ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

一十百千万…汚染値を指折り数えるペラッペラの軽薄な『お勉強バカ』。それが東電の広報担当!ど~ん!

2014年03月03日 | 日本とわたし
前回の記事に載せた、汚染水100トンの漏えいに関しての東電の会見について、プラントで勤務しておられた幸雄さんが、こんな意見を述べておられました。
幸雄さんはいつも、こういった、なかなか分かりにくく、だからつい見落したり聞き逃してしまう大事なことを、とても分かり易く指摘してくださるので、とてもありがたいです。
みなさんもどうか、下記の文章を読んで、考えを新たにしたり、まとめたりしてください。

↓以下、転載はじめ

福島第一原発、H6エリアN-C1タンク汚染水100t漏えいに付いての詳細資料が、東電から規制委に上がっています
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi_wg/data/0011_01.pdf
 
気に入らないのは、杜撰な運転管理体制を棚に上げ、バルブ操作ミスの犯人捜しや、故意の妨害があったような文面が見られる事です。
妨害などの可能性が、全く無かったとは言い切れません。
 
しかし、最も大事な「なぜ起こったか?」「防ぐことはできなかったか?」
そして、「早期に対処して被害を軽減できなかったか?」などが、スコンと欠落しています
 
プラント勤務者は通常、機会ある毎に、「危険予知」や「安全衛生」に付いて学び、話し合う事が求められます。
しかし、悲しいかな、このような事故が起きた時には、再発防止の肥やしにするため
考えられる限り検証を行い、予防策を現場と管理で練り上げるのです。
そうしないと、小さな見落としや間違いから、自分や仲間の命を失う事も、あっという間に起こりうるのです。
原発の場合は、被害が施設では収まらず、周辺にも重大な被害をもたらすのですから、更に慎重でなくてはならないはずです。
 
あまり現場を責めることを、言いたくはないのですが、現場を統括する者がこのようなスタンスを保つ限り、同じようなトラブルがまた起こるでしょう。


↓そしてこれは、前回の記事に対する知見です。

まぁ、酷いです。
しかし、私はそもそも、当初(日隅さんが頑張っておられた頃)から、このデスク族の会見を、真に受けて聞いていません。
この会見にしても、写真に出ている当該バルブに付いて、「機能的な不具合があるのではと調査中」と言っています。
ですが、このバルブは、一見して電動弁ではない、人がハンドルを差し込んで開閉するタイプです。
手動バルブの機能不全ならば、弁体が壊れているか、異物が挟まっているか位しかありません。
事故後、このバルブは「閉」とされ、タンクレベルは上昇していないのですから、バルブは生きています。
これは、誰かが配管ラインを確認せずに、誤操作で開けたのです。
そして、移送元では、タンクレベルも確認しないまま、移送ポンプを運転し続けていた、それだけの事ですよ。
つまり、明らかにヒューマン・エラーです。
だから、この尾野氏は、そんな事も見て判らない机上の人か、知っていて人災を隠そうとしているか、のどちらかです。
しかし、隠蔽だとすれば、余りにもお粗末なので、彼は現場を知らないのだと思いますね。

私としては、如何に広報担当がペラッペラの軽薄な「お勉強バカ」か、判って頂ければ良いのです。
 彼らは、喋る内容や資料を吟味し、咀嚼していません。
100トン(4トントラック25台分!)の汚染水が漏れたと、シレッとした表情で言える神経は、並大抵ではないと思います。

「君は、自分の言っている意味が判っているのか?」と、言いたくなりますよね。
 
1トンは1,000キロです。
で、水1リットルが1キロですね。
そして彼は、最終的に、2億4,000万ベクレル/リットルの汚染濃度だと言いました。
つまり総量の概算は、2億4,000万ベクレル×1,000×100・・・気が遠くなります。
そんな酷い値でも、彼にとっては、指摘された後に指を折って数える程度の事なのです。
ALPSのトラブルの時にもお話しましたが、会見時の配布資料に付いてさえ、結構いい加減(記者連中は舐められています)な物が多いと思っています。
ですから私は、近い日付で、規制委に上げられている方の資料を見ています。
 
蛇足ですが、この「バルブ機能不全」については後日、人災であると、彼らも認めています



そして今日、さらに追加です。

ようやくやっと、東京新聞が東電の対応の拙さを指摘してくれました。

「東電、稚拙すぎる」 事故マニュアル 規制委調査へ
【東京新聞】2014年2月27日

東京電力福島第一原発で、タンクから約100トンの処理水があふれた事故で、原子力規制委員会は26日、
事故は容易に防げたのに、安易な対応で事故が発生・拡大した背景には、東電の企業体質があるとみて、
事故時の対応マニュアルがどうなっているかなど、安全管理体制を詳しく調べる方針を決めた。 
(清水祐樹)
 
あふれた水は、原子炉を冷やした後の水で、放射性セシウムの大半は除去されているものの、
超高濃度の放射性ストロンチウムなどが残っている
同様の水が敷地内に34万トン超と、25メートルプールに換算すると、ざっと千杯分もある。
 
タンクに付いている三つの弁のうち、一つでも閉まり、弁をロックするなどしていれば、事故は起きなかった。
仮に起きたとしても、タンクの満水警報を受けてポンプを止め、本来の移送先タンクの水位が上がらないことに気づいていれば、漏水は最小限にとどまっていた。
 
しかし、東電は、そのいずれも怠った。
 
汚れた冷却水は、日々大量に発生し、タンク増設も簡単には進まないため、現場はぎりぎりのタンク運用を迫られている。
水位の警報が鳴っても、わざと警報を切って、さらに処理水を入れることも常態化しているといい、警報への反応が鈍っていた恐れもある。
 
この日の規制委会合で、委員からは、事故が起きたことよりも、事故が起きていることすら気づかず、大幅に対応が遅れたことへの批判が噴出
「あまりにも稚拙で、企業の体質、安全管理のあり方など、根深い問題がある」
「だれがミスをしたかではなく、なぜ警報が鳴っても適切に対応できないのか、その理由を調べることが大切だ」などの声が相次いだ。
 
規制委事務局は来週にも、東電から、事故対処マニュアルや安全管理体制について報告させ、再発防止策を検討する。

↓ここからは、幸雄さんのご意見。

更に言わせて貰えるならば、東電の想定が甘い――プラント管理のセンスが実に拙い、と言う事です。
 
今までも、ボルト組上げのタンク・汎用シール材施設の貯水槽・タンクエリアの堰高が30センチ…と、枚挙に暇がないのですが、
此処へ来て、私が顎を落としたのが、タンクの雨樋の落ちどころが堰の中ではなく、外側であると言う事。
 
昨日アップした投稿 https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=290033507817480&id=100004324981204&stream_ref=10 にリンクをした資料 http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi_wg/data/0011_01.pdf の8ページにタンクの図が載っています。
 
プラント管理の基本的な視点から、今回のケースを見れば……。

① タンクのレベル計は、水位を表示するだけであって、ポンプの起動停止とは連動していない(高水位になってもポンプは自動停止しない)。
② ポンプ運転は、タンクレベル監視・移送配管の確認を厳密に行った後に、手動で行う(ヒューマンエラーの可能性あり)。
③ 天板に、目視点検用の点検口がある(高水位になった後、ポンプが停止しなければ、漏れる可能性がある)。

 
これらの事を考慮すれば、雨樋に汚染水が流れ込む可能性を、容易に想定できる事なのです。
 
「雨樋は雨水を受けるものである。堰内のゆとり容量を考慮して、雨水は堰の外に落とす」という発想は、
「メルトダウンはしないから、デブリ(溶融した炉心)キャッチャーは不要」に連なると、私は思います。

放射能を何としても閉じ込める、と言う命題を、東電はどのように思っているのでしょうか?

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