが妥当してくると。
塩野さんはイタリアに在住して、壮大な歴史を等身大に表現していく点が大変凄いと賞賛されているが、上に紹介した内容は、まさに池田さんのよく書いていることに通ずると思う。池田晶子ファンにはお薦めの本である。