カルピス誕生100周年を記念して、カルピスの生みの親である三島海雲の生涯をたどる企画展「カルピスをつくった人 三島海雲」が、6月1日(土曜日)から9月4日(水曜日)まで、箕面市立郷土資料館(箕面6-3-1)で開催されています。
企画展「カルピスをつくった人 三島海雲」は、箕面市に生まれた三島海雲の、子どもの頃のようすから、カルピスの原点となった酸乳との出会い、カルピスの誕生、「仏教聖典」作成までの生涯を知ることができます。
さらに、発売当時のカルピスのボトルや広告ポスターなど、今ではなかなか見ることのできない貴重な資料も、間近に見ることができます。
また、今回の企画展では、歴代のカルピスボトルや海雲の交友関係や独自の健康法が新たに展示されており、カルピスにまつわる新たな一面を知ることができます。
(中国に滞在中の三島海雲 当時28歳)
展示は時系列で分かれており、最初の幼少期時代の展示では、海雲が生まれた教学寺(稲2-6-15)についてや、90歳代まで現役を貫いた海雲が、子どもの頃は体が弱く、母によく看病されていたエピソードなどを、写真とともに紹介しています。
(優しかった母とのエピソードが書かれており、心があたたまります)
次に、中国滞在時の展示では、海雲が、カルピスの原点となる「酸乳」に出会うまでのエピソードを紹介しています。
三島海雲は、英語教師として中国に渡り、その後、「日華洋行」という雑貨商の会社を立ち上げます。そして、仕事で行ったモンゴルで「酸乳」と運命的な出会いを果たします。当時、海雲自身、長旅により胃腸が弱っていましたが、滞在先で、酸っぱい乳やクリームを飲んでいたところ、体の調子がとてもよくなりました。
海雲は、日本でも同じようなものを作れないか、と考えるようになりました。これがカルピス開発の出発点となります。
(カルピスの原点となる酸乳との出合いのエピソードとモンゴル滞在中の三島海雲)
日本帰国後は、日本初の乳酸菌飲料カルピスを開発するまで、8年以上に渡り三島海雲が試行錯誤した日々を紹介しています。カルピス発売当時のラベルやボトルデザインのほか、1940年代に発売された「軍用カルピス」の展示(パネル)があります。
(1919年発売当時のカルピスのボトル。滋強飲料と書かれてあります)
(歴代のカルピスボトル。左から2番目と3番目はなんと軍用カルピスとのことです!)
また、「初恋の味」という当時としては斬新なキャッチフレーズを用いたポスターなど、今ではなかなか見ることができない資料が数多く展示されています。
(初恋の味というキャッチフレーズは、斬新で話題となり、瞬く間に日本中にカルピスという名が広がったそうです)
そのほか、海雲は、第一次世界大戦後のインフレで苦しむヨーロッパの美術家を救済しようと、カルピス宣伝用のポスターデザイン懸賞を実施しました。今回の展示では、この懸賞で入賞したデザイン画も公開されています。
(デザイン画を用いた絵はがき。1~3等のデザイン画も展示されています。)
最後は、海雲の交友関係や独自の健康法、そして最後の仕事である「仏教聖典」の展示がされています。
交友関係では、海雲が元プロ野球選手の長嶋茂雄氏へ健康の助言を行っていたこと、歌人の与謝野晶子氏がカルピスの歌を作ったいうエピソードが色紙や歌とともに展示されています。
(左:長嶋茂雄氏の色紙、右:与謝野晶子氏の歌)
また、体が丈夫でなかった海雲は、生涯を通して健康に重きを置いてきました。独自の健康法として、海雲自身が考案したヘソに灸をすえて日光浴を行う「ヘソ日光浴」を行ったり、約8,000歩もの散歩を毎日行っていたそうです。
(ヘソ日光浴は、三島海雲発案の健康法。拡大鏡をおへその周りにあてるので、やけどに注意とのことです)
最後に、海雲は多くの人に仏教を知ってほしいという想いから、「仏教聖典」の作成にとりかかります。そして、1974年7月7日、カルピスと同じ日に「仏教聖典」が刊行されましたが、その5ヶ月後、海雲は97歳でこの世を去りました。
(人生の最期に三島海雲が残した仏教聖典)
そのほかにも、海雲が実際に使用していた食器類や実際に居住していた家の写真の展示もあり、これまで以上に、三島海雲についてより深く知ることができる企画展となっております。
(三島海雲の使用していた食器類。とても貴重なものとのことです)
(赤い屋根がとてもおしゃれですね。1999年までは、会社の事務所として使われていたそうです)
郷土資料館の学芸員の小川紗弥子(おがわさやこ)さんは、「今回は、100周年ということで、三島海雲という人物を深く知っていただきたく、人柄、交友関係や独自の健康についての展示に重きを置きました。また、歴代のカルピスボトルも展示しており、見ていただいたかたに懐かしさを感じてもらえるものとなっております。多くのかたにご来館いただいて、三島海雲という人物とカルピス100年の歴史について知ってもらえれば嬉しいです」と話しました。
(懐かしいパッケージがたくさん!私は1993年のビンのカルピスに懐かしさを感じました)
●企画展「カルピスをつくった人 三島海雲」
【期間】6月1日(土曜日)~9月4日(水曜日)※毎週木曜日休館
【時間】午前10時~午後5時
【場所】郷土資料館(箕面6-3-1、みのおサンプラザ1号館地下1階)
電話:072-723-2235 FAX:072-724-9694
【費用】無料
<100年経っても、多くの人々に愛されているカルピス。その生みの親、三島海雲の生涯をぜひ見に来てくださいね!