箕面市では、現在、民間企業であるダイキン工業株式会社と相互に人事交流を実施しています。今回は、6月末まで2年間に亘りダイキン工業株式会社から箕面市に派遣されていた明路さんからメッセージが届きましたので、ご紹介いたします!
撮れたて箕面ブログをご覧の皆様こんにちは!
私、平成26年の7月から2年間、ダイキン工業株式会社から箕面市役所に出向しておりました明路(めいじ)です。
この2年間の出向期間を終えて、箕面市役所で学んだこと、感じたことなどを書き残しておきます。
自己紹介
まず、自己紹介です。名前は、明路達紀(めいじたつのり)といいます。年齢は46歳です。
ダイキン工業には、平成6年に入社し、化学事業部第三研究開発部という部署で、クリーンルーム用のエアフィルターの開発や事業化に携わりました。もともとの専門は化学工学で、研究者としてダイキン工業に入社しています。平成15年からは、用途開発部という部署で、フッ素樹脂のフィルムや焼却炉用のバグフィルターの事業開発に携わりました。この部署で、製品開発だけでなくお客様への提案(売り込み?)といった業務も担当していました。平成19年からは、製造企画部という部署で、有期間社員の募集、採用、新卒採用、入社後の教育といった業務を担当していました。
そして、平成26年から2年間、箕面市役所で仕事をさせていただきました。こちらの写真は、2年前の7月1日、こちらに初めて来た日の夕方に撮った写真です。とても、思い出深い写真です。
箕面市役所で経験したこと
この2年間で携わった仕事は、「箕面に住む?」リーフレットやHPを活用した移住定住促進、民間企業との連携、ゆるキャラグランプリ、地方版総合戦略に関連する業務、オリジナルナンバープレートの導入、箕面オリジナル手ぬぐいの作成に関する業務など、本当に多岐にわたる業務を経験させていただきました。
この写真は、箕面市で仕事を始めた直後の箕面まつりでゆずるグッズの販売をしていたときの写真です。とにかく声を出そうと、思い切って大きな声で「ゆずるグッズ、いかがですか~」と言っていた事を覚えています。
このオリジナルナンバープレートの導入に向けての関係部門の調整にも携わりました。
こちらが、ゆるキャラⓇグランプリ2014の決選投票でセントレアに行ったときの写真です。この頃には、人前で声を出すことにもなれてきました。
ゆるキャラグランプリ2015の投票呼びかけでは、箕面市内のラジオ体操会場をゆずると一緒に訪問しました。ラジオ体操会場の世話人の方達は皆さん本当にお元気で、地域を盛り上げようという気持ちの強さを感じました。
実は、箕面市PRキャラクター、滝ノ道ゆずるはご当地キャラクターのコンテストで、日本一になった事があります。2014年10月に大阪城公園で開催された「太閤はんの大号令、ご当地キャラ天下統一大合戦」というイベントです。全国から、約50体のキャラクターが集まって、来場者で人気投票をするというイベントだったのですが、ゆるキャラⓇグランプリ2013優勝のさのまるや、後に2015の覇者となった出世大名家康くんなど、日本一のキャラクターを抑えての第1位でした。
滝ノ道ゆずるは、日本一のキャラクターです
他にも、総務常任委員会に出席できた事は、得がたい経験をさせて頂いたと思っています。箕面市役所で仕事をするまで、自分が住んでいる市の議会や行政というものに、あまり意識を向けて来ませんでした。実際に、委員会に出席して議論に参加することで、一市民として、市の行政に注目することは大切な事だと実感しました。選挙には行きましょう!
箕面市役所で学んだこと
市役所での業務を通じて、多くのことを学びました。箕面市は、他市に先駆けて平成21年からシティプロモーション活動を始めた自治体なのですが、私がこの業務に携わった2年の間でも、日本全国でシティプロモーションという動きが活発になってきていることを感じました。多くの市町村がそのまちの魅力を発信するようになってきたなかで、「箕面市の魅力とはいったい何なのか?」「他市に絶対にまねできないものは何なのか?」については何度も議論を繰り返し、何度も新たな発見があった事を覚えています。
また、「箕面市の良さを、いかにして伝えるか?」についても何度も議論をしました。「箕面に住む?」リーフレットやHPの一言一言について議論して決めていきました。
また、その情報を発信するにあたって、外部の力を借りるべく多くの企業の方と打合せをしました。その中で、相手側が自分達に何を求めているかを正確に掴むことの重要性も感じました。
中でも、情報を発信する上で「受け渡しのきっかけ」がとても重要であることは今後も意識して行きたいと考えています。どんなに良い情報でも、受け取る瞬間の気持ちがネガティブだと、人は「なにか問題があるのではないか?」と思ってその情報を頭に入れるようになります。それを覆すのは生半可な事ではありません。情報をポジティブに受け取って貰うきっかけ作りが、営業活動の眼目だということを学びました。
また、トップを走り続ける事も大切であることも実感しました。1位と、2位では印象が大きく異なり、「日本一である」「トップである」という印象はいつまでも心に残ります。箕面市の職員のかた達が、歯を食いしばって日本一のまちであり続けようとする姿は、私の公務員のイメージを覆すものでした。
市役所と民間企業の違い
最後に、市役所と民間企業、両方の仕事を経験した私なりに感じた「違い」について書きたいと思います。
まず、組織の方針や目標の設定に関する違いです。市役所の場合、毎年発表される「施政及び予算編成方針」が1年間の業務の方針であり指針になります。企業の場合は少し違います。企業の目標の根幹はその年の売り上げ目標であり、利益目標となります。その目標を達成するために個別の事業戦略が立てられて行きます。いくつかの事業部門がある場合、その目標は各事業部門の目標に割り当てられ、ひいては個人の年間目標にまでブレイクダウンされていきます。営業担当者は売り上げの目標値、製造担当者は生産量やコストの目標値、研究開発の担当者は売れる新商品づくりに関する目標値を持って、1年間仕事をしていきます。
市役所が民間企業と連携するにあたっては、この点を意識する事はとても重用です。今、交渉をしている担当部門の達成目標は何であるか?目の前の担当者がその目標のどの部分に責任を持っているかを意識するかしないかで、プロジェクトの進み方は大きく違ってきます。
次に、対象となる「顧客は誰か?」という違いです。私が技術営業の仕事をしていたときに何度も上司に聞かれた事です。私が扱っていたBtoBの商材では顧客も製造関連の企業です。自分達の商品を採用して貰うには、自分達の製品が顧客の製品のどの部分に使われ、どんな性能が求められているかを数値で表していかなければなりません。要求性能や使用条件、測定条件などを絞り込んで行くプロセスで製品やサービスを創り上げて行きます。市役所の仕事の場合、そのサービスを受け取る人は一様ではなく、大きく”市民のかた”となります。「こんな事があるかもしれない」「このように受け取られるかもしれない」と、想定範囲を広げてゆく思考プロセスになります。思考のパターンを切り替えるのはなかなか容易ではありませんでした。
最後に組織形態の違いについてお話します。製造業の基本形は、「お客様が求める商品」を、「安いコスト、高い品質で生産し」、「満足して頂ける形で販売する」という「開発」「製造」「販売」が三本柱となります。市役所の場合、市民の生活を支えるという点で、必要とされるサービスは多岐にわたります。また、人事異動にあたっても、多くの仕事を経験するように配慮されています。それぞれのかたにどんな業務を経験されて来たのかを聞くとビックリすることが多く、その経験を聞くのは私の楽しみの一つでもありました。
市役所の皆さんが多くの仕事を経験されている事は、最終的には市民の安全安心に繋がります。市役所の仕事は、市民にとって、普段、関わりが無くても災害が起きたときや、なにか困った事があった時に頼られる仕事です。多くの仕事を経験することは、”いざというときに”互いの仕事をサポートしあえることにつながり、縦横ナナメの人間関係が出来ていることは、一丸となって市民の方をサポートできるということに繋がります。災害を想定した訓練を行う姿には「市民の方をサポートする仕事」の誇りと自負を感じました。
この2年間、民間企業からの出向者として期待して頂いた成果を残せたかは疑問が残りますが、自分自身としては、成長に繋がったと感じています。市役所の皆さんは、非常にやさしい方が多く、助けられてばかりの2年間でした。本当にありがとうございました。
<明路さん、2年間ありがとうございました。ダイキン工業株式会社に戻られましたが、ずっと箕面市のファンでいてくださいね!>