保健福祉の現場から

感じるままに

連携の行方

2006年03月28日 | Weblog
最近、ベテランの保健師の方々と話をすると、30年前を思い出すという。昭和53年度から、国の健康づくり対策として、健康づくりの基盤整備(市町村保健センターの整備、保健婦、栄養士等の確保)が図られてきた。国保から衛生部門(市町村保健センター)に所属が移り、生涯を通じる健康づくり(乳幼児から高齢者に至るまでの健康診査、保健指導;乳幼児健診、予防接種、老人保健事業等)、健康づくりの啓発普及(食生活改善推進員、母子保健推進員等の支援)が展開されてきた。今国会の健康保険法等改正により、平成20年度からは、医療保険者に40~74歳の健診・保健指導が義務付けられ、国保の保健事業に復活するのである。国は平成18年度に準備事業を試行し、19年度には全保険者による準備実施を予定しているため、国保への移管はもっと早まるかもしれない。退職者や配偶者等について他の保険者からの委託が予想され、国保部門の人材確保は強化される必要がある。しかし、すべてが国保に移管されるわけではない。がん検診、骨粗鬆症健診、歯周疾患健診、啓発普及等は健康増進法に基づく事業として保健衛生部門が引き続き担うことになる。また、乳幼児健診や予防接種等もそうである。「生涯を通じた健康づくり」はどうなるのであろうか。市町村国保は、各医療保険者との連携のみならず、医療機関や市町村保健衛生部門との連携も大変であろう。ところで、来月から、65歳以上の健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導は介護保険制度地域支援事業の介護予防事業となり、高齢者のケアマネジメントは地域包括支援センターが行う。地域包括支援センターは従来の在宅介護支援センターなど民間設置となっているところが少なくないが、生活機能評価としての介護予防健診は老人保健事業基本健診に上乗せして行われるため、保健衛生部門との連携は不可欠である。どうも最近、「連携」という言葉が簡単に使われている。「連携」の中身が複雑化、高度化しており、30年前とは比較にならない状況が訪れようとしているのは間違いなさそうである。
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