Shima様 より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を述べます。
こんにちは、初めまして。
教えていただきたいことがありコメントさせていただきました。
ろくろを使ってカップや器を作るときできた器のトップが斜めに出来上がってしまうことが多々あります。穴開けをするとき、上に伸ばすときなるべくゆっくりあげているのですがどこかで間違ったことをしてしまっているのでしょうか?
よろしくお願いします。
明窓より
轆轤挽の際、筒状の真上が一方に伸びて仕舞う事は、轆轤に不慣れな方には、一般的に
見られる現象です。
原因は幾つか考えらえます。
1) 土(粘土)の硬さが一定でない場合。
土の硬さが一定でないと、柔らかい部分は多く伸び、硬い所は上に伸び難く成る為、
高低差がでます。又気泡や異物が混入している場合も同様です。
対策は、土を良く練る事です。
一般には菊練りの技法を取りましが、土練機を使う方法もあります。
手で練る際には、回数を多くします。
当然ですが、練る前の土の硬さが均一である事が前提です。
再生粘土を使う場合、特に注意が必要です。
2) 轆轤上の土の中央に穴が開いていない場合。
中央に穴が開いていない場合は、一方が肉厚で、他方が肉薄になります。
即ち、偏肉となり、肉厚部分は高く伸び、薄肉の場合は低くなります。
原因は以下の場合が多いです。
A)土殺しが不十分の場合。
成形に取り掛かる前に、轆轤上の土が振れていないかを確認する事。
左手で抱え込んだ際、手がピタリと止まっているかを確認します。
(轆轤の回転方向を右の場合)慣れないと確認は意外と難しいです。
多く見られる原因の一つです。
確認が取れない場合、土殺しを続けます。
指導してくれる方が居れば、その方に「ブレ」が無い事を確認してもらと良い。
B) 土の中央に穴が開いていない場合。
中央に穴を開けるには、両手で土の外側を包み込み、両方の親指を揃え、
土の中央に指先を置き位置を決め、両方の親指で穴を少し掘り込み、その穴に水を
少量流し込み、手の滑りを良くし、親指の届くまで掘り込みます。
更に深く掘り込む場合には、右手中指を穴の底に置き、真下に掘り込み底の肉厚を残します
次に筒の内径を必要な寸法に合わせます。決まれば、筒の内外と上部を両手の親指(内)、
親指以外の指(外)、両指の間(上)で抑え込み綺麗な円と肉厚を調整します。
この筒上げ前の準備が大変重要です。
c)筒上げは両手を用いますが、その際手指を固定せる事。
特に筒の外側の手が重要です。手の肘を体に密着し、振れない様にし、出来るだけ
左右の指を連結し、その間隔(隙間)を一定に保ちながら上方に移動します。
d)ゆっくり回転させる事は必ずしも良い事ではありません。
ゆっくりさせる事はある意味、相手の狂いに合わせる事とも言えます。
相手に自分の意志を伝える為(言う事を聞かせる)には、相手に合わせるのでなく、
回転を若干早くし、狂いが追い付かない様にするのがベターです。
3) 高低差が出来る原因を見つける方法。
A) 筒状に挽き上げた作品を、剣先や弓で垂直方向に切り裂く。
高い所と低い所を結ぶ線状で二分します。その端面を確認します。
端面の左右の肉厚に違いがあるか。端面が一定の厚みに成っているか?
途中の厚みが不連続な場合、そこに不必要な力が掛かった事に成ります。
B)筒の途中の円周方向を切断する。(輪切りにする)
円周上で肉厚に差があるか確認する。肉厚の部分が高く成っているはずです。
これは、土の中心が出ていない証拠にあにます。
c)高さの狂いは剣先や弓で切り高さを揃えますが、再度の引き上げで同じ様に狂う
場合には、肉厚に差がある証拠です。
色々述べましたが、ご自分で原因を見つけて対処して下さい。
数多く轆轤を回す事が、上達の秘訣です。
以上
土灰・長石・藁灰・白石灰石・黄土を調合して黄瀬戸を作りました。
焼成は1225度、15時間程度
釉薬は薄掛けにしました。
粘土は古陶信楽の小粒や石なしを使っています。
色々調べましたが、黄土の量が多いのでしょうか?
それとも、他に原因がありましたらそちらも含めぜひ教えていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
明窓窯より
1)黄瀬戸は所謂(いわゆる)油揚手と呼ばれ、艶消し釉で微細な結晶が折出 している物が良いと言われています。
表面がややザラザラした肌ざわりです。
2)伊羅保釉は、鉄分の多い結晶釉で、黄瀬戸と同様に黄褐色や茶褐色ですが、やや光沢があり、釉が筋状に流れる事が多いです。
3)黄瀬戸釉は鉄釉ですが、鉄分を弁柄、赤土、黄土、木灰(土灰等)等から選択します。
但し、発色させる為ですので、添加量は僅かです。
当然、鉄分の組成によって発色状態は変化します。
4) ご質問の原因は釉に拠る物と、焼成に起因する物とが考えらえれます。
ⅰ) 釉に拠る物と思われる場合。
イ) 艶消し(マット)が出難い場合。
・ テカテカ感が有る場合には、土灰を多くして釉を溶け難くする。
・ 石灰成分は釉を熔け易くする働きがありますのでやや少なくする。
・ 黄土の鉄分は釉を熔け易くする働きがあるので、適宜調節する。
・ 釉薬はどんな釉でも、薄掛けにすると茶褐色になる。その為施釉は 薄掛けにする。
ロ) 伊羅保風に釉が流れる場合。
・ 焼成温度高い場合や焼成時間が長くなると、釉は流れ易く成る。
・ ねらし時間が長くなると、釉は流れ易くなる。
ⅱ) 焼成に拠る場合。
窯の大きさや種類、特に燃料などを使う場合には、焼成は何度行っても、同じ状態に焼き上がる事は稀である。
一度焼成に成功したとしても、窯詰めや焼成方法、焼成時間その他の原因で、
再現性が少ない。焼成記録が有れば前回と何処が違うかを確認する。
・ やや焼き不足気味の方が、黄瀬戸風になり易い。
・ 作品が安定的に焼き上がる為には、試行錯誤が必要になります。
・ 焼成条件が記載されていますが、窯の大きさ(作品の量)、電気かガス窯か酸化炎、中性炎、還元炎等により
異なりますので、この条件から、当方で判断する事は難しいです。
以上 余り適切な答えとは思われませんが、参考にして頂ければ幸いです。