◆2025年日本国際博覧会協会への派遣
「撮れたて箕面ブログ」をご覧のみなさま、こんにちは!
2023年4月から2年間、箕面市役所から公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(博覧会協会)に派遣されていた大谷です。
この4月13日から、大阪・関西万博がいよいよ開催されます。
2025年大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、165の参加国等(国・地域、 国際機関)が参加します(2025年2月時点)。
博覧会協会はその準備及び開催運営を行なうために、国・地方自治体・経済界の協力のもと設立された組織で、箕面市役所からも私を含めこれまで3名の職員が派遣されました。
ここでは、私の派遣期間中の経験を紹介させていただきます。
◆配属先と仕事内容
私が配属されたのが、このメガイベントの開催者である博覧会協会の、施設維持管理局建築調整グループ 兼 国際局国際部支援業務課です。
仕事の内容は、施設整備に関するガイドラインの策定・運用や、パビリオンに関わる設計の審査と施工の調整です。
万博会場の施設整備とは、主にパビリオンを建てることです。これらはイベント終了後に解体される仮設建築物のため、設計等のルールが通常とは異なりますし、また万博の独自ルール(ガイドライン)も適用されます。それで海外の技術者が設計等を行うのですから、さらに難易度が高い業務になります。博覧会協会はそれを補助する役割も担っています。
◆施設整備に関するガイドラインの策定・運用
施設整備に関するガイドラインは、パビリオンを整備する際に守るべき基準を定めています。大屋根リングと統一性がある外観デザインの形成や、すべての人がより利用しやすいユニバーサルデザインを実現するためのものです。
そのうちユニバーサルデザインガイドラインは、障がい当事者や専門家の意見を踏まえて作成され、法的な規制以上に、来場者への配慮を重視した内容となっています。
このガイドラインに基づくチェックを行うには、規制の意図を踏まえて運用を行うことが求められ、それを設計者等に説明し理解を得るよう努めました。こうしたガイドラインが、開催時に来場者のみなさまが万博を楽しむことに集中できる環境づくりの基盤となっています。
また、私を含めて万博に関わった人々がユニバーサルデザインについての理解を深められたことが、今後の他の施設整備にも活かされるだろうと感じています。
◆タイプ別パビリオンに係る設計施工の調整
〇タイプ別パビリオンとは
パビリオンのタイプは、大きく分けて3つあります。
・タイプA(敷地渡し方式): 参加国等がパビリオンをデザインできる方式
・タイプB(建物渡し方式): 博覧会協会が建物のうち壁で区切られた区画を提供し、参加国等が展示内容をデザインする方式
・タイプC(共同館方式): 参加国等が一部のスペースを借りて展示内容を作る方式
それぞれデザインも展示内容も、趣向が凝らされています。これら数多くのパビリオンが、万博の象徴である大屋根リングの内側に集まります。
ちなみに、このリングの長さは、どうやら2025年という開催年と同じ、2025メートルらしいです。リングは屋上に上がれるのですが、そこからの景色がとても良いので、ぜひ歩いてその長さを測ってみてください。
〇ネットワークのハブの役割
パビリオンを実現するため、各々の政府代表や技術者からさまざまな質問や相談が、いろいろな言語で博覧会協会に寄せられます。
それらに一元的に対応するため、参加国等の窓口として、博覧会協会の国際局に担当職員(カントリ-マネージャー)が配置されています。
質問等は、カントリ-マネージャーが、同じ国際局内の専門チーム(建築や税関、イベント等)に振り分けます。他部局にも、すべての情報を最初に受けるチームがあり(私は会場整備を担当する部局に所属していました)、これらのチームは部局間を繋ぐネットワークのハブのような役割を果たしています。そこから各専門分野に適した職員に質問等が渡され、対応が進められます。
この体制により、質問等が無駄に別の担当者に渡されることなく、内容に応じた専門の担当者にスムーズに繋がり、対応が行われます。
また、問い合わせの対応履歴を蓄積することで、他の参加国等から似たような質問等があった場合にも、迅速に対応できるようになります。
〇さまざまな関係者との調整
私の担当は50カ国以上の参加国や地域等にわたり、全ての大陸・地域をカバーしています。
業務を進める中で感じたのは、問い合わせてくる人々がさまざまで、政府代表や海外の技術者等からの質問や相談もあり、それぞれの意図や背景を理解するのがとても難しいということです。
その分、準備期間中も、万博に向けた熱い気持ちが感じられ、印象的な考え方や出来事に多く触れることができました。そして、参加国等の方々が熱意を持って取り組んできたことが、今、形になっていることに心を打たれています。
◆終わりに
着任当初、夢洲は何もない場所でしたが、今では華やかなパビリオンが立ち並ぶ景色に感動しています。博覧会協会では、さまざまな職員や海外の要人と意見を交わし、認識を共有しながら、次のステップを前向きに迅速に示すことの重要性を実感し、貴重な経験を積むことができました。
また、厳しい施工条件の中でも着実に施設整備を進める日本の建設関係者の優秀さに深く感銘を受け、技術者としてこの歴史的なプロジェクトに携われたことを誇りに思います。このかけがえのない経験は、未来にも大きな影響を与えると確信しています。
この場をお借りして、関係者のみなさま、また派遣の機会を与えてくださった箕面市に心より御礼申し上げます。
そして何より、このブログをご覧のみなさまには、ぜひ大阪・関西万博へ足を運んでいただき、未来を変えるきっかけとなるような特別な体験を味わっていただければ幸いです。
<大谷さんありがとうございました。大阪・関西万博もいよいよ開幕ですね!