大切に保管されている、古陶磁器は木箱などに収められています。
本来の目的は、古陶磁器の保護ですが、時には作者を特定する有力な手段となります。
又、その伝来の由来等を記した物(箱書き、書付)が有れば、その歴史的価値を裏付ける事になり
ます。特に著名人が所有していた事を示す書付や、鑑定書などが有れば、経済的価値も倍増されます
この様な目的を持つ箱や箱書き類は、贋作を作る人や、贋作に仕上げる人達に取って、見逃す
事の出来ない、絶好のアイテムになります。
1) 箱の種類と材質。
① 共箱: 制作当初より、その陶磁器に付けられていた箱です。
作者自ら用意した箱で、作者の署名(サイン)が墨で書かれたり、印が押されています。
② 保管箱、仮箱: 単なる保管する為の箱です。作品の持ち主が新たに作らせた箱です。
③ あて箱: 近年になって、作品に見合う箱を選んで使用している箱です。
④ あわせ箱: 他から転用した箱で、収納に適した大きさの箱です。
中の陶磁器より古い場合もあります。
⑤ 外箱に付いて。箱が古くて痛んできた場合、更にその外側に箱を設け、古い箱ごと収納します
即ち、二重箱にします。国宝の大井戸茶碗の「銘 喜左衛門」には、金蒔絵文字のある塗りの
内箱、白木の中箱、更に外箱があり、最後に総箱の四重の箱に入っています。
⑥ 箱の材質。
) 唐津や志野、備前などの和物(国焼き)では、杉、檜(ひのき)、桐などの白木が多く
使われています。木製以外に、薄くした木を曲げて容器にした曲物(まげもの)や、
竹細工、籐細工の籠(かご)があります。
・ 桐箱は江戸時代の中期以降に使われ出したと言われています。その前は杉の箱が
多く使われていました。
) 朝鮮や中国製の唐物、島物(中国南部、東南アジア)の陶磁器では、木地に塗り物を使う
事が多いです。具体的には、黒漆(うるし)で、金粉文字、春慶塗(しゅんけいぬり)など
です。但し木地に黒檀、紫檀、花梨(かりん)などの高級木材は使用されていません。
2) 箱の種類と大きさ(寸法)、年代を鑑定する。
① 箱のサイズが作品の大きさに合っているか?
共箱の場合、作品の高さや径がの大きさが、箱と一致しているか。又、高台が当たる底板の径の
跡が作品の径が一致しているか。などを見て判断します。
② 箱の作られた年代は、以下の方法で確認します。
) 使われている木材の種類。板の肉厚。
) 板の組み合わせ方(箱の構造)。
江戸時代の箱は、薄い板で作られた、印籠蓋の物。杉材で側面板の下部中央に紐を通す
丸穴がある物。桐材で二方桟(さん)の物が多いです。
3) 騙しの手口。
① 古い箱を仕入れて使う。
古い箱は高値で販売され、その為の市場もあるとの事です。即ち、あて箱やあわせ箱の需要は
多いのです。
② 古い箱を解体し、その古材を使い新たな箱を作る。
時代により箱の構造(作り方)に変化がありますので、それに合わせる必要があります。
③ 大き過ぎる箱を切り詰め、大きさを調整する。
②、③の場合、板の切断面(木口)に新古の差が現れますので、古色付けを施します。
④ 本物の箱には贋作が入っている事が多い。
本物の作品を、その製作者又は鑑定人(権威者)に見せ、用意した箱に箱書きをしてもらう
事は、良くある事の様です。即ち、一つの作品に、本物の箱が複数個ある事になります。
(注: 箱書きに付いては、後でお話します。)
それ故、箱は本物でも、中身が偽者(贋作)が多数存在しる事に成ります。
4) 箱と贋作が結び付き易い為、現在では、古美術、骨董業界では、箱を重視する風潮は少なく
なっています。箱に惑わされず、作品の良し悪しで判断する傾向が強いです。
箱はあくまで保存用の容器として、見る風潮が強くなった様です。
以下次回に続きます。
本来の目的は、古陶磁器の保護ですが、時には作者を特定する有力な手段となります。
又、その伝来の由来等を記した物(箱書き、書付)が有れば、その歴史的価値を裏付ける事になり
ます。特に著名人が所有していた事を示す書付や、鑑定書などが有れば、経済的価値も倍増されます
この様な目的を持つ箱や箱書き類は、贋作を作る人や、贋作に仕上げる人達に取って、見逃す
事の出来ない、絶好のアイテムになります。
1) 箱の種類と材質。
① 共箱: 制作当初より、その陶磁器に付けられていた箱です。
作者自ら用意した箱で、作者の署名(サイン)が墨で書かれたり、印が押されています。
② 保管箱、仮箱: 単なる保管する為の箱です。作品の持ち主が新たに作らせた箱です。
③ あて箱: 近年になって、作品に見合う箱を選んで使用している箱です。
④ あわせ箱: 他から転用した箱で、収納に適した大きさの箱です。
中の陶磁器より古い場合もあります。
⑤ 外箱に付いて。箱が古くて痛んできた場合、更にその外側に箱を設け、古い箱ごと収納します
即ち、二重箱にします。国宝の大井戸茶碗の「銘 喜左衛門」には、金蒔絵文字のある塗りの
内箱、白木の中箱、更に外箱があり、最後に総箱の四重の箱に入っています。
⑥ 箱の材質。
) 唐津や志野、備前などの和物(国焼き)では、杉、檜(ひのき)、桐などの白木が多く
使われています。木製以外に、薄くした木を曲げて容器にした曲物(まげもの)や、
竹細工、籐細工の籠(かご)があります。
・ 桐箱は江戸時代の中期以降に使われ出したと言われています。その前は杉の箱が
多く使われていました。
) 朝鮮や中国製の唐物、島物(中国南部、東南アジア)の陶磁器では、木地に塗り物を使う
事が多いです。具体的には、黒漆(うるし)で、金粉文字、春慶塗(しゅんけいぬり)など
です。但し木地に黒檀、紫檀、花梨(かりん)などの高級木材は使用されていません。
2) 箱の種類と大きさ(寸法)、年代を鑑定する。
① 箱のサイズが作品の大きさに合っているか?
共箱の場合、作品の高さや径がの大きさが、箱と一致しているか。又、高台が当たる底板の径の
跡が作品の径が一致しているか。などを見て判断します。
② 箱の作られた年代は、以下の方法で確認します。
) 使われている木材の種類。板の肉厚。
) 板の組み合わせ方(箱の構造)。
江戸時代の箱は、薄い板で作られた、印籠蓋の物。杉材で側面板の下部中央に紐を通す
丸穴がある物。桐材で二方桟(さん)の物が多いです。
3) 騙しの手口。
① 古い箱を仕入れて使う。
古い箱は高値で販売され、その為の市場もあるとの事です。即ち、あて箱やあわせ箱の需要は
多いのです。
② 古い箱を解体し、その古材を使い新たな箱を作る。
時代により箱の構造(作り方)に変化がありますので、それに合わせる必要があります。
③ 大き過ぎる箱を切り詰め、大きさを調整する。
②、③の場合、板の切断面(木口)に新古の差が現れますので、古色付けを施します。
④ 本物の箱には贋作が入っている事が多い。
本物の作品を、その製作者又は鑑定人(権威者)に見せ、用意した箱に箱書きをしてもらう
事は、良くある事の様です。即ち、一つの作品に、本物の箱が複数個ある事になります。
(注: 箱書きに付いては、後でお話します。)
それ故、箱は本物でも、中身が偽者(贋作)が多数存在しる事に成ります。
4) 箱と贋作が結び付き易い為、現在では、古美術、骨董業界では、箱を重視する風潮は少なく
なっています。箱に惑わされず、作品の良し悪しで判断する傾向が強いです。
箱はあくまで保存用の容器として、見る風潮が強くなった様です。
以下次回に続きます。
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