保健福祉の現場から

感じるままに

精神疾患での入院期間10年以上の患者が7.3万人

2011年10月12日 | Weblog
10月6日の医療計画の見直し等に関する検討会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qswh.html)が出ているのでみておきたい。「精神保健医療の現状と課題」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qswh-att/2r9852000001qt3j.pdf)に示されるように、平成20年には精神疾患での入院期間10年以上の患者が7.3万人、5年以上10年未満が4.5万人と推定されている。我が国の精神科医療は、歴史的に入院医療中心で進んできており、諸外国に比べて、我が国は精神病床が際立って多い。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20110630-02-03.pdf)p10に出ているように、精神病床の平均在院日数は短縮傾向にあるものの、平成20年で313日である。以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/z-fukushi/gyosei/gyousei05.html)では、「精神入院患者の2割が生活保護受給」とされ、生活保護者の精神病床長期入院ケースが少なくない。長期入院(特に生活保護による医療扶助)は、家族、医療機関、行政にとって、ある意味「楽」かもしれない。しかし、最近の精神保健医療福祉の動向を鑑みると、そんな時代ではない。さて、8月30日の「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言案」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/08/dl/0830-1a01_03_01.pdf)では、「精神障害者の入院ニーズを精査し、国並びに都道府県は精神科病床の削減計画を立て、入院に代わる地域医療の体制を構築することが必要である。」とされている。今年度スタートしている「精神障害者アウトリーチ推進事業」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/2c116f8976613f4a4925783f00016cba/$FILE/20110222_1shiryou4_1_2.pdf)でも病床削減計画が組み込まれている。次期医療計画では精神疾患が追加され、いくつかの指標が示される(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qswh-att/2r9852000001qtqi.pdf)見込みであり、入院期間短縮化のために、精神疾患の医療連携、医療福祉連携、保健医療連携、保健福祉連携が必要となる。入院患者を退院させるためには、受け皿をしっかり作らなければならない。また、それ以上に、新たな入院患者について、長期入院にならないような対策が必要であり、後方連携、前方連携、水平連携のそれぞれが推進される必要がある。認知症に関しては、平成32年度を達成時期として、「新たな入院患者について50%が2ヵ月以内の退院」という目標が提案されている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nyoe-att/2r9852000001nyts.pdf)が、精神疾患全体として、同様な目標が必要と感じる。
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