R3.9.5NHK「コロナ家庭内感染急増 保護者感染 子どもの預け先探せますか」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210905/k10013245221000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_035)。<以下引用>
<家庭内感染が増加するなか、保護者が感染した場合、子どもの居場所をどうするのかが課題となっています。医療機関や自治体が独自に用意した施設で預かるケースもありますが、保健所から預け先を自分で探すよう言われ見つけることができず子どもも感染したという人もいて専門家は「地域の資源をどう使って親子を支えるか準備しておくことが必要だ」と指摘しています。厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、感染場所が分かっている人のうち「自宅」での感染は8月に入って急増し、8月30日時点で新規陽性者のおよそ40%を占めています。保護者が感染して入院や療養が必要になり子どもを預けられる親族などが身近にいない場合、子どもの居場所をどうするのかが課題となっています。都内に住む40代の女性は新型コロナウイルスに感染し入院することになりましたが、5歳の子どもの預け先を保健所に相談したところ「子どもを預かってくれる病院もあるが、具体的には自分で探してもらうことになる」と言われたということです。預け先は見つからず、同様に感染し自宅療養となった夫に子どもを託して入院しましたが、子どもも感染してしまったということで、女性は「一時的に子どもをみてもらえる場所の情報や相談窓口だけでも教えてもらいたい」と話していました。保護者が感染し身近に預け先がない場合について東京都では、子どもが濃厚接触者にあたることから医療機関への入院を対応の中心にしているということで、ことし7月までに220世帯の子どもを病院で受け入れました。入院先は保健所がそのつど、調整しているということです。また、港区や杉並区など都内の少なくとも4つの区では区の施設やホテルの部屋で預かる取り組みを行っていますが、これまでに預かったのは4区で合わせて25人にとどまっています。保護者が幼い子どもと離れることに抵抗を感じて受け入れにつながらなかったり、陰性だった子どもが陽性に転じて受け入れられなくなったりするケースが多いということです。専門家は「保健所の業務がひっ迫している現状では児童福祉の担当部署との連携を強め必要な人に情報が行き届くようにすることや、地域の資源をどう使って親子を支えるか準備しておくことが重要だ」と指摘しています。母親 自分で探すのは困難 夫と5歳の子どもの3人で暮らす40代の女性はことし7月に夫の感染が確認され、その4日後に自身も発熱、検査で陽性となりました。熱が40度まで上がってせきが止まらず呼吸も苦しいなど比較的、症状が重いとして保健所から入院をすすめられたということです。当時は子どもだけが陰性で、女性は保健所の職員に子どもをどうすればいいのか尋ねたところ、「お子さんが陽性であれば一緒に病院に連れていくことも可能だが、現時点で陰性だと、難しい。家族や親族で預かってくれる人を探してほしい」と言われたということです。女性は地方出身で実家が遠く、近くにいる夫の母親も高齢のため子どもがウイルスを持っていた場合の母親への感染が心配で、預けられる人が見つかりませんでした。保健所の職員に事情を話すと、子どもを預かってくれる病院もあると伝えられましたが「具体的な病院名は教えられず、利用を希望する場合は自分で探してもらうことになってしまう」と言われたということです。女性は「意識がもうろうとする中、自力で病院を探すことは無理でした。子どもは陰性なのに感染してしまったらどうしようとすごくつらかったですが、自宅療養中の夫に子どもを託すしか選択肢がありませんでした。食事は別々に、入浴は距離をとるようにと夫に頼むことしかできず、『このまま元気でいてね』と神頼みしながら入院先に向かいました」と振り返ります。女性は入院してすぐに集中治療室に運ばれ、酸素投与や点滴などの治療を受けました。症状が落ち着いて病室に戻り、療養していたところに夫から電話が入り、子どもが発熱したことを知らされたということです。女性は「やっぱり感染してしまったのかとショックで、私のように苦しまずにどうか乗り切ってほしいと願いました。小さい子どもはだっこをせがむし、食事も入浴もひとりでは難しいです。私が入院中は不安があったのか、夫のそばに来て眠ったそうです」と話していました。そのうえで、「保健所は非常にひっ迫しているのですべてのフォローを求めることはできません。ただ、一時的に子どもをみてもらえる場所の情報や困ったときの相談窓口を知れるだけでも安心感は全く違ってくると思います。子どもの預け先がなく自宅にも置いていけないという理由で症状が重いのに入院をためらう親もいるかもしれず、その迷いのせいで命を落とすことがあったとしたらすごく怖いし、悲しいことだと思います」と話していました。子どもの受け入れ先 現状と課題 親が感染し濃厚接触者となった子どもへの対応としては▼医療機関への入院のほか、▼児童相談所の一時保護所での受け入れ、▼自治体が独自に用意した施設での受け入れなどがありますが想定より利用されていなかったり感染リスクへの懸念から受け入れをやめたりするケースもあります。医療機関での受け入れ 東京都では、幼い子どもができるだけ保護者の近くにいられるよう同じ医療機関への「親子入院」を対応の中心にしているということです。療養先がホテルや自宅となった場合は子どもだけが入院するケースもあるということです。去年3月からことし7月までに220世帯の子どもを受け入れていますが、そのつど、保健所が調整するため入院先が決まっているわけではないとして病院名は公表されていません。今後、さらに病床がひっ迫した場合、希望者すべてを受け入れられなくなることが懸念されています。児童相談所の一時保護 児童相談所での対応については厚生労働省が去年4月、全国の自治体に事務連絡で通知しています。虐待などを理由に親と暮らせなくなった子どもたちを緊急に保護する、児童相談所の「一時保護所」などで預かるというものです。事務連絡では濃厚接触者である子どもからすでに入所している子どもたちへの感染を防ぐため、個室で対応することや接する職員を分けることなど注意点が示されていますが、東京都が所管する児童相談所の一時保護所では子どもを隔離することが難しいとして受け入れは行っていないということです。また特別区が設置している児童相談所の一時保護所は都内に4か所ありますが、現在も対応しているのは江戸川区だけで、世田谷区では去年6月、3人を受け入れましたが感染対策が難しいとして現在は行っていないということです。東京都以外では大阪市や京都市の児童相談所なども取り組んでいます。大阪市によりますと、児童相談所の職員が虐待対応など通常の業務を抱えながらケアにあたっていて人繰りが非常に厳しいということです。一方で、感染が拡大する中、子どもを預かってほしいという相談は急増しているということで担当者は「外部の人材を活用できないか模索している」と話していました。独自の取り組み このほか、自治体が独自に居場所を確保する取り組みもあります。NHKが東京23区に取材したところ港区、台東区、目黒区、杉並区の少なくとも4つの区では区の施設を使ったりホテルの部屋を借りたりして子どもを預かる取り組みを行っています。これまでに預かったのは港区が24人、杉並区が1人で台東区と目黒区ではまだ1人も利用していないということです。このうち港区ではホテルの部屋や区の施設で受け入れていますが、利用者は当初の想定よりは少ないということです。担当者は「保護者には安心して療養してほしいと考え体制を整えているが親子が離ればなれになることに子どもの側も親の側も不安に感じて受け入れにつながらないケースが多いと感じる」と話しています。また杉並区では、過去に保育所として使われていた建物を活用して去年6月に体制を整えました。これまでは保育士やヘルパーが対応してきましたが、感染力がさらに強い「デルタ株」が主流となった「第5波」では医療従事者を配置しないとリスクが大きいという懸念もあり濃厚接触者の子どもの受け入れは今後、とりやめる方針だということです。児童相談所の一時保護所では 江戸川区の児童相談所の一時保護所は、都内の一時保護所のなかでは唯一、現在も親が感染した場合の子どもの受け入れを行っています。一時保護所は、親からの虐待などで緊急に保護された子どもたちが一時的に集団生活をする場で、江戸川区の一時保護所の定員は35人です。食堂や学習室などが完備され、大勢の子どもたちが感染対策をとりながらともに過ごしています。親の感染で濃厚接触者となった子どもの受け入れにあたっては、去年の秋から独自に民家を借り上げ、一時保護所の保育士や児童指導員が交代で24時間体制で見守る仕組みをつくりました。先月も数人を受け入れましたが、職員のなかには万が一、自分の家庭に感染が広がることを心配し、1週間、民家に泊まり込む人もいるということです。また、最近では当初は陰性だった子どもが陽性に転じて職員たちが濃厚接触者となり民家から出られなくなったほか、新たな子どもの受け入れも見合わせる事態となりました。一時保護所の管理職は肉や野菜などの食料品を民家の玄関先に届け、職員たちを気遣ってインターホン越しに声をかけていました。江戸川区児童相談所・一時保護課の茂木健司課長は「親が感染して子どもの養育が困難になった場合、虐待のケースなどと区別せずに受け入れるのが責務だと思っています。しかし、実際には課題が多く、職員たちの使命感に頼るしかない非常に厳しい状況です。職員が濃厚接触者になると一時保護所の通常業務もひっ迫してしまい、医療崩壊と同様、福祉現場も崩壊しかねません。例えば、複数の自治体が共同で人材を派遣して受け入れ施設を運営するなど別の仕組みを作らないと、現場がもたなくなる危機感があります」と話していました。病院では看護師が長時間対応 保護者が感染した子どもの入院を受け入れている病院では、看護師が長時間、対応にあたっています。東京・港区の母子医療を専門とする愛育病院ではことしに入って先月末までに0歳から14歳までの28人を受け入れました。食事の介助が必要な年齢の子どももいるほか、保護者と離れているさみしさで泣き出してしまう子どももいるということで、対応記録には「下膳、勉強、掃除」のほか「おやつ、塗り絵」などと記され看護師が何度も部屋を訪れてケアにあたっている様子がわかります。小児科の浦島崇医師は「子どもたちは濃厚接触者なので検査で陽性に転じる可能性もあるため看護師が防護服を着て長時間、対応にあたっています。感染リスクを考えると医療機関への入院が多くなるのは仕方がないと感じています」と話していました。専門家「地域資源使って親子を支える準備を」 児童家庭福祉が専門の武庫川女子大学の倉石哲也教授は「保護者や子どもにとって身近な市区町村が受け入れ体制を整えるのが望ましいと思う。感染拡大によって医療体制がひっ迫する中で、病院での受け入れには限界が出てくるおそれがあるし児童相談所の一時保護所はあまり身近な場所ではなく、数も限られているので十分な受け皿とはなりづらい」と指摘します。独自の取り組みを行っている自治体で利用者が多くないことについては「親子が離ればなれになる不安を拭うため例えば子どもが過ごすホテルの中の様子を保護者が動画で見られるようにしたり、保育士とオンラインで面談できたりするような工夫も必要ではないか。保健所の業務がひっ迫している現状では児童福祉の担当部署との連携を強め必要な人に情報が行き届くようにすることや、地域の資源をどう使って親子を支えていくか準備を進めることが非常に重要だ」と話していました。>
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.8.25方針(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210825.pdf)p59「都道府県等は、患者が入院、宿泊療養、自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子供等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネジャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うこと。」とある。R3.8.27全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000019801_00004.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000824243.pdf)p275~277「一時保護期間中における新型コロナウイルス感染症への対応状況」も参考になる。濃厚接触者である家族に対しては、ケースに応じて弾力的に対応される必要がある。例えば、濃厚接触者が子どもの場合は、ケースによって、陽性者の濃厚接触者として、疑似症扱いによる陽性者との同室看護、同室宿泊療養、自宅療養もあり得るかもしれない。R3.9.3夕刊フジ「デルタ株「学校での感染爆発」で予想される混乱「コロナ差別」の懸念も」(http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210903/dom2109030005-n1.html)の「国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが警鐘を鳴らす。「感染拡大に学校再開が重なれば、20才未満の感染者が1日1万人を超えることも想定しなくてはなりません。アメリカ全体ではコロナですでに400人以上の子供が亡くなっており、日本もそうなる可能性は充分考えられます。子供のほとんどがワクチン未接種なうえ、デルタ株はアジア人種の方が感染しやすい可能性があるので、もっと深刻な状況になるかもしれません」」(http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210903/dom2109030005-n2.html)は少々煽りすぎの感じがしないでもない。R3.8.31「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第5.3版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000825864.pdf)p20「日本の20歳未満のCOVID-19 患者180,650例での死亡例の報告はなく,入院患者12,201例では,重症1例の報告があった(2021年8月25日現在)」とある。「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)のR3.9.1資料2-6「年齢区分別の新型コロナウイルス感染陽性者数と死亡者数-年齢区分別のワクチン接種についても検証-(2021年7月)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826597.pdf)p3「年齢別コロナ感染陽性者数、死亡者数、致死率(2021年7月)」では「18歳以下の死亡者0(0/17512)」である。小児のCOVID-19は、RSウイルス感染症(https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IF00000004&from_intermediate)やインフルエンザ脳症(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2319-iasr/related-articles/related-articles-429/6068-dj4295.html)(http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/051121Guide.pdf)などと比べて重症化率はどうなのか、「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)でリスク評価されているであろうか。日本小児科学会(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=94)のR3.5.12「小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解」(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=369)(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20210520_corona_genjo_taisaku.pdf)の更新が必要かもしれない。R3.8東京都「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック(第2版)」(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zitakuryouyouhandbook.html)(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zitakuryouyouhandbook.files/zitakuryouyouhandbook02.pdf)、R3.8.17国立成育医療研究センター「新型コロナウイルスに感染したお子さんが「自宅療養」される際のポイント」(https://www.ncchd.go.jp/news/2021/210817.html)も参考にされているであろうが、デルタ波では家庭内感染防止は容易ではなく、濃厚接触者の感染を前提とした対応も考えられるかもしれない。COVID-19デルタ株による10代の肺炎はそれほど稀ではなく、念頭に置く必要があるかもしれない。
<家庭内感染が増加するなか、保護者が感染した場合、子どもの居場所をどうするのかが課題となっています。医療機関や自治体が独自に用意した施設で預かるケースもありますが、保健所から預け先を自分で探すよう言われ見つけることができず子どもも感染したという人もいて専門家は「地域の資源をどう使って親子を支えるか準備しておくことが必要だ」と指摘しています。厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、感染場所が分かっている人のうち「自宅」での感染は8月に入って急増し、8月30日時点で新規陽性者のおよそ40%を占めています。保護者が感染して入院や療養が必要になり子どもを預けられる親族などが身近にいない場合、子どもの居場所をどうするのかが課題となっています。都内に住む40代の女性は新型コロナウイルスに感染し入院することになりましたが、5歳の子どもの預け先を保健所に相談したところ「子どもを預かってくれる病院もあるが、具体的には自分で探してもらうことになる」と言われたということです。預け先は見つからず、同様に感染し自宅療養となった夫に子どもを託して入院しましたが、子どもも感染してしまったということで、女性は「一時的に子どもをみてもらえる場所の情報や相談窓口だけでも教えてもらいたい」と話していました。保護者が感染し身近に預け先がない場合について東京都では、子どもが濃厚接触者にあたることから医療機関への入院を対応の中心にしているということで、ことし7月までに220世帯の子どもを病院で受け入れました。入院先は保健所がそのつど、調整しているということです。また、港区や杉並区など都内の少なくとも4つの区では区の施設やホテルの部屋で預かる取り組みを行っていますが、これまでに預かったのは4区で合わせて25人にとどまっています。保護者が幼い子どもと離れることに抵抗を感じて受け入れにつながらなかったり、陰性だった子どもが陽性に転じて受け入れられなくなったりするケースが多いということです。専門家は「保健所の業務がひっ迫している現状では児童福祉の担当部署との連携を強め必要な人に情報が行き届くようにすることや、地域の資源をどう使って親子を支えるか準備しておくことが重要だ」と指摘しています。母親 自分で探すのは困難 夫と5歳の子どもの3人で暮らす40代の女性はことし7月に夫の感染が確認され、その4日後に自身も発熱、検査で陽性となりました。熱が40度まで上がってせきが止まらず呼吸も苦しいなど比較的、症状が重いとして保健所から入院をすすめられたということです。当時は子どもだけが陰性で、女性は保健所の職員に子どもをどうすればいいのか尋ねたところ、「お子さんが陽性であれば一緒に病院に連れていくことも可能だが、現時点で陰性だと、難しい。家族や親族で預かってくれる人を探してほしい」と言われたということです。女性は地方出身で実家が遠く、近くにいる夫の母親も高齢のため子どもがウイルスを持っていた場合の母親への感染が心配で、預けられる人が見つかりませんでした。保健所の職員に事情を話すと、子どもを預かってくれる病院もあると伝えられましたが「具体的な病院名は教えられず、利用を希望する場合は自分で探してもらうことになってしまう」と言われたということです。女性は「意識がもうろうとする中、自力で病院を探すことは無理でした。子どもは陰性なのに感染してしまったらどうしようとすごくつらかったですが、自宅療養中の夫に子どもを託すしか選択肢がありませんでした。食事は別々に、入浴は距離をとるようにと夫に頼むことしかできず、『このまま元気でいてね』と神頼みしながら入院先に向かいました」と振り返ります。女性は入院してすぐに集中治療室に運ばれ、酸素投与や点滴などの治療を受けました。症状が落ち着いて病室に戻り、療養していたところに夫から電話が入り、子どもが発熱したことを知らされたということです。女性は「やっぱり感染してしまったのかとショックで、私のように苦しまずにどうか乗り切ってほしいと願いました。小さい子どもはだっこをせがむし、食事も入浴もひとりでは難しいです。私が入院中は不安があったのか、夫のそばに来て眠ったそうです」と話していました。そのうえで、「保健所は非常にひっ迫しているのですべてのフォローを求めることはできません。ただ、一時的に子どもをみてもらえる場所の情報や困ったときの相談窓口を知れるだけでも安心感は全く違ってくると思います。子どもの預け先がなく自宅にも置いていけないという理由で症状が重いのに入院をためらう親もいるかもしれず、その迷いのせいで命を落とすことがあったとしたらすごく怖いし、悲しいことだと思います」と話していました。子どもの受け入れ先 現状と課題 親が感染し濃厚接触者となった子どもへの対応としては▼医療機関への入院のほか、▼児童相談所の一時保護所での受け入れ、▼自治体が独自に用意した施設での受け入れなどがありますが想定より利用されていなかったり感染リスクへの懸念から受け入れをやめたりするケースもあります。医療機関での受け入れ 東京都では、幼い子どもができるだけ保護者の近くにいられるよう同じ医療機関への「親子入院」を対応の中心にしているということです。療養先がホテルや自宅となった場合は子どもだけが入院するケースもあるということです。去年3月からことし7月までに220世帯の子どもを受け入れていますが、そのつど、保健所が調整するため入院先が決まっているわけではないとして病院名は公表されていません。今後、さらに病床がひっ迫した場合、希望者すべてを受け入れられなくなることが懸念されています。児童相談所の一時保護 児童相談所での対応については厚生労働省が去年4月、全国の自治体に事務連絡で通知しています。虐待などを理由に親と暮らせなくなった子どもたちを緊急に保護する、児童相談所の「一時保護所」などで預かるというものです。事務連絡では濃厚接触者である子どもからすでに入所している子どもたちへの感染を防ぐため、個室で対応することや接する職員を分けることなど注意点が示されていますが、東京都が所管する児童相談所の一時保護所では子どもを隔離することが難しいとして受け入れは行っていないということです。また特別区が設置している児童相談所の一時保護所は都内に4か所ありますが、現在も対応しているのは江戸川区だけで、世田谷区では去年6月、3人を受け入れましたが感染対策が難しいとして現在は行っていないということです。東京都以外では大阪市や京都市の児童相談所なども取り組んでいます。大阪市によりますと、児童相談所の職員が虐待対応など通常の業務を抱えながらケアにあたっていて人繰りが非常に厳しいということです。一方で、感染が拡大する中、子どもを預かってほしいという相談は急増しているということで担当者は「外部の人材を活用できないか模索している」と話していました。独自の取り組み このほか、自治体が独自に居場所を確保する取り組みもあります。NHKが東京23区に取材したところ港区、台東区、目黒区、杉並区の少なくとも4つの区では区の施設を使ったりホテルの部屋を借りたりして子どもを預かる取り組みを行っています。これまでに預かったのは港区が24人、杉並区が1人で台東区と目黒区ではまだ1人も利用していないということです。このうち港区ではホテルの部屋や区の施設で受け入れていますが、利用者は当初の想定よりは少ないということです。担当者は「保護者には安心して療養してほしいと考え体制を整えているが親子が離ればなれになることに子どもの側も親の側も不安に感じて受け入れにつながらないケースが多いと感じる」と話しています。また杉並区では、過去に保育所として使われていた建物を活用して去年6月に体制を整えました。これまでは保育士やヘルパーが対応してきましたが、感染力がさらに強い「デルタ株」が主流となった「第5波」では医療従事者を配置しないとリスクが大きいという懸念もあり濃厚接触者の子どもの受け入れは今後、とりやめる方針だということです。児童相談所の一時保護所では 江戸川区の児童相談所の一時保護所は、都内の一時保護所のなかでは唯一、現在も親が感染した場合の子どもの受け入れを行っています。一時保護所は、親からの虐待などで緊急に保護された子どもたちが一時的に集団生活をする場で、江戸川区の一時保護所の定員は35人です。食堂や学習室などが完備され、大勢の子どもたちが感染対策をとりながらともに過ごしています。親の感染で濃厚接触者となった子どもの受け入れにあたっては、去年の秋から独自に民家を借り上げ、一時保護所の保育士や児童指導員が交代で24時間体制で見守る仕組みをつくりました。先月も数人を受け入れましたが、職員のなかには万が一、自分の家庭に感染が広がることを心配し、1週間、民家に泊まり込む人もいるということです。また、最近では当初は陰性だった子どもが陽性に転じて職員たちが濃厚接触者となり民家から出られなくなったほか、新たな子どもの受け入れも見合わせる事態となりました。一時保護所の管理職は肉や野菜などの食料品を民家の玄関先に届け、職員たちを気遣ってインターホン越しに声をかけていました。江戸川区児童相談所・一時保護課の茂木健司課長は「親が感染して子どもの養育が困難になった場合、虐待のケースなどと区別せずに受け入れるのが責務だと思っています。しかし、実際には課題が多く、職員たちの使命感に頼るしかない非常に厳しい状況です。職員が濃厚接触者になると一時保護所の通常業務もひっ迫してしまい、医療崩壊と同様、福祉現場も崩壊しかねません。例えば、複数の自治体が共同で人材を派遣して受け入れ施設を運営するなど別の仕組みを作らないと、現場がもたなくなる危機感があります」と話していました。病院では看護師が長時間対応 保護者が感染した子どもの入院を受け入れている病院では、看護師が長時間、対応にあたっています。東京・港区の母子医療を専門とする愛育病院ではことしに入って先月末までに0歳から14歳までの28人を受け入れました。食事の介助が必要な年齢の子どももいるほか、保護者と離れているさみしさで泣き出してしまう子どももいるということで、対応記録には「下膳、勉強、掃除」のほか「おやつ、塗り絵」などと記され看護師が何度も部屋を訪れてケアにあたっている様子がわかります。小児科の浦島崇医師は「子どもたちは濃厚接触者なので検査で陽性に転じる可能性もあるため看護師が防護服を着て長時間、対応にあたっています。感染リスクを考えると医療機関への入院が多くなるのは仕方がないと感じています」と話していました。専門家「地域資源使って親子を支える準備を」 児童家庭福祉が専門の武庫川女子大学の倉石哲也教授は「保護者や子どもにとって身近な市区町村が受け入れ体制を整えるのが望ましいと思う。感染拡大によって医療体制がひっ迫する中で、病院での受け入れには限界が出てくるおそれがあるし児童相談所の一時保護所はあまり身近な場所ではなく、数も限られているので十分な受け皿とはなりづらい」と指摘します。独自の取り組みを行っている自治体で利用者が多くないことについては「親子が離ればなれになる不安を拭うため例えば子どもが過ごすホテルの中の様子を保護者が動画で見られるようにしたり、保育士とオンラインで面談できたりするような工夫も必要ではないか。保健所の業務がひっ迫している現状では児童福祉の担当部署との連携を強め必要な人に情報が行き届くようにすることや、地域の資源をどう使って親子を支えていくか準備を進めることが非常に重要だ」と話していました。>
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.8.25方針(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210825.pdf)p59「都道府県等は、患者が入院、宿泊療養、自宅療養をする場合に、その家族に要介護者や障害者、子供等がいる場合は、市町村福祉部門の協力を得て、ケアマネジャー、相談支援専門員、児童相談所等と連携し、必要なサービスや支援を行うこと。」とある。R3.8.27全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000019801_00004.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000824243.pdf)p275~277「一時保護期間中における新型コロナウイルス感染症への対応状況」も参考になる。濃厚接触者である家族に対しては、ケースに応じて弾力的に対応される必要がある。例えば、濃厚接触者が子どもの場合は、ケースによって、陽性者の濃厚接触者として、疑似症扱いによる陽性者との同室看護、同室宿泊療養、自宅療養もあり得るかもしれない。R3.9.3夕刊フジ「デルタ株「学校での感染爆発」で予想される混乱「コロナ差別」の懸念も」(http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210903/dom2109030005-n1.html)の「国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが警鐘を鳴らす。「感染拡大に学校再開が重なれば、20才未満の感染者が1日1万人を超えることも想定しなくてはなりません。アメリカ全体ではコロナですでに400人以上の子供が亡くなっており、日本もそうなる可能性は充分考えられます。子供のほとんどがワクチン未接種なうえ、デルタ株はアジア人種の方が感染しやすい可能性があるので、もっと深刻な状況になるかもしれません」」(http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210903/dom2109030005-n2.html)は少々煽りすぎの感じがしないでもない。R3.8.31「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第5.3版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000825864.pdf)p20「日本の20歳未満のCOVID-19 患者180,650例での死亡例の報告はなく,入院患者12,201例では,重症1例の報告があった(2021年8月25日現在)」とある。「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)のR3.9.1資料2-6「年齢区分別の新型コロナウイルス感染陽性者数と死亡者数-年齢区分別のワクチン接種についても検証-(2021年7月)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826597.pdf)p3「年齢別コロナ感染陽性者数、死亡者数、致死率(2021年7月)」では「18歳以下の死亡者0(0/17512)」である。小児のCOVID-19は、RSウイルス感染症(https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IF00000004&from_intermediate)やインフルエンザ脳症(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2319-iasr/related-articles/related-articles-429/6068-dj4295.html)(http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/051121Guide.pdf)などと比べて重症化率はどうなのか、「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)でリスク評価されているであろうか。日本小児科学会(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=94)のR3.5.12「小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解」(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=369)(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20210520_corona_genjo_taisaku.pdf)の更新が必要かもしれない。R3.8東京都「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック(第2版)」(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zitakuryouyouhandbook.html)(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zitakuryouyouhandbook.files/zitakuryouyouhandbook02.pdf)、R3.8.17国立成育医療研究センター「新型コロナウイルスに感染したお子さんが「自宅療養」される際のポイント」(https://www.ncchd.go.jp/news/2021/210817.html)も参考にされているであろうが、デルタ波では家庭内感染防止は容易ではなく、濃厚接触者の感染を前提とした対応も考えられるかもしれない。COVID-19デルタ株による10代の肺炎はそれほど稀ではなく、念頭に置く必要があるかもしれない。