ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

THE BEST MAN

2012年09月02日 | 家族とわたし
1960年の、大統領候補指名大会の裏舞台を描いた劇を観に行った。
もちろん、旦那父のおごり♪←いつまでこのパターンを享受するのやら……。

気温はそこそこ高いけど、空気が乾いてるので、なんとなくさわやか。
旦那両親のアパートメントの近所。地上から伸びたツタが見事!けど、外壁は大丈夫なんやろか……。


立ち止まっては写真を撮るわたしに、「毎回撮るのはいかがなものか」と、どこからか文句が聞こえてくる。もちろん完全無視。


『THE BEST MAN』は、その名の通り、大統領選挙での『最後の勝利者』、という意味。


役者がすごいメンバー。特に、元大統領役のJames Earl Jonesのファンなので、めちゃ楽しみ!


会場に入ると、もうそこは指名大会の会場そのもの。というても、時代は52年前にさかのぼるのやけど……。


誰にも注意されへんのをええことに、天井もパチリ。



折しも、ここ米国ではまさに、11月の大統領選挙に向けての、選挙運動真っ盛り。
なので、もともと人気の高かったこの劇は、連日満員御礼が続いてるらしい。
役者のひと言ひと言に、観客からのヤジが飛んだり、拍手や歓声が鳴り響いたり、盛り上がり方がいつもより大きい。
現実を皮肉ってるような台詞には大笑いし、みんな、普段の憂さ晴らしをしてるような感じ。

劇の内容を、簡潔にまとめてくれてはる佐藤治彦さんの文章をちょいと拝借。

『物語は、1960年の、民主党の指名争いの党大会の話。
実際に指名されるケネディは出てこない。
3人の候補が、最後のしのぎを削っているという設定。
 
壮年で病気を隠し、妻との冷え切った関係の候補。
若く野心があるが、軍隊時代に、ホモ疑惑を持つ若い候補は、壮年候補の秘密を握って、今にもマスコミに公表して逆転してやろうと必死。
一方、壮年候補も、若手候補の、ゲイ疑惑の秘密を握る。
 
元大統領は、壮年候補を支持。
しかし、末期癌で、痛み止めを飲みながら、選挙戦の行方に絡んでくる。
最後に、二人の候補は取引をしようとするが……。
 
といったストーリーである。

中略

この芝居は、ブロードウェイものでは珍しく、3幕仕立て。
そこで、どうしてだろうと思いながら3幕を見ていたら、なるほどと思った。
わざとらしくなく、微妙に、重要なキーワードをきちんと際立たせるように、自然に台詞を話しているのである。
特にアクセントをつけたり、間をとったりするのではないのであるが、言葉を大切にしている。
伝えている。
これで、キーワードを聞き逃さずに聞けるから、話がどんどん分かるのである。
名優の技術って、こういうところに出るのだなと思った。
そういえば、日本でも、昔の新劇の名優はそうだったし、今でも、現代口語ではない歌舞伎を見ても、何を言ってるのかがわかるのは、歌舞伎の俳優は、そういう技術を伝承しているからだ。

大統領選挙戦のいま、大変面白い芝居を見れて大満足なのであった』

以上、拝借終わり。


正直言うと、役者の話すスピードがめちゃくちゃ速くて、聞き取れなかった単語がいっぱいあった。
別にそんなことではもう落ち込まないが、横で座ってる母が、「ネイティブのわたしにだって聞き取れないんだから」と慰めてくれた。
けれども、考えさせられたことは多かった。

それは……、
政治家ってなんやろ?ってこと。
結局、志がなんぼ高かっても、こんなふうに、いろんな局面でいろんな汚れがうろこみたいについて、
上に立った時にはもはや、その汚れた固いもんに、心や意志がすっかり閉じ込められてしもた人間モドキに成り果てるんちゃうかと。
そこまでして、上に立たんでもって思た人間は、その世界から身を引いてしまう。
そやから、結局のところ、最後まで残って上り詰めた人間ほど、もう人間とはいえん生き物になってるんちゃうかと。
そんな生き物に、人間としての正しい考え方や行動を求めてもしゃあないんちゃうかと。

ほな、どうしたらええのん?
政治を誰かにやってもらわなあかんわたしらは、どないしたらええのん?

やっぱり、そういう特殊な職業に就いてる人間は、毎年その職業を続けてもええかどうか、審査を受ける必要があるんちゃうのかなあ。
人の上や前に立つ者は、自己診断や自己満足でやってたらあかんと思う。
どれだけ専門にしてることについて勉強し続けてるか、新しい知識や経験を取り入れてるか、
ほんで、特に、人間としての質についてはどうか?

その審査をするのは市民で、そういうことができるよう、監視ができるシステムを作りたい。
けど、そうなると、市民ももっともっと、勉強せなあかん。
自分の身の回りのことさえしっかりしてたら、人に迷惑さえかけんかったら、社会に貢献、みたいなたいそうなこと考えんと生きててええ、わけにはいかんようになる。

日本は今、どんなにちっさくなってもええと思うねん。
ちっさくなってもええから、今ここで生まれ変わって、世界から尊敬される国になってほしいし、なれると思うねん。

そんなことを考えた。

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