博多界隈
小田原から九州に行くのは存外大変だった。飛行機だと羽田まで時間が掛るし、小田原に停まる「こだま」では時間が掛るという事で結局、新幹線で新横浜まで出て、新横浜から「のぞみ」で博多に行くことにした。新幹線車内誌を2度も読んでしまった。さすがに博多に着くころには乗客もまばらになった。
チェックインまで時間があったので、簡単な観光地図に萬松山承天寺が博多駅前一丁目とあり駅前かと思ったら、地下鉄で一駅もあった。知らずに歩いて行くと途中承天寺通りがあり、やっと右手にお寺の五本の筋塀が見えてきた。昔は寺地として数万坪あったという承天寺の山門か判らず結局一周してしまった。近くにあったお茶屋で承天寺山門がどこか聞いたら知らないという。そんなものかと思う。
承天寺開山の祖・聖一国師は宋より、うどん・そば・羊羹・饅頭などの製法を我が国へ伝えたと云い、本堂や墓地などのある北東側に「饂飩蕎麦発祥之地」「御饅頭所」碑、その隣に宋で織物技術を学び博多織を始めた「満田彌三右衛門之碑」があった。道路で分断された南西側には山門、仏殿があり、勅使門の傍に博多山笠発祥之地の碑がある。
駅前大通り(大博通)に面して弘法大師が日本で最初に開山した密教寺院である南岳山東長寺に行く。ここは福岡藩二代藩主・黒田忠之、三代・光之、八代・治高の墓がある黒田家の菩提寺でもある。
古くから各地に祇園大神(素盞嗚命)を祀る災厄除去の祇園信仰が残っている。博多には福岡市を代表する祭りである博多祇園山笠があり、現在は博多区の櫛田神社を中心に行われている。夜、櫛田神社を訪れると千灯明が飾られていた。
数年前、2年続けて小倉に行った。写真を見たら同月の同じ日に小倉の「舞」とゆう店で2回ともイカ活き作りで食事をしていた。その時、九州のイカの美味しさにビックリした。
今回は長崎・熊本に行くため、イカ活き作りの店が多い博多に三泊して3軒のイカ活き作りのある店にいった。九州のイカ活き造りと云えば呼子が有名だが、呼子に支店を持つ店の本店が博多中洲にあったのでホテルから予約をしてもらい訪ねた。
2軒目の中洲の「さかな市場」という店で嬉しい事があった。ここは鳥水炊きの店の後で寄ったのであまり品数を注文出来なかったが、店の中にその地区例年の博多祇園山笠手ぬぐいが飾ってあった。写真を撮ろうと思ったが客が大勢いたので止めて、店長に手拭の事を聞いたら非売品だという。ガッカリしていたら数年まえのですがと、残っていた手拭を1本くれた。水炊きの店なんかに寄らず、最初からこの店に寄れば良かった。
3軒目は櫛田神社そばの商店街にある店で、入口は狭かったが奥行きがあり、かなり繁盛店みたいで、時間を2時間と区切られた。
1軒目、2軒目は「剣先イカ」、3軒目が「ヤリイカ」みたいだったが、刺し身になって出てくるとその区別が判らなかった。