民謡/梅若朝雲(駅前仙人)の徒然日記2007.1.28~

民謡&三味線の師範・釣り・料理など多趣味。

Day.3268 モクズガニ

2016-01-08 19:27:00 | 民謡夜話
牡蠣を求めて「みまさか」へ行ったが11時と言うのに既に売り切れ。
売り場から察して少ししかなかったようである。
シーズン中に下津井のプックラした牡蠣が食べたいと願っている。

仕方なく諦めたが、何とも珍しい「モクズガニ=通称毛ガニ」があった。
勿論ガサゴソと生きている・・郷愁に惹かれて買った
その昔、知人以上友達未満の男と日本海に注ぐ由良川河口まで毛ガニを獲りに行った。
結果はドブ臭くて茹でるに至らなかったが、彼は持って帰った。

みまさかの仕入れ環境を信じて・・
匂いもなく良さそうだったが、神経質な仙人・・大きなボールで何度も水を替え水を替え
水を得た毛ガニは元気はつらつ!小半日して茹でに掛かる。
鍋にニンニクを入れる・・塩少々・・酒・・水から茹でる・・沸騰してから10分。
完璧である。

子供の頃に食べた記憶・・それでも毛ガニを獲れる人にしか食べる機会は無い。
その上、そのまま飲める程の綺麗で小さな川にはそれほどには遡上して来ない・・貴重なモノであった。
その濃厚な味は記憶通りであった。
足の身は爪楊枝程でもイッショケンメ割る・・味噌は多分誰にとっても未知の味。
満足したのは言うまでもない。

因みに肥後では蟹の事をガネと言う。
肥後民謡「キンキラキン」に・・・


*****熊本の俗謡「キンキラキン」である。
細川家藩士・衣笠十兵衛が作ったとされるが、
衣笠家歴代当主の中には名前が見えないところを見ると、二三男の「厄介叔父」かもしれない。
軽妙なメロディー・リズムに乗せて、軽く「宝暦改革」で締め付けをくう庶民の感情を、
鬱憤晴らしに唄っている。

一、肥後の刀の 下げ緒の長さ 長さバイ ソラ キンキラキン
    まさか違えば 玉襷(たすき)それもそうかい キンキラキン
    (キンキラキンの がねまさどん がねまさどんの 横バイバイ)

二、おらが稚児さんば こなさば こなせ こなせばい ソラ キンキラキン
    腰の朱鞘は 伊達じゃない それもそうかい キンキラキン
    (キンキラキンの がねまさどん がねまさどんの 横バイバイ)

三、肥後の熊本 キンキラキンな御法度 御法度バイ ソラキンキラキン
    キンキラキン唄えば 首がない それもそうかい キンキラキン
    (キンキラキンの がねまさどん がねまさどんの 横バイバイ)

取り敢えずの注釈は・・二番・・稚児をこなす=稚児をいじめる。
おちょくっとったら切り捨てるぞ!・・と解釈したい。
おらが・・はチトおかしい。
その他に難しい方言は無いが、意味を知らずに唄うとおかしなモノになるのが民謡。

重賢の時代にはやったという肥後民謡「キンキラキン」の一節。
キンキラとは錦綺羅で着物の事。
当時上下をあげてぜいたくに流れているのを戒するため、
大奉行の堀平太左衛門が断固として絹物の使用を禁止したのを風刺したものだ。
肥後の刀は緒の長いのが特徴。これはいざという時にタスキにするためだったが、
そのころはまったくの飾り用になり、みな派手な絹物を使っていた。
重賢時代のきびしい治世を象徴するうたである。

補足説明をすると、ご家老堀平太左衛門は背が低く、がに股であったらしい。
歌詞の中の「がねまさ」はがに股をもじったものだろうし、
「横バイバイ」とは蟹が横に這う様子を平左衛門の歩き方に重ねて居る。
コミカルな調子で、座敷歌として披露されたようだが、
平太左衛門殿にとっては迷惑な話である。最近では歌える人もそうはいない。*****

今夜も毛ガニから話が広がって・・良かった良かった!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする