『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『西の魔女が死んだ』を観た]

2008-06-28 10:56:31 | 物語の感想
☆悪い映画じゃないんだけど、

なんか、小学校の時、学年で視聴覚室に集められて見た映画のような、純文部省推奨作品的な潔癖感が感じられる作品だった。

・・・学校で孤立し、登校拒否に陥った主人公の娘(高橋真悠)が、祖父の死後、山間の山小屋で一人住む、英国人だった祖母(サチ・パーカー)のもとに預けられるのだ。

両親と微妙な齟齬があり、車に揺られて山道を行く情景は、『千と千尋の神隠し』の冒頭と似ていて、

全体の雰囲気も、似ているような気がした。

近所に住むやさぐれた男・木村祐一や、庶民性を届けてくれる郵便配達員の高橋克実など、いかにも、薄められた「油屋」のメンバー的な個性が感じられる。

人(それぞれ、客のためであったり、自分のためであったり)が過ごすための仕事をこなしていく様も、似ていた。

   ◇   ◇

『西の魔女・・・』では、その主人公マイが、田舎の生活を体験している様が丹念に描かれている。

しかし、その丁寧な撮りかたが、物語にちゃんと密着しているのだろうか?

私には、その方法論の是非が分からずに、作品全般を通して違和感があった。

レタスエッグサンドイッチやブルーベリージャムのつくり方を順を追って語られても、・・・田舎での足踏み洗濯のさまを長々と見せられても、いまいち意味が分からないのである。

そういったイベントを通して、マイの変化を、作り手側は描きたいのだろうが、こんなにも冗長である必要はない。

これらの行為は、後々(エピローグ時)に効果を発するわけでもない。

私は、ジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』での、「異星人を見破れるサングラスを掛けさせるための、延々と続けられたストリートファイト」を思い出した^^;

ならば、両親との関わり合いを、もっと念入りに描いてしかるべきだろう。

お母さん役のりょうの心境の変化を「お茶漬けサラサラ」「不在の娘の部屋眺め」で済ませてしまうのも中途半端に辛い・・・。

この物語における両親の存在は、取ってつけたような「オチつけマン」的な存在でしかない。

   ◇   ◇

「西の魔女」役であるサチ・パーカーさん、シャーリー・マクレーンの実の娘さんだそうだが、

スピリチュアルな世界に没入してしまったお母さんに対し、

今回は、「西の魔女」とは呼ばれているけれど、

純自然を友とするおばあちゃんを演じている。

その演技は、マゴリアムおじさん(ダスティン・ホフマン)クリソツだった^^;

目元や、相手に安心感を与えるような口もとなんか、双子にも思えた。

ダスティン・ホフマンが「西の魔女」を演じても違和感がなさそうだった。

思えば、ダスティン・ホフマンは『トッツィー』で女装をしていたものだ。

懐かしいなぁ^^

   ◇   ◇

「西の魔女」の清潔感は、物語のテーマ性に関わるので良いとして、

主人公マイ役の色気のなさたるや、何ごとであろうか?

なんか、「少女」としての魅力が皆無なのである。

私は、自分の姪っ子を見せられているような居心地の悪さを感じられた(非常に似ている)。

せっかくの「少女」なのである。

少しくらい、私をときめかせて欲しかった。

「西の魔女」なんだから、『いちご100%』の「西野つかさ」くらい可愛かったら良かったのだが・・・^^;

私は、松浦亜弥のコンサートのチケットを貰い行ったことがあるのだが、その魅力のなさにシラけながら観て、だが、彼女がヘソ出しルックに衣装を変えて出てきたトコだけは、そのウエストの美しさに見惚れた。

しかし、高橋真悠には、そんな魅力もなかった。

高橋嬢の素材は悪くないのだから、作り手の責任である。

ミミズやナメクジを見て、驚いて尻餅をつくパターンが何度かくり返されるが、全く萌えない。

そういった指向の作品でないのは分かるが、そういった要素を描けなければ、総合芸術と呼ばれる映画ではないのだよ・・・。

   ◇   ◇

マイは、「西の魔女」と気まずい別れをしてしまう。

次に「会う」ときは、「西の魔女」との永遠の別離の時であった(楳図かずお『漂流教室』の主人公と母親のシチュエーションと似ている)。

取り返しのつかないと思われたことは、「西の魔女」の<魔法>でことほぐれる。

その<魔法>が、物理的には<魔法>とは言えないトコが良かった。

PS.欠点ばかり書きすぎたが、「西の魔女」の<魔女修行>における言葉の中には、私が自身の人生を省みさせるような諌言が散見された。
  私は、ゆっくりとした時間が流れる作品中で、何度か考えさせられた・・・。

                            (2008/06/28)

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4 コメント

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halさんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2008-07-08 20:45:02
エントリーの中にも書きましたが、マイは私の姪っ子ととても似ています。
で、姪っ子(13歳)は、最近、この映画を観に行ったそうです^^
どんな心境だったのでしょう^^;
ちなみに、姪は、昨日からイギリスに学校行事でホームステイに行きました。
おばあちゃんの故郷に行ったわけです^^

これからもよろしくお願いします☆
TBありがとうございました。 (hal)
2008-07-07 08:26:18
こんにちは。まさしく純文部省推奨作品的という感じでしたね。こういうおばあちゃんと接する機会も少なくなってきたかもしれません。
いらっしゃいませ、マダ~ム♪ (ミッドナイト・蘭)
2008-06-30 20:52:54
そうなんですけど、私、けなしすぎかなと後悔もしていまして、
けども、
思い出すと、更に物語自体の希薄さが思い出されてしまうので困っています^^;

でも、この作品が人生上に彩りを加え、青春の活力となる女子中学生がいてもいいとは思っています^^

今年のワーストである『マゴリアムおじさん』や『L:チェンジ・ザ・ワールド』よりは数段良かったです^^

これからもよろしくお願いします☆

同感 (マダム・クニコ)
2008-06-30 17:11:00
同感です。

まいと両親との関係、祖母と村人との関係、共に希薄で、類型的だと思いました。

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