☆<ワーナーマイカル・日の出>で、『スラムドッグ・ミリオネア』と『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』が1000円でリバイバル上映されている。
私は、後者は未見だったので、いそいそと行く。
昨夜の最後の回で、客は、私と、どこぞのお姉さん二人だけだった^^;
◇
未見だったのには理由があり、他のブロガーの評判がすこぶる悪かったからだ。
でも、私には非常に面白かった。
このような観念的と言うか、イマージュ重視の作品ばかりだけの映画界ならば厭だが、30作品に1作ぐらいならばいいものだ。
物語はシンプルで、アジアに消えたシタオ(木村拓哉)と言う青年の捜索を依頼された、LAの警官崩れの探偵クライン(ジョシュ・ハートネット)が、行き着いた香港で、シタオが共に行動することになった女・リリ、その恋人・中国人ヤクザ・ドンポ(イ・ビョンホン)との愛憎状況を絡めて描いている。
「人捜し」の点では同じだが、『96時間』と対極の作風である。
◇
雰囲気が実に面白い。
本来、話をグイグイ牽引していくような要素を排して、あたかも編集時にカットするかのような「二の線」のシーンばかりを集めて、物語を展開させているのだ。
これが、キューブリックが言うところの「マジック」効果を生んで、他愛のない物語に深みを加えてくれていた。
そして、その雰囲気の中で、これでもかと、主演の3人の男優の男臭さを描いてくれる。
とは言え、不必要な猟奇風味や、汚い映像、ショッキング展開もあるのだが、イケメンっちゅうのは、何やってもカッコいいようで、清潔感がある。
クラインなんて、かつての警官失格の理由としての、猟奇殺人鬼を捕まえるための「猟奇殺人鬼との同調」なんて危ういことをしておきながらも格好良い。
そのクラインが、今回は、超自己に埋没した情念の捜査をする。
◇
シタオの彷徨へのキリスト暗喩も不必要だと思った。
木村拓哉の演技はとても見事で、シナリオ上の暗喩なくとも、シタオの自他問わない救済希求の旅には、何らかの聖人の生き様が滲み出てくると思うのだ。
◇
作中、3人の男の裸体が惜しげもなく披瀝されるが、3人とも、無駄な肉がついてなくて、「ザ・男」って感じでよかったっス^^;
イ・ビョンホンは、どうにも、私は顔が嫌いなのだが、その肉体は、研ぎ澄まされた強さが感じられた。
私は、イ・ビョンホン演じるヤクザのリーダー・ドンポの部下たちに非常に魅力を感じた。
仕事に失敗して殺されるのに戻った男の表情など、なかなか記憶に残る。
ボスの横にいつも待機している丸顔のひげの奴も良い。
◇
クラインの旧友の香港警察の男も格好良くて、クラインと水を掛け合ってじゃれあったり、下らない話をしている空間描写が秀逸だと思った。
男が少年のあどけなさを垣間見せるのだ。
そんな横道のシーンを楽しく見せてくれたこの作品の監督は非凡だと思うのだ。
(2009/10/23)
私は、後者は未見だったので、いそいそと行く。
昨夜の最後の回で、客は、私と、どこぞのお姉さん二人だけだった^^;
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未見だったのには理由があり、他のブロガーの評判がすこぶる悪かったからだ。
でも、私には非常に面白かった。
このような観念的と言うか、イマージュ重視の作品ばかりだけの映画界ならば厭だが、30作品に1作ぐらいならばいいものだ。
物語はシンプルで、アジアに消えたシタオ(木村拓哉)と言う青年の捜索を依頼された、LAの警官崩れの探偵クライン(ジョシュ・ハートネット)が、行き着いた香港で、シタオが共に行動することになった女・リリ、その恋人・中国人ヤクザ・ドンポ(イ・ビョンホン)との愛憎状況を絡めて描いている。
「人捜し」の点では同じだが、『96時間』と対極の作風である。
◇
雰囲気が実に面白い。
本来、話をグイグイ牽引していくような要素を排して、あたかも編集時にカットするかのような「二の線」のシーンばかりを集めて、物語を展開させているのだ。
これが、キューブリックが言うところの「マジック」効果を生んで、他愛のない物語に深みを加えてくれていた。
そして、その雰囲気の中で、これでもかと、主演の3人の男優の男臭さを描いてくれる。
とは言え、不必要な猟奇風味や、汚い映像、ショッキング展開もあるのだが、イケメンっちゅうのは、何やってもカッコいいようで、清潔感がある。
クラインなんて、かつての警官失格の理由としての、猟奇殺人鬼を捕まえるための「猟奇殺人鬼との同調」なんて危ういことをしておきながらも格好良い。
そのクラインが、今回は、超自己に埋没した情念の捜査をする。
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シタオの彷徨へのキリスト暗喩も不必要だと思った。
木村拓哉の演技はとても見事で、シナリオ上の暗喩なくとも、シタオの自他問わない救済希求の旅には、何らかの聖人の生き様が滲み出てくると思うのだ。
◇
作中、3人の男の裸体が惜しげもなく披瀝されるが、3人とも、無駄な肉がついてなくて、「ザ・男」って感じでよかったっス^^;
イ・ビョンホンは、どうにも、私は顔が嫌いなのだが、その肉体は、研ぎ澄まされた強さが感じられた。
私は、イ・ビョンホン演じるヤクザのリーダー・ドンポの部下たちに非常に魅力を感じた。
仕事に失敗して殺されるのに戻った男の表情など、なかなか記憶に残る。
ボスの横にいつも待機している丸顔のひげの奴も良い。
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クラインの旧友の香港警察の男も格好良くて、クラインと水を掛け合ってじゃれあったり、下らない話をしている空間描写が秀逸だと思った。
男が少年のあどけなさを垣間見せるのだ。
そんな横道のシーンを楽しく見せてくれたこの作品の監督は非凡だと思うのだ。
(2009/10/23)