東京を朝一番で出かけると越前敦賀に８時４０分には着くことができるが、１時間程遅くなるが今回も京都駅０番ホームに拘り特急サンダーバードを使って敦賀に向かった。敦賀は水戸斉昭の子一橋慶喜を頼って筑波で挙兵し京都に向かった水戸天狗党終焉の地で、処刑地来迎寺と処刑された武田耕雲斎らの墓を訪ねた。
尊王攘夷を唱えて筑波で挙兵した水戸藩「天狗党」は、その志を朝廷に伝えるため京へ向かったが、幕府諸藩に追われ越前に入ったところで、彼らが頼みとした一橋慶喜が討伐の総指揮を摂っていると知り、待ち受けていた加賀藩に天狗党約八百人が投降した。幕府は身柄が移されると苛烈な処罰を行った。敦賀の十六棟の鰊倉に閉じこめ、来迎寺で三百五十三人が斬首された。この時のことが徳川慶喜公回想談に載っていた。「武田耕雲斎が降伏をした。もし助けると言い出すと、とてもちゃんとしているわけにいかない。水戸の奸党の方へ幕府では肩を持っている。どうせ何といっても助かぬのだ。助からぬ者を救おうといい出しても何にもならぬ。それをやると自分自身がやられる。自分の手に殺すということは誓ってできない。そこで加州へ降伏した。降伏だけは承知した。田沼玄蕃が受け取りにきた。降伏した者は今日受け取り申します、お渡し申します、さようなら、それっきりだ。それですぐに首を斬ったとこういうわけだ」こんな相手だとやり切れなさだけが残る。目的や手段方法は別として、天狗党は頼る人を間違ったようだ。
松原神社の入口に神社の由緒案内板があった。
「祭神 正四位武田伊賀守以下四百十一柱 徳川幕府の末葉、勤王の大志を抱き尊攘論を唱えて京都に趣き、素志を貫徹せんと意を決した武田伊賀守他同士達は各地に轉戦しつつ、元治元年十一月大雪の中、新保の地にて加賀藩の軍門に降り、敦賀の鰊倉に幽閉され慶應二年二月斬罪により松原の露と消えた。大政奉還後王政維新明治の聖世となり命等の勤王の大志が天日を見るに至り慶応三年敦賀の修験行壽院が神祇伯白川家の許可を得て院内に諸士の霊を祀り、明治七年十一月水戸の人根本彌七郎が墓地付近に一小祀殿を創建して松原神社と穪し、大正四年十一月現在地に御造営竣功し、白砂青松の浄域に御霊代を奉還、永く英霊の鎮り座すこととなった」
この神社の向側に武田耕雲斎等の墓地があり、敦賀水戸烈士遺徳顕彰会による説明で「武田耕雲斎等の刑死」として第一回処刑元治二年二月四日武田耕雲斎以下二十五人、第二回処刑仝年二月十五日秋山又三郎生元以下百三十四人、第三回処刑仝年二月十六日濱埜松次郎忠正以下百三人、第四回処刑仝年二月十九日綿引誠一郎忠保以下七十五人、第五回処刑仝年二月二十三日朝倉三四郎景敏以下十六人、合計三百五十三人とあり、此の墓地は当地の刑場にして遺骸を埋めて土盛り方十二間高さ八尺、西面して十五基の墓が建てられている。
墓域の中には刑死の３５３名の姓名が刻まれた墓が十三基、病死３１名、討死２１名の姓名が刻まれた墓が各一基、計十五基の墓標がある。
天狗党の処刑が行われた来迎寺。
慶喜公に見捨てられた方々の無念を
思うと、言葉がでません。
しかしその後の藩内の内訌を知っている
者にとって、この地で逝った方々の思い
をどのように掬い取るか、難しいところ
でもありますね～
私の先祖(祖父の曾祖父)が天狗党に属しており、斬首されたと小さい頃から祖父に教えられ育ちました。斬首された先祖の名はうろ覚えながらも記憶しています。
私は歴史は苦手でこれまで検索したことはありませんでしたが、ふと、インターネットで先祖の名前を発見できるのではないかと思いまして、探しておりました。
しかし人数が人数なので、歴史として何があったのかなどはすぐに知れても、処刑された方全員の名が出ているサイトや記事を発見することがなかなかできずにいました。
しかし、こちらのブログの墓標の名簿に先祖の名を見つけることができました。
本当に悲惨極まりない出来事だったようですが(斬首ですから…)自分の先祖の名前をこんな風にインターネット上で発見出来て嬉しかったです。
志を持って戦った先祖のことを誇りに思いました。
この記事を書いてくださり有難うございました。
大変感謝しております。
幕末から戊辰戦争と、その時代に起きた数々の凄惨な事件の出来事は歴史には生々しく残っていまが、それぞれの志を持って戦った人々の時代から僅か百五十年しか経っていないのに、その痕跡は消えようとしています。そんな歴史の足跡を少しでも残せたらと思っています。コメント、ありがとうございました。少しでもお役に立てたのなら大変うれしいです。