撮れたてブログをご覧の皆さま、こんにちは。 徳留圭吾と申します。
私が平成29年4月から平成31年3月にかけて派遣されたのは、「公益財団法人 日本財団パラリンピックサポートセンター(以下:パラサポ)」というところです。 「公益財団」また、「パラリンピックサポートセンター」ということで、他の省庁や民間企業へ派遣されるのとは違った仕事と貴重な経験ができたと思っています。 今回は、その内容をご紹介していきます。
(パラサポステージと自分)
まず、パラサポの目的と大枠の事業概要を説明します。
【パラリンピックで日本を変える】
よく勘違いされますが、パラサポはパラリンピックそのものの企画・運営はしていません。 パラサポは、2020年東京パラリンピック大会およびパラリンピックスポーツ環境の発展のため、パラリンピック競技団体の体制整備、パラリンピックスポーツの普及啓発事業、そして、インクルーシブ社会の実現へ向けた事業を展開しています。
パラサポとはのページへ https://www.parasapo.tokyo/parasapo
●パラリンピック競技団体の体制整備 パラサポのオフィスは、パラリンピック競技団体(28団体)や関係団体が入居・利用する共同オフィスとなっています。団体間のコミュニケーションを促進する垣根のない開かれた場とユニバーサルデザインを徹底した空間を、競技団体、関連団体、スタッフ、パラアスリートと共有しています。
(パラサポオフィス)
●パラリンピックスポーツの普及啓発事業 「パラ駅伝」や「パラフェス」などの様々なパラスポーツの普及啓発イベントや、小中高生を対象とした「あすチャレ!School」、大人を対象とした「あすチャレ!Academy」、企業・自治体・大学等向けの「あすチャレ!運動会」など、パラスポーツを通じた教育プログラムを全国で展開しています。 私が2年間の派遣でやってきた仕事も、主にこちらの事業になります。
それでは、ここからは私が2年間やってきた担当してきた事業についてお話します。
【国際パラリンピック委員会公認教材「I’mPOSSIBLE」】
学校教育を通じて、より多くの子どもたちにパラリンピックの魅力を伝えるため、国際パラリンピック委員会(IPC)が開発した教材です。教材の名前「I'mPOSSIBLE」には、「不可能(Impossible)だと思えたことも、ちょっと考えて工夫さえすれば何でもできるようになる(I'mpossible)」という、パラリンピックの選手たちが体現するメッセージが込められています。 IPCが開発した「I’mPOSSIBLE」は国際版(英語版)で、日本の教育現場で使用できるようにするために、単に日本語訳をするだけでなく、先生方が手間をかけずに授業が実践できるよう、様々な構成を追加しました。 例えば、先生方に事前の下調べの必要がないよう、「教師用指導案」を作成したり、授業ですぐに子どもたちに向かって使える「授業用シート」(A3版、紙芝居形式)をフルカラーで作成したりしています。また、2017年度に全国すべての小学校・特別支援学校へ、2018年度からは全国すべての中学校・高等学校に向けても無償で1部ずつ配布を行っています。
(教材)授業に必要なものを全て取り揃えています。
このパラリンピック教材「I’mPOSSIBLE」日本版の制作、日本全国に向けての普及が私が2年間でやってきたことの1つです。 教育現場に携わったことがなく、教材作りなどやったことのない中で、また、パラリンピックに関する知識もなかった当初の私にとっては、何をどうしたらいいのかを理解するのに相当な時間を要しました。 しかし、パラサポの教材制作チームのメンバーと、「I’mPOSSIBLE日本版事務局」として共に活動してきた日本パラリンピック委員会(JPC)様、教材の共同制作に携わっていただいた公益財団法人ベネッセこども基金様のおかげで、私自身も徐々にパラリンピックに関する知識をつけることができ、事務的にも教材制作・印刷に関して自信をもってやっていけるようになってきたと実感しています。
教材を使用していただいた先生方からも、「必要な情報や授業で使用する素材がコンパクトに詰まっており、負担なく授業を行うことができた!」「自分でもパラリンピック教育ができた!」などのお声をいただくことができています。
教材普及面では、主に「パラリンピック教育でめざす共生社会~IPC公認教材『I’mPOSSIBLEのご紹介』」というテーマで、全国各地で先生方に向けての研修をさせていただきました。本来、教育現場の経験のない私などが先生方に向けて研修を行うのはおこがましい限りなのですが、こういった活動の後には、先生方から「教材を使った授業をやりました!」というお声をいただくこともあり、非常に励みにもなりました。
(教員研修座学と教員研修実技のようす)教材には実技授業も入っており、教員研修で実技も行うこともありました。
また、都内を中心に、学校での公開授業を何度か行いました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下:東京2020組織委員会)との連携によるものや、IPC会長来日時に行ったイベントなど、大きくメディアに対して呼びかけながら行うイベントについても勉強になったと思います。
(IPC新旧会長来日公開授業)IPC会長来日時には、パーソンズ会長にもゴールボールの授業を体験してもらいました。
(1000日前イベント公開授業)
IPC公認教材「I’mPOSSIBLE」について、詳しくはこちらをご参照ください。 教材は、以下より一部ダウンロードすることもできます! https://education.tokyo2020.org/jp/teachers/texts/iampossible/
【あすチャレ!Academy】 次に、私がもう一つ兼務していた事業についてご紹介します。「あすチャレ!Academy」です。 あすチャレ!Academyは、パラリンピックやパラスポーツを題材に、障がい者の“リアル”を当事者講師から聞き、学び、一緒に考える、15歳以上向けのダイバーシティセミナーです。 私自身、パラサポに出向するまでは、障がいのあるかたを街中で見かけたとき、どう接すればよいかわかりませんでした。このセミナーでは、障がい当事者が講師となりますので、日ごろ疑問に思っていることでも何でも尋ねることができますし、パラスポーツを切り口に障がい理解の分野に入っていくので、福祉的な観念になりすぎず、非常に受け入れやすいセミナーです。 こちらも日本全国での実施が可能で、団体開催は受講者30人から70人、1開催9万円で実施可能です。 あすチャレ!Academyの詳細のページへ https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/academy/
(あすチャレ!Academy受講風景)
(Academyディレクター) あすチャレ!Academyでは、私もディレクターとしてセミナーに参加しています。
なお、2018年10月より、あすチャレ!Academyを小中学生向けに直した「あすチャレ!ジュニアアカデミー」も開始しています。
(あすチャレ!ジュニアアカデミー)
さて、これまで私が担当していた事業について紹介してきましたが、パラサポでは、パラリンピックスポーツの普及啓発のため、他にも様々な体験型イベント、学校訪問事業、また大型イベントを実施しています。それらのどの事業も、目指すところは同じです。これは、パラサポのビジョンとして、明確に記載されています。
パラリンピックには、社会を変える力がある。 パラリンピックには、人に感動と勇気を、 そして気づきを与える力がある。 2020年へ向け、日本はその力を最も享受する資格を得た。 パラリンピックの舞台で活躍する人、 その舞台裏でしっかりと支える人、 ひとりひとりが輝きを放ち、主役となるために。 心に刺激を、行動する勇気を。 Challenge For Tomorrow
東京2020パラリンピックを契機とし、日本の社会に共生社会という概念を浸透させる。パラリンピアンの姿、それを支えるサポーターやアシスタント、また、パラリンピックスポーツの一つ一つに施されているルールや競技用具の工夫、そういったことから、私たちは色々な事を学ぶことができます。このチャンスを生かさない手はありません。
パラサポには、もう一つ、キーメッセージがあります。「i enjoy !~楽しむ人は強い!~」です。このキーメッセージは、パラサポに限らず、何に取り組むにつけても全ての事において大事なことです。私たちは、ことあるごとにこのキーメッセージを口にして今まで走ってきました。
私は東京2020パラリンピックを迎える前に箕面市に戻ることになりましたが、パラサポの皆さんには、その目標をぜひ達成してほしいと思います。
私もパラサポの皆さまから学んだ経験を生かし、箕面市職員としてやるべきこと、やらなければならないことに一生懸命に取り組んでいきたいと思います。
終わってみれば本当に短い2年間でしたが、本当にありがとうございました。 i enjoy !
(集合写真) 2019年の年賀状に掲載した写真。パラサポ職員と、各競技団体の皆さんです!
<徳留さんお疲れ様!いよいよ来年は2020東京オリンピック・パラリンピックの年。パラスポーツのイベントに参加して、パラリンピックを楽しもう!i enjoy!