皮肉なことに、シーズン秋冬制は中国封じ込めに役立つんじゃないかｗ

エルゴラで犬飼会長のインタビューを読んだ。秋冬制への移行は国際基準に合わせる為で、アジア全体でも取り組まないといけない課題云々。まあ、中東なんて気温からして完全に秋開幕なわけだから、この課題に取り組むべきは、日本、中国、韓国ということなんでしょうな。

秋冬制というのはまあ、気合入れてやろうと思えばやれないことはない。ただ、問題は何とかやれるというレベルと、それが興行としてペイできるかというのとは別だということを押えておかないといけないと思う。考えるべきポイントは、

1．同じ冬の屋外スポーツでも、ラグビーとは興行形態が違う
2．欧州と比較した場合、ヨーロッパ人と日本人とでは耐寒温度が違う
3．さらに欧州のスタジアムは電気ストーブのような暖房設備を完備している

といったことだろう。

１であるが、ラグビーのようなアマチュアスポーツと違い、プロスポーツであるサッカーというのはやはりラグビーとは桁が一つ違うほどの観客を呼ばないことには選手たちの年俸というのを払えない現実が待ち構えている。だからまあ、秋冬制に反対の根拠としては、夏休みにおける集客というのは大事だというのが挙げられるんだけども、逆に言えば、夏休みが始まる頃合いからシーズンを始めるという選択もあり得るわけですな。

ただ、それをやると高温多湿な状態での試合を避けるという秋冬制の目的は達成できないだろう。しかしそれでも、欧州に暦を合わせれば選手の海外移籍はスムースに運ぶという目的には近づけるかもしれないが・・・

2については1と重複する部分がある。屋外球技でもアメフトは1月3日のライスボウルで終了しているし、ラグビーだって昔は1月15日の成人の日に終了するのが恒例だった。ではなぜシーズンを延ばせないのかと言えば、考えられる理由の一つには寒くなるにつれて観客がさほど多く見込めないということなのかもしれない。まあ、自分だってJリーグのオフの期間中に何かスポーツを見に行くとなれば屋外競技よりはバスケットやハンドボールなんかを選んでしまう程の寒がりですからねえ。

あ、そうそう本題に入ると、欧米人と日本人とでは明らかに体が寒いと感じる感覚が違うなとは前から思っていたし、俊輔も「察知力」の中で指摘していたことだが、日本人の方がウォーミングアップには時間がかかるらしい。ヨーロッパに出来て何で日本で出来ないという前にこのことは考えて置かねばならない。

3については、犬飼会長がシーズン制改革において念頭においていることかもしれないし、そうした欧州の事情は十分にご存知であるに違いない。

問題は、そうした暖房設備への投資に関して誰が金を出すの？ということではないだろうか。

これはアイスホッケーと状態が似ている。日本国内での試合を見に行かれたことのある方ならお判りだろうが、日本で行われる試合会場となるリンクはやはり寒い。これに対して筆者が10年ほど前にさいたまスーパーアリーナでNHLの開幕戦を観戦した際（ヤーガーが懐かしい！）、暖房が効いていることもあって全く寒くはなかった。これは相当な光熱費と電気代を使っているからこそ可能な芸当なんだけども・・・つまり、見に来てくれるお客さんの為にしっかりした防寒対策を打ち出す為には、それだけビジネスとしてペイしている前提がないといけないが、残念ながら今のJリーグにおいて、北国雪国のクラブに、そうした防寒対策（除雪作業も含む）の為の必要な先行投資というものを行える体力がないし、それが行えないからと言って単純に素人という風に片付けられるものではないだろう。

これに関しては、もし秋冬制に移行するなら、そうした冬の試合に備えて必要な防寒対策の為に北国雪国のクラブが投資する必要なコストというものを、日本全体でどのくらい負担できるのかを議論する必要があるんじゃないかと思っている。つまりそうした投資を彼らだけに押し付けておいていいのか、ということなんですがね。

あと、前にも書いたことだが、日本が秋冬制に移行すれば中韓もそれに倣うだろうというのは犬飼会長の思い込みに過ぎない。韓国は辛うじてやってやれなくはないだろうけど、真冬のソウルがどれだけ冷え込むかは会長自身よりウォン安で韓国旅行して来たOLの方がよっぽど詳しいでしょうｗ　

中国については、旧満州の東北三省の冬は日本以上に厳しい。中超クラブのある大連や長春では氷点下10度くらいまで冷え込む時もある。新潟と姉妹都市の提携を結んでいるハルピンは言うに及ばず。だからこそ例年10月くらいにシーズンを終えてしまうという現実があるわけなんですがね。

だからまあ、秋冬制ってある意味中国封じ込め政策って思ってしまうわけなんですよｗ　まあ別に中国人って自国のサッカーについては諦めているわけなんだから別にいいんじゃねｗ