まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

のれんは償却資産

2017-02-11 09:29:58 | 商事法務
〇 IFRSやUSGAAPでは、のれん(goodwill)は非償却資産ですね。ところが日本基準では、連結のれんは、まだ20年以内に償却する償却資産(amortization on goodwill)ですね。しかし、米国でも、昔(2002年まで)は、40年以内に規則的に償却しなければならない償却資産でした。
 
米国では、2001年にFinancial Accounting Standards Board (FASB)がstatementを出した結果、2002年に財務会計基準書(SFAS)第142号として「のれんその他の無形資産」を定め、毎期減損テストは行ないますが、のれんの規則的な償却を認めないことにしました。Goodwill Impairment test must be performed on an annual basis at a consistent date each year. This test compares the implied fair market value of goodwill to its carrying amount. (まあ、fairという、いい加減な言葉の基準ですから、企業の恣意で左右されますね)。また国際財務報告基準書(IFRS)でも第3号「企業結合」を2003年に公表して,のれんの規則的償却を認めなくなりました。
Statement on Auditing Standards (監査基準書)SAS No.92 Applicability 47 Impairment Lossesでは以下の様に規定しています。
Regardless of the valuation method used, generally accepted accounting principals might require recognizing in earnings an impairment loss for a decline that is other than temporary.

〇 一方、のれんの中身ですが、IFARS/USGAAPなどでは、顧客リストや商標権等に値段をつけて償却します。企業結合された際に生じる連結暖簾について、PPA(Purchase Price Allocation)として、EBITDA multiple等でエイヤーと決めた価格と時価純資産との差額を、いろいろ屁理屈を考えて償却資産にしますね。日本では、のれんはBreak Downせずに、まとめて償却します。日本の企業では、連結暖簾の償却は、10年が一般的ですが、大きなコンビニ等を買収した商社が、その案件だけ屁理屈をつけて監査法人を巻き込んで20年償却などしていましたね。

〇 私には、どうして価値が減らないのか不思議ですね?コカコーラとかマクドナルドというブランドは一流ののれんですね。しかし、その価値の維持のために毎期継続的に多額の広告宣伝費・販売促進費を使います。これらの費用によりブランドが維持されているのです。放置すれば、当然ブランドは、急激に廃れて価値が落ちます。コカコーラが、10年も広告宣伝をしなければ、街の自動販売機を見て「まだあるんだ」とか「もう消えたと思ってた!」となりませんか。

○ 即ち、多額の費用を使って価値を維持・増進する。でもその部分は自家(自己)創設のれん(Internally generated goodwill)の部分ですね。取得した部分は、右下がりで価値が減価していきます。もし価値が一定なら、取得部分は減価していき、自家創設部分がその分増えるから、結果として価値が維持されている。しかし、自家創設のれん部分は計上しませんから、取得したのれんは価値が減少します。なのにどうして非償却資産とするのでしょう?
自家創設のれんは、計上できませんね。信頼性をもって原価で測定できるような、企業が支配する識別可能な資源ではないことから、資産として認識されていません(IAS38.49)としています。

私に言わせれば、減損テストして減損ロスの金額計上もいい加減だという事です。
減損の金額など合理的に算出できないし、毀損が激しく、どうしても計上せざるを得ない場合に計上する、その場合には、一気に多額の減損損失が計上されますね。オーナー型企業は別ですが、投資を決断した経営者のときは計上せずに、次の時代の経営者の時に減損を出すんじゃないでしょうか?減損が発生するけど、これは前の経営者の「投資の失敗」だったと言って責任を負わなくていいですからね。
これなら、毎期均等額で償却する償却資産とする方がはるかに良いですよね。

のれんを非償却資産とする、納得できる明確な説明を私は聞いたこともないし、本などで読んだこともありません。誰か、僕でも分かるように説明してくれませんか?
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