ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

水から空中に引き出してしまうと、周囲の人達がバタバタと死んでしまうほどの危険物にまみれた国の未来

2013年01月21日 | 日本とわたし
きーこさんが文字起こししてくれはった小出先生のひとことひとことを読みながら思た。
これまでにも、この使用済み燃料のことについては、わたしも何回も記事に書いてきたのやけれど、
書くたんびに、どないなるんやろうと、逃れようのない迷路に迷い込んだみたいな気持ちになる。
けど、きーこさんも最後に言うてはったように、なんとかできるはずやとも思う。

それにしてもこの原発いうもんは、いっぺん建ててしもたらとことん、生き物にとって迷惑極まりない存在になるんやなあと、あらためて思う。
これがこの先、危険や迷惑の量が減ると、今だに夢見てる人間がいる。
専門家でもない、科学にも疎いわたしやけど、こんだけの年月を経てどうにもならんかったもんは、この先もどうにもならんと思う。
そんなことにお金や頭脳を使いまくるぐらいなら、一世一代の失敗作を、世界のみんなで協力し合て、廃棄することに心血注ぐ方がなんぼか賢いと思う。

そやけど腹立つなあ。

こんなもんを無責任に建てまくって、今みたいな世界を作ってしもた連中と企業に、なんとしても責任取らせたい。
これぐらい実現してもええのんとちゃうの。

↓以下、転載はじめ

【ペイフォワード環境情報教室】「2号機温度上昇・MOX燃料の3号機・4号機の展望」1/19小出裕章先生(文字起こし)



Sawada:
新年初めてという事ですけれども、昨年末ですね、福島第一の2号機の温度の上昇というのが、いろんなところで報道されたという事がございましたけれども、
この2号機についての現状と今後の見通し、危険性についてお話しいただけますか?

小出:
はい。
2号機の原子炉圧力容器のあちこちの温度が、昨年の暮れに上昇データがあるのです。
それが何故か?という事で、従来と同じように、2号機の原子炉圧力容器の中には、水が注入され続けていますので、
もし、その温度の上昇が正しいということであれば、これまでとは別の発熱源が生まれた、と考えなければいけないと思います。
これまでの発熱源は、炉心の中に溜まっていた放射性物質そのものですけれども、それが増える事はありませんので、
別の発熱源があるという事は、原子炉が再び臨界状態になった、という事以外にはあり得ないと思います。

ただし、私自身は、原子炉が再び臨界になるという事は、限りなく可能性が少ないと思ってきましたし、今もそう思っています。

そうすると、温度計が上昇するという物理現象を、「これだろう」と推定することができませんので、
私としては、「多分、温度計の故障だ」と、今は思っています。
ただし、データの推移を注意深く見なければいけない、という状態です。

Sawada:
ありがとうございます。
またですね、別な話で、3号機というのが、もともとMOX燃料を使っているというようなところで、
1号機2号機と比べてですね、またさらに注意が必要か否か?というようなところはいかがでしょうか?

小出:
はい、3号機はモーレツな爆発を起こしたので、その爆発についても、「核爆発ではないか?」という指摘をしている方もいらっしゃるわけで、
3号機は、1号機2号機と少し違う事故の経過をたどったという事は、多分そうだと思います。
ただし、MOX燃料というのはどういうものか?というと、
もともとは、ウランを燃料に使っていた燃料に、プルトニウムという物質を混ぜて燃料にした、というのがMOX燃料ですが、
プルトニウムは、ウランに比べれば、大変危険性が高いものですから、
MOX燃料を使うという事は、それだけで危険性が増えているという事は確実なのです。

しかし私は、ウランが核分裂して出来る核分裂生成物というものが、途方も無く危険なものだと思っていますので、
その途方も無く危険なものの中に、プルトニウムの危険がなにがしか加わったとしても、
被ばくという意味で、大きな危険の増加にはなっていない
というふうに思います。

ですから、みなさん、MOX燃料を使っていたという事で、たとえば、
「プルトニウムが大量に噴き出してきたのではないか」というご心配をされているかもしれませんが、
おそらく、「あまり関係ない」と私は思います。

ただ、事故の経過自身が、1号機2号機3号機全て、少しずつ違っていますので、
3号機独自の危険あった、大きな爆発が起きたとか、という事があったわけですから、
もちろん、その事の意味がどういう事なのか?という事は、今後検証しなければいけませんし、
これからも、3号機の事故の進展が1号機、2号機と違う、という事はあり得ると思いますので、
データをしっかりと見ていくという事が必要だと思います。

Sawada:
それに続きまして、4号機が、常に言われているようなところでありますけれども、
4号機の今後ですね、数年かけてという中で、足場を組んでキャスクに入れてというような中で、
取り出すのも難しい、また、保管する受けての方も難しい、というような話がありますけれども、
これについて、今後の展望という所と、あと、体制としてもですね、先生からのアドバイスとして、
先生は、本当なら、僕らの願いとして、先生に是非アドバイザーとして入っていただいて、
もう少し、先生以上にもっといろんな方も集めてと思う中、
ずーっと東電1社を見守るような形で経産省がやって来た、というようなところがあるかと思いますけれども、
今後どういう形をとっていけばいいのか?という、なんか、先生の知見も含め、アドバイスいただけるところはありますか?

小出:
4号機の使用済み燃料プールの中には、既に使用済みとなった燃料、
つまり、もう「ウランが燃え尽きた」、それだけ大量の放射性物質が含まれているという燃料が、1331体、
沈んでいるのです、プールの底に。
その他に204体「まだ燃やしていない」という燃料が、プールの底に沈んでいました。
そして東京電力は、まずは、燃やしていない新燃料というものを2体だけ、プールの底から引き出してみたという作業をしたのです。
それは、もうすでに行われましたし、「大きな危険を伴わずに、とにかく取り出す事が出来た」ということになりました。

しかし、使用済みの燃料というものは、実は「吊りだせない」のです。
それをプールの水から空中に引き出してしまうと、「周辺の人達がバタバタと死んでしまう」というほどの危険物ですので、
新燃料と同じように、釣り出す事が出来ない。


どうするか?というと、
私たちがキャスクと呼ぶ、鋼鉄と鉛でできた巨大な容器を、先ずプールの底に沈め、
そのキャスクと呼ばれる容器の中に、使用済みの燃料をいれて、蓋をして、
それ…そうしたことで初めて、水面につりだすことが出来るという、そういうものなのです。
ただ、キャスク自体は、重さが100トンもあるという、そういう重量物ですので、
簡単に吊り上げたり吊り降ろしたりという事ができない。
巨大なクレーンが必要だったりするわけですが、
すでに原子炉建屋は爆発してしまっていてボロボロになっているし、クレーン自体も壊れてしまって「ない」んですね。

だからどうするか?と言えば
まずは、キャスクを吊り降ろしたり吊り上げたりできる、クレーンを設置しなければいけない。
そのためには、クレーンを支えるためのしっかりとした建物を建てなければならないという、
そういう事になっているんですね。
東京電力は今、新しい建物を、4号機の壊れた建屋の上にもう一度つくりなおして、
そこに巨大なクレーンを設置して、そしてキャスクを吊り上げたり吊り降ろしたり出来るようにして、
それから作業を始めようとしている訳です。
でも、その作業が始められるようになるまでに、今年の暮れまでかかると言っているわけです。

私はまぁ、そうだろうと思います。
大変な作業ですし、時間がかかるだろうと思います。
そして、実際上できる事はそれしかないだろうと思いますので、
東京電力には一刻も早くその作業を早めてでもやって、使用済み燃料を吊りだしを始めて欲しいと願います。

しかし、吊りだしが仮に始められたとしても、
1331体もある使用済み燃料を、キャスクに入れながら、吊りあげて、そして別の場所に持っていく。
まぁ、今、東京電力は、隣にある共用燃料プールという所に持っていこうとしている訳ですけれども、
そしてまた、次のキャスクを沈めて、そこにまた、使用済みの燃料を入れて、吊りあげて、
それをまた、共用の燃料プールに移動するという事をやるわけですけれども、

もうすでに、4号機の使用済み燃料プールの中には、がれきが崩れ落ちて散乱している訳ですね。
先ずは、そのがれきも片付けなきゃいけないし、
崩れ落ちたがれきで、使用済み燃料がすでに破損をしているかもしれない。
上手く吊り上げたり、キャスクに入れたりすることが出来ないかもしれない。という、
そういう状態になっているという訳です。

1331体もある使用済み燃料を、完璧に…外に出さなければいけないという、
大変に困難な作業だと私は思いますし、
そのためにまた、沢山の労働者が、被爆をしていくだろうと思います。
「注意をしてやるしかない」ということです。

その上に、また、
1号機から3号機の使用済み燃料プールの中にもまだ、燃え尽きて使用済みになった燃料が沈んでいて、
「それらはどうやって釣りだせるかすらがまだ分からない」という状態で、
これから何年何十年という苦闘が、被ばく作業とともに続く、という事になります。


Sawada:
大変厳しいお言葉で、なかなかこう、希望が見いだせるタイミングではないんですけれども、
私たち国民の意識は、だんだん遠のいている中にあるんですけど、
やっぱりこれを持ち続けて、監視し続けて、どうあるべきか?という事を僕らが考えていって、
力にして、やっていくしかないと思うんですけど、
先生からそんな、一生懸命考えているリスナーのみなさんへ、一言アドバイス、エールを頂けますか?

小出:
皆さんもう、福島の事故は終わった、というふうに思っていられる方もいらっしゃるかもしれませんし、
国にしても東京電力にしても、積極的にそういう宣伝を流しているわけですね。
マスコミはもう取り上げないし。
福島の人達が、いまだに故郷を奪われて、10万人を超える人々たちが流浪化している、という事実も伝えないというなかで、
みなさんが忘れようとしているんですけれども、
でもいまだに、福島第一原発の敷地の中でも事故は続いていますし、その周辺にいた人々の苦難も未だに続いているわけで、
私は忘れて欲しくないし、これからも見まもって欲しいと思います。

Sawada:ありがとうございます。今年1年もまたぜひよろしくお願いいたします。

小出:こちらこそよろしくお願いいたします。



――チョ~個人的にきーこが書き出しながら感じちゃったこと――

何度も何度もお聞きしている内容です。
何度も書き出した内容です。
書くたびに思います。
不可能だろうと。

日本では、トンネルの屋根が落ちました。
海外では橋が落ちました。
道路も陥没しました。
老朽化です。

マンションは10年ごとに大規模修繕を行い、それでも老朽化により、40年位で丸ごと建て替えます。

自分の周りの景色を見渡せば、もう崩れてもおかしくないものばかりがこの地上にあります。
頭の上に天井が落ちてくるかもしれない、足の下が崩れて自分が下に落ちるかもしれない。

高度経済成長期に土を覆い、山を崩し、川を埋め自然を壊しながら造ってきたものが、
かつて近代的だと言われていた構造物が、今どんどん壊れ始めている。


原発は?
事故が無くても、コンクリートが崩れてくる頃、
事故が無くても、なかの鉄骨がさびている頃
それがもっと、事故で無残な姿になっていて、
なおかつ、これから先何十年もたたなければ、使用済み燃料棒も取り出せない。
メルトダウンして溶けてしまったものなんか取り出せるはずもなく・・・・

今日は書き出しながら、不謹慎にも私は笑ってしまいました。
どう考えても無理だと思って、
どうしようもない事が本当にあるんだという事を、改めて目の前に叩きつけられたような気がして、
…笑ってしまいました。

私は、無事に、1~4号機すべての燃料を取り出すことは、不可能だと思います。
あと何十年も、あの建物が無事に残っているとはどうしても思えません。

もっと別の視点から、常識的ではない解決の方法で、使用済み燃料棒を眠らせる方法は無いのでしょうか?

宙づりにしたら、バタバタと人が死んでしまうような使用済み燃料棒が、
福島だけではなく、全国の原発にあるという事も忘れてはいけません。

そして、
現在から未来へ向かって、日本人の命は、東京電力の手の中にある。
そんなことも改めて…もう考えたくもない事実を、また噛みしめました。

あぁ~、
あまりにも悲惨な状態で、手も足も出ないと思うと、
人間って、笑っちゃうものなんだっていう事も、改めて確認しました。

でも、こんなこと言ったらいけませんね、しかられますね、ごめんなさい。
現場で闘って下さっている人が沢山いるのに。

「できる」んですよね、
「出来るようにする」のが人間ですよね。
人間だもの。出来ない事はない。
自分で作ったものだもの、きっと何とかできるはず。

↑以上、転載おわり

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
外国人労働者の出現 (じゅんこ)
2013-01-22 17:06:28
 まうみさん、こんにちは。
今朝の東京新聞コラムに鎌田慧さんが「日系ブラジル人向け新聞に、福島原発の新聞広告があらわれた。。。広野町のJヴィレッジでは、すでにホールボディーカウンター棟の行列に外国人らしい姿があられている。。。」って書いてありました。
どこまでも弱者が必要な原発は差別丸出しの施設ですね。
返信する
Ms (Mia June)
2013-02-07 00:22:51
まうみさん、

Holidayは楽しかったですか。
どこに、書いていいか、わからなかったので、この欄に、投稿させてもらいます。

最近、私のブログに、取り上げた記事。拡散していただくとありがたいです。

1.ウラン開発企業パラディン・エネルギーが反原発ぶろぐを、脅迫しているので、それを、とめるための署名(日本文要約つきです。http://www.fukushimaappeal.blogspot.co.uk/2013/02/freedom-of-speech-is-threatened.html
この記事は、Canada de NihongoのSonomiさんが、彼女のブログに載せて、もっと、詳しく、日本語で、訴えてくれています。
http://canadadenihongo.blogspot.co.uk/
Feb. 3, 2013

2.http://www.fukushimaappeal.blogspot.co.uk/2013/02/police-arrest-animal-rescuers-inside.html
双葉町の警察に、先週末から、動物救助活動をされてきた星野親子が、犯罪の容疑で、逮捕され、拘束されたまま、外部への連絡がとれない状態にされています。  これも、少し、和文がはいっていますし、リンク先は、日本語です。 この件については、追って、また、記事を、書くつもりです。 20キロ圏内にいる動物たちのことがいつも、気になっていたので、ぜひ、拡散お願いします。 

それではまた。
返信する
Mia Juneさんへ (まうみ)
2013-02-10 11:59:46
おひさしぶりです。
Holiday、楽しんできました。
いろんなことがどっと押し寄せてきて、かなりしんどかったのですが、終ってみればやはり、いい思い出になりました。

記事をいろいろとありがとうございます。
今はただただ、日常に戻りつつ、旅のまとめをするだけで必死(時差ボケもあって)なので、もう少し頭がすっきりするまで待ってくださいね。
返信する
Ms (Mia June)
2013-02-10 20:44:22
まうみさん、

もちろんです。 ゆっくり、してからでいいですよ。
動物救助の件については、もうひとつ記事書いて、署名を募ろうかなと思っていますが、私のほうも、Sneil Progressで、やってます。

ホリデーの後味を、たのしんでね。 どうも、私は食べ物思考になってしまいます!?
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。